医療情報・システム基盤整備体制充実加算について(オンライン資格確認)
本記事は「オンライン資格確認に関する算定項目の変更・特例措置」について、経営コンサルタントの百合草が医師のために記載した文書です。
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〈目次〉
- オンライン資格確認とは
- オンライン資格確認に関する算定項目の変更
- 算定するための施設基準について
- 初診時に確認・記載すべき項目
- 医療DXの推進のためのオンライン資格確認の導⼊・普及に関する加算の特例措置
- まとめ
※医療情報・システム基盤整備体制充実加算は、2024年度診療報酬改定において「医療情報取得加算」へ名称が変わり、内容の見直しが行われました。
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1.オンライン資格確認とは
2022年10月からオンライン資格確認に関する算定項目が変更され、2023年4月からはオンライン資格確認導入が原則として義務付けられることになりました。(現在紙レセプトでの診療報酬請求が認められている医療機関は除く)
オンライン資格確認とは、「マイナンバーカードのICチップ」または「保険証の記号番号」を使って、医療機関や薬局の窓口で、患者さんの直近の資格情報等が確認できるシステムのことをいいます。
●オンライン資格確認における本人確認の方法は2パターンあります。
①マイナンバーカードを提示された場合
顔認証付きカードリーダーもしくは窓口スタッフの目視により顔認証を行うか、4桁の暗証番号を患者本人に入力してもらうことで本人確認をします。
マイナンバーカードを用いた本人確認を行うことにより、医療機関や薬局において特定健診等の情報や薬剤情報・医療情報をマイナポータルで閲覧できるようになります。
②健康保険証を提示された場合
従来のやり方と同じように窓口スタッフが保険証の記号番号などを端末に入力します。
上記の方法で本人確認をしたうえで、患者の現在の医療保険資格の状況を確認します。
●オンライン資格確認のために必要な機器
オンライン資格確認に必要な機器は主に次の3点です。
・顔認証付きカードリーダー
・資格確認端末(パソコン)
・オンライン資格確認連携ソフト(レセプトコンピュータの改修)
※ただし、利用しているシステムやネットワークの状況により異なるため、事前に担当のシステムベンダーやネットワークベンダにご相談の上、機器の準備を進めてください。
2.オンライン資格確認に関する算定項目の変更
オンライン資格確認システムを利用して診療した場合に算定できる項目が2022年10月より変更されることとなりました。
・「電子的保健医療情報活用加算」(7点または4点)が廃止
・「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」(4点または2点)が新設
・「医療情報・システム基盤整備体制充実加算1」(月1回に限り4点)…施設基準を満たす医療機関において、初診時に通常の保険証を持参した場合に算定。
・「医療情報・システム基盤整備体制充実加算2」(月1回に限り2点)…施設基準を満たす医療機関において、初診時にマイナンバーカードを保険証(マイナ保険証)として用いて、オンライン資格確認等により情報の提供を受けた場合に算定。
オンライン資格確認システムやマイナンバーカードの普及を促すため、従来の保険証よりもマイナ保険証を使う場合に患者負担が少なくなる仕組みとなりました。
3.算定するための施設基準について
「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」を算定するためには、次の施設基準を満たす必要があります。(届出不要)
(1)電子情報処理組織を使用した診療報酬請求を行っていること
(2)健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認(オンライン資格確認)を行う体制を有していること
(3)次の事項について、医療機関の見やすい場所およびホームページ等に掲示していること
(ア)オンライン資格確認を行う体制を有していること
(イ)当該保険医療機関を受診した患者に対し、受診歴、薬剤情報、特定健診情報、その他必要な診療情報を取得・活用して診療を行うこと
4.初診時に確認・記載すべき項目
「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」を算定する保険医療機関は、初診時の問診票(様式54)に定めた問診項目を参考とした問診票を使用してください。
※必ずしも当該様式と同一の表現である必要はなく、紙・電子媒体どちらでも問題ありません。
■マイナ保険証による診療情報取得に同意したか
■他の医療機関からの紹介状を持っているか
■本日受診した症状について
・・・症状の内容、発症時期、経過 等
■現在、他の医療機関に通院しているか
・・・医療機関名、受診日、治療内容 等
■現在、処方されている薬があるか
(マイナ保険証による情報取得に同意した患者については、直近1ヶ月以内の処方薬を除き、記載を省略可能※)
・・・薬剤名、用量、投薬期間 等
■これまでに大きな病気にかかったことがあるか(入院や手術を要する病気等)
・・・病名、時期、医療機関名、治療内容 等
■この1年間で健診(特定健診及び高齢者健診に限る)を受診したか(マイナ保険証による情報取得に同意した患者については、記載を省略可能※)
・・・受診時期、指摘事項 等
■これまでに薬や食品などでアレルギーを起こしたことがあるか
・・・原因となったもの、症状 等
■現在、妊娠中又は授乳中であるか(女性のみ)
・・・妊娠週数 等
※マイナ保険証により取得可能な情報については、令和4年9月上旬現在の状況
問診票の項目とは別に、以下の内容についても問診票等に記載することも必要です。
■当該医療機関は、マイナ保険証の利用や問診票等を通じて患者の診療情報を取得・活用することにより、質の高い医療の提供に努めている医療機関(医療情報・システム基盤整備体制充実加算の算定医療機関)であること。
■マイナ保険証により正確な情報を取得・活用することで、より質の高い医療を提供できるため、マイナ保険証を積極的に利用いただきたいこと。
(記載例)
当院は診療情報を取得・活用することにより、質の高い医療の提供に努めています。
正確な情報を取得・活用するため、マイナ保険証の利用にご協力をお願いいたします。
◆「医療情報・システム基盤整備体制充実加算(初診時) 加算1」4点
「加算2」2点(マイナ保険証を利用した場合)
5.医療DXの推進のためのオンライン資格確認の導⼊・普及に関する加算の特例措置
医療DXの推進のためのオンライン資格確認の導入・普及の徹底の観点から、
2023年1月31日、厚生労働省より「オンライン資格確認の導入・普及に関する加算の特例措置」についての告示が行われました。
2023年4月1日~2023年12月31日までの9ヶ月、時限的に適用されます。
「オンライン資格確認の導入・普及に関する加算の特例措置」の具体的内容は以下です。
(1)初診時・調剤時の加算の特例
施設基準を満たす保険医療機関・保険薬局において、初診又は調剤を行った場合における評価の特例
・初診料(医科・歯科)
医療情報・システム基盤整備体制充実加算1(マイナンバーカードの利用なし)
4点→6点
・調剤管理料(調剤)
医療情報・システム基盤整備体制充実加算1(マイナンバーカードの利用なし)
3点(6月に1回)→4点
(2)再診時の加算の特例施設基準を満たす保険医療機関を受診した患者に対し、再診を⾏った場合における評価を設ける。
・再診料
(新)医療情報・システム基盤整備体制充実加算3(マイナンバーカードの利用なし)
なし→2点(1月に1回)
(3)加算要件の特例(オンライン請求の要件)現⾏の加算は、オンライン請求を行っていることが要件となっているが、オンライン請求を令和5年12月31日までに開始する旨の届出を⾏っている保険医療機関・保険薬局は、令和5年12月31日までの間に限り、この要件を満たすものとみなす。
[施設基準](初診時・再診時共通)
○ 次の事項を当該医療機関・薬局の見やすい場所及びホームページ等に掲示していること。
① オンライン請求を行っていること。
② オンライン資格確認を行う体制を有していること。
③ ②の体制に関する事項及び質の高い診療を実施するための十分な情報を取得し、及び活用して診療を行うことについて、当該保険医療機関の⾒やすい場所及びホームページ等に掲示していること。
※①は今回の特例措置で、令和5年12月31日までにオンライン請求を開始することを地方厚生局長等に届け出た場合には要件を満たしたものとみなす。
[算定要件]
○ 上記の体制を有していることについて、掲⽰するとともに、必要に応じて患者に対して説明すること。(通知)
6.まとめ
患者の負担増になっているとして批判が出ていた「電子的保健医療情報活用加算」が廃止され、2022年10月から「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」が新設されることになりました。
また、医療DXの推進のためのオンライン資格確認の導入・普及の徹底の観点から、「オンライン資格確認の導入・普及に関する加算の特例措置」が時限的に適用されます。
オンライン資格確認導入の原則義務化に伴い、医療機関への補助が見直され、申込を行うことで顔認証付きカードリーダーが無償提供されます。
また、それ以外の費用についても補助が拡充されています。
来年4月以降未導入の医院については厚労省からの指導の実施が予定されているため、未導入の先生方におかれましてはこの機会に導入の準備をしておくことをおすすめいたします。
(参考資料)
■医療情報・システム基盤整備体制充実加算の取扱いについて(厚生労働省)
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