2024年診療報酬改定は6月施行になぜなった?
<目次>
令和5年8月2日に行われた中医協(中央社会保険医療協議会)総会にて、カルテベンダや医療機関の診療報酬改定対応の負担の軽減のためとして、従来4月1日より施行されていた施行時期を6月1日に2か月後ろ倒しにすることが了承されました。
本記事では後ろ倒しとなった背景や施行日変更による影響などについて解説していきます。
診療報酬改定全体のスケジュールや今回報酬改定の位置付けなどは下記記事で解説していますので、そちらも併せてお読みください。
2024年(令和6年度)診療報酬改定 医院・クリニック向けの最新動向を解説!
1.従来の診療報酬改定のスケジュール
それではまず従来の診療報酬改定のスケジュールをおさらいしておきましょう。
診療報酬改定全体の主なスケジュールは以下の通りで、改定前年の4月から議論がスタートし1年間かけて議論・取りまとめ・施行が行われる形となります。
<従来の診療報酬改定の主なスケジュール>
・改定前年4月から診療報酬、薬価、医療材料など専門部会に分けて報酬改定議論が開始される。
・改定前年12月までに専門部会での議論が集約され、12月中に報酬改定の基本方針が発表される。
・改定年2月上旬までに点数なしの個別改定項目(いわゆる短冊)が公表される。
・改定年3月上旬までに点数変動も含めた全ての改定項目が公表される。
・改定年4月1日より改定後の診療報酬へ移行する。
・報酬改定後複数回に分けて改定内容に対するQ &Aである疑義解釈資料(前回改訂では計49回)が公表される。
上記のうち最も重要な施行日が、今回4月1日から6月1日へ2か月間後ろ倒しされることになったということです。
2.診療報酬改定が6月施行になった理由・背景
それではなぜ2024年診療報酬改定では施行時期が6月に後ろ倒しになったのでしょうか?
令和5年4月26日開催の中医協総会にて診療報酬改定施行時期の後ろ倒しが初めて提案されました。
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第543回)資料より
上記が該当部分の資料で4つのテーマのうちの1つとして診療報酬改定時期の後ろ倒しが提案されています。
主な理由としては下記のようなものが挙げられています。
・非常に短期間で保険請求のシステム改修を行わなければならず、特にシステムベンダの負担が集中する
・4月1日の施行後も疑義解釈などによっては追加対応を行わなければならない
現在進められている医療DX政策の中で、2年に一回の報酬改定にシステムベンダや医療機関の負担が軽減されるための取り組みとして提案され、それが了承されたということになります。
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第543回)資料より
3.6月施行でスケジュールはどう変わるのか?
それでは施行時期が6月に変わることでスケジュールはどう変わり、クリニックへはどのような影響が出るのでしょうか?
下記が中医協にて提案された6月施行の場合のスケジュール案です。
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第551回)資料より
上記資料をもとに、重要なトピックについてまとめると以下のようになります。
・2月の答申や3月の告示、点数表の発表時期には変更なしで施行時期のみ2か月後ろ倒しとなる。
・薬価改定は従前通り4月1日に行う
・2か月後ろ倒しとなるので診療報酬改定後の初回請求日は7月10日。
・4月1日から6月1日までの間にも疑義解釈や変更通知などが行われる。
これらを勘案してクリニックへの影響を考えると、
・診療報酬改定の詳細情報の発表から初回請求までのリードタイムが2か月伸びるので対応にゆとりがもてる。
・初回請求前に疑義解釈や変更通知が出る。ただし実際に請求が始まってからの疑義も多いはず。
・4月が繁忙期の診療科目(耳鼻咽喉科、内科、眼科など)は繁忙期と改定準備が重ならない。
・逆に皮膚科などの7月が繁忙期になる科目は繁忙期と改定対応を同時にこなさなければならない。
ということが考えられますが、リードタイムが大きくなり準備期間が長くなるというのはどの科目でも歓迎すべき点なのではないかと思います。
以上、本記事では「2024年診療報酬改定は6月施行になぜなった?」というテーマで、その背景や変更点、クリニックへの影響などについて解説しました。
次回報酬改定は、医療・福祉・介護のトリプル改定であり、この他にも重要な変更が行われる可能性があります。
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