生活習慣病管理料(I)(II)とは【2024年6月更新】
本記事は「生活習慣病管理料(I)(II)」について、マネージャーの池田が医師のために記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。
<目次>
- 生活習慣病管理料(I)(II)とは
- 生活習慣病管理料(I)(II)の算定対象
- 生活習慣病管理料(I)(II)の算定要件
- 生活習慣病管理料(I)(II)に包括される項目
- 生活習慣病管理料(I)(II)の施設基準
- まとめ
1.生活習慣病管理料とは
生活習慣病管理料は、脂質異常症、高血圧症、糖尿病を主病とする患者の総合的な治療管理を目的とする管理料であり、2024年度(令和6年度)の診療報酬改定において従来の検査、注射、病理診断などを包括するものとしての生活習慣病管理料(I)と検査等を包括しない生活習慣病管理料(II)に分離されました。
同年の診療報酬改定において、従来内科で算定されることの多かった特定疾患療養管理料の対象疾患から「高血圧」「糖尿病」「高脂血症」が除外されたことにより、生活習慣病管理料の算定への注目が高まっています。
特定疾患療養管理料についてはコチラ
生活習慣病管理料(I)の診療報酬点数
- 脂質異常症を主病とする場合 610点
- 高血圧症を主病とする場合 660点
- 糖尿病を主病とする場合 760点
生活習慣病管理料(I)においては、2型糖尿病でインスリン製剤を使用していない患者(当月もしくは前月にHbA1cがJDS 8.0%以上(NGSP 8.4%以上))に対して、月20回以上の血糖自己測定の実施と検査値、生活状況等に関する患者からの報告に基づく指導、療養計画への反映を行った場合、年1回に限り血糖自己測定指導加算(500点)の算定が可能です。
血糖自己測定加算の算定については、「血糖試験紙(テストテープ)または固定化酵素電極(バイオセンサー)を給付し」在宅で血糖の自己測定を行うことが必要になりますが、血糖試験紙・固定化酵素電極・穿刺器・穿刺針・測定機器の給付、貸与に係る費用や血糖自己測定に係るすべての費用は別に算定することはできません。
また、生活習慣病管理料(I)では、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、当該保険医療機関における診療報酬の請求状況、生活習慣病の治療管理の状況等の診療の内容に関するデータを継続して厚生労働省に提出している場合は、外来データ提出加算(50点)が算定可能です。
生活習慣病管理料(II)の診療報酬点数
生活習慣病管理料(II) 333点
生活習慣病管理料(II)においても、血糖自己測定指導加算および外来データ提出加算が算定可能である旨が公表されています。
2.生活習慣病管理料の算定対象
脂質異常症、高血圧症、糖尿病を主病とする外来患者が対象となります。
ただし、生活習慣病管理料(I)については、糖尿病を主病とする患者で在宅自己注射指導管理料を算定している場合には算定できません。
なお同一医療機関内でも生活習慣病管理料を算定する患者と算定しない患者が混在することは認められています。
また、
●生活習慣病管理料(II)
注3)生活習慣病管理料(I)を算定した日の属する月から起算して6月以内の期間においては、生活習慣病管理料(II)は、算定できない。
とされています。
3.生活習慣病管理料の算定要件
生活習慣病管理料(I)の算定要件に関するポイントは以下の通りです。
- 生活習慣病管理料(Ⅰ)は、脂質異常症、高血圧症又は糖尿病を主病とする患者の治療においては生活習慣に関する総合的な治療管理が重要であることから設定されたものであり、治療計画を策定し、当該治療計画に基づき、栄養、運動、休養、喫煙、家庭での体重や血圧の測定、飲酒、服薬及びその他療養を行うに当たっての問題点等の生活習慣に関する総合的な治療管理を行った場合に、許可病床数が 200 床未満の病院及び診療所である保険医療機関において算定する。
この場合において、当該治療計画に基づく総合的な治療管理は、歯科医師、薬剤師、看護職員、管理栄養士等の多職種と連携して実施することが望ましい。なお、「A000」初診料を算定した日の属する月においては、本管理料は算定しない。 - 生活習慣病管理料(Ⅰ)は、栄養、運動、休養、喫煙、飲酒及び服薬等の生活習慣に関する総合的な治療管理を行う旨、患者に対して療養計画書(療養計画書の様式は、別紙様式9又はこれに準じた様式とする。以下同じ。)により丁寧に説明を行い、患者の同意を得るとともに、当該計画書に患者の署名を受けた場合に算定できるものである。
また、交付した療養計画書の写しは診療録に添付しておくものとする。
なお、療養計画書は、当該患者の治療管理において必要な項目のみを記載することで差し支えない。また、血液検査結果を療養計画書と別に交付している場合又は患者の求めに応じて、電子カルテ情報共有サービスを活用して共有している場合であって、その旨を診療録に記載している場合は、療養計画書の血液検査項目についての記載を省略して差し支えない。 - 当該患者の診療に際して行った「A001」の注8に規定する外来管理加算、第1部医学管理等(「B001」の「20」糖尿病合併症管理料、同「22」がん性疼痛緩和指導管理料、同「24」外来緩和ケア管理料、同「27」糖尿病透析予防指導管理料及び同「37」腎臓病透析予防指導管理料を除く。)、第3部検査、第6部注射及び第 13 部病理診断の費用は全て所定点数に含まれる。
- 生活習慣病管理料(Ⅰ)を継続して算定する月においては、栄養、運動、休養、喫煙、家庭での体重や血圧の測定、飲酒に係る情報提供及びその他療養を行うに当たっての問題点等の生活習慣に関する総合的な治療管理に係る療養計画書(療養計画書の様式は、別紙様式9の2又はこれに準じた様式とする。)を交付するものとするが、当該療養計画書の内容に変更がない場合はこの限りでない。
ただし、その場合においても、患者又はその家族等から求めがあった場合に交付するものとするとともに、概ね4月に1回以上は交付するものとする。
なお、交付した当該療養計画書の写しは診療録に添付しておくものとする。
また、血液検査結果を療養計画書と別に交付している場合又は患者の求めに応じて、電子カルテ情報共有サービスを活用して共有している場合であって、その旨を診療録に記載している場合は、療養計画書の血液検査項目についての記載を省略して差し支えない。 - (2)及び(4)について、患者の求めに応じて、電子カルテ情報共有サービスにおける患者サマリーに、療養計画書での記載事項を入力し、診療録にその記録及び患者の同意を得た旨を記録している場合は、療養計画書の作成及び交付をしているものとみなすものとする。
ただし、この場合においても、(2)のとおり、栄養、運動、休養、喫煙、飲酒及び服薬等の生活習慣に関する総合的な治療管理を行う旨、丁寧に説明を行い、患者の同意を得ることとする。 - 同一保険医療機関において、脂質異常症、高血圧症又は糖尿病を主病とする患者について、当該管理料を算定するものと算定しないものが混在するような算定を行うことができるものとする。
- 学会等の診療ガイドライン等や診療データベース等の診療支援情報を参考にする。
- 患者の状態に応じ、28 日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付することについて、当該対応が可能であることを当該保険医療機関の見やすい場所に掲示するとともに、患者から求められた場合に、患者の状態を踏まえて適切に対応を行うこと。
- 本管理料を算定する患者について、保険者から特定保健指導を行う目的で情報提供の求めがある場合には、患者の同意の有無を確認するとともに、患者の同意が得られている場合は必要な協力を行うこと。
- 糖尿病の患者については、患者の状態に応じて、年1回程度眼科の医師の診察を受けるよう指導を行うこと。
また、糖尿病の患者について、歯周病の診断と治療のため、歯科を標榜する保険医療機関への受診を促すこと。 - 「注3」に規定する加算(※自己血糖測定指導加算)については、中等度以上の糖尿病(2型糖尿病の患者であってインスリン製剤を使用していないものに限る。)の患者を対象とし、必要な指導を行った場合に1年に1回に限り算定する。
なお、中等度以上の糖尿病の患者とは、当該加算を算定する当月若しくは前月においてヘモグロビンA1c(HbA1c)がJDS値で 0%以上(NGSP値で8.4%以上)の者をいう。 - 「注3」の加算(※自己血糖測定指導加算)を算定する患者に対しては、患者教育の観点から血糖自己測定器を用いて月 20 回以上血糖を自己測定させ、その検査値や生活状況等を報告させるとともに、その報告に基づき、必要な指導を行い療養計画に反映させること。
当該加算は、血糖試験紙(テスト・テープ)又は固定化酵素電極(バイオセンサー)を給付し、在宅で血糖の自己測定をさせ、その記録に基づき指導を行った場合に算定するものであり、血糖試験紙、固定化酵素電極、穿刺器、穿刺針及び測定機器を患者に給付又は貸与した場合における費用その他血糖自己測定に係る全ての費用は当該加算点数に含まれ、別に算定できない。 - 「注4」に規定する外来データ提出加算を算定する場合には、以下の要件を満たすこと。
ア 厚生労働省が毎年実施する「外来医療、在宅医療、リハビリテーション医療の影響評価に係る調査」(以下「外来医療等調査」という。)に準拠したデータを正確に作成し、継続して提出されることを評価したものである。
イ 当該加算は、データ提出の実績が認められた保険医療機関において、生活習慣病管理料(Ⅰ)を現に算定している患者について、データを提出する外来診療に限り算定する。
ウ データの提出を行っていない場合又はデータの提出(データの再照会に係る提出も含む。)に遅延等が認められた場合、当該月の翌々月以降について、算定できない。なお、遅延等とは、厚生労働省が調査の一部事務を委託する調査事務局宛てに、調査実施説明資料に定められた期限までに、当該医療機関のデータが提出されていない場合(提出時刻が確認できない手段等、調査実施説明資料にて定められた提出方法以外の方法で提出された場合を含む。)、提出されたデータが調査実施説明資料に定められたデータと異なる内容であった場合(データが格納されていない空の媒体が提出された場合を含む。)をいう。 また、算定ができなくなった月以降、再度、データ提出の実績が認められた場合は、翌々月以降について、算定ができる。
エ データの作成は3月単位で行うものとし、作成されたデータには第1月の初日から第3月の末日までにおいて対象となる診療に係るデータが全て含まれていなければならない。
オ イの「データ提出の実績が認められた保険医療機関」とは、データの提出が厚生労働省保険局医療課において確認され、その旨を通知された保険医療機関をいう。
生活習慣病管理料(II)の算定要件に関するポイントは以下の通りです。
- 生活習慣病管理料(Ⅱ)は、脂質異常症、高血圧症又は糖尿病を主病とする患者の治療においては生活習慣に関する総合的な治療管理が重要であることから設定されたものであり、治療計画を策定し、当該治療計画に基づき、栄養、運動、休養、喫煙、家庭での体重や血圧の測定、飲酒、服薬及びその他療養を行うに当たっての問題点等の生活習慣に関する総合的な治療管理を行った場合に、許可病床数が 200 床未満の病院及び診療所である保険医療機関において算定する。
この場合において、当該治療計画に基づく総合的な治療管理は、歯科医師、薬剤師、看護職員、管理栄養士等の多職種と連携して実施することが望ましい。
なお、「A000」初診料を算定した日の属する月においては、本管理料は算定しない。 - 生活習慣病管理料(Ⅱ)は、栄養、運動、休養、喫煙、飲酒及び服薬等の生活習慣に関する総合的な治療管理を行う旨、患者に対して療養計画書(療養計画書の様式は、別紙様式9又はこれに準じた様式とする。以下同じ。)により丁寧に説明を行い、患者の同意を得るとともに、当該計画書に患者の署名を受けた場合に算定できるものである。
また、交付した療養計画書の写しは診療録に添付しておくものとする。
なお、療養計画書は、当該患者の治療管理において必要な項目のみを記載することで差し支えない。
また、血液検査結果を療養計画書と別に交付している場合又は患者の求めに応じて、電子カルテ情報共有サービスを活用して共有している場合であって、その旨を診療録に記載している場合は、療養計画書の血液検査項目についての記載を省略して差し支えない。 - 当該患者の診療に際して行った「A001」の注8に規定する外来管理加算、第2章第1部第1節医学管理料等(「B001」の「9」外来栄養食事指導料、同「11」集団栄養食事指導料、同「20」糖尿病合併症管理料、同「22」がん性疼痛緩和指導管理料、同「24」外来緩和ケア管理料、同「27」糖尿病透析予防指導管理料、同「37」慢性腎臓病透析予防指導管理料、「B001-3-2」ニコチン依存症管理料、「B001-9」療養・就労両立支援指導料、「B005-14」プログラム医療機器等指導管理料、「B009」診療情報提供料(Ⅰ)、「B009-2」電子的診療情報評価料、「B010」診療情報提供料(Ⅱ)、「B010-2」診療情報連携共有料、「B011」連携強化診療情報提供料及び「B011-3」薬剤情報提供料を除く。)の費用は全て所定点数に含まれる。
- 生活習慣病管理料(Ⅱ)を継続して算定する月においては、栄養、運動、休養、喫煙、家庭での体重や血圧の測定、飲酒に係る情報提供及びその他療養を行うに当たっての問題点等の生活習慣に関する総合的な治療管理に係る療養計画書(療養計画書の様式は、別紙様式9の2又はこれに準じた様式とする。)を交付するものとするが、当該療養計画書の内容に変更がない場合はこの限りでない。
ただし、その場合においても、患者又はその家族等から求めがあった場合に交付するものとするとともに、概ね4月に1回以上は交付するものとする。交付した当該療養計画書の写しは診療録に添付しておくものとする。
なお、血液検査結果を療養計画書と別に交付している場合又は患者の求めに応じて、電子カルテ情報共有サービスを活用して共有している場合であって、その旨を診療録に記載している場合は、療養計画書の血液検査項目についての記載を省略して差し支えない。 - (2)及び(4)について、患者の求めに応じて、電子カルテ情報共有サービスにおける患者サマリーに、療養計画書での記載事項を入力し、診療録にその記録及び患者の同意を得た旨を記録している場合は、療養計画書の作成及び交付をしているものとみなすものとする。
ただし、この場合においても、(2)のとおり、栄養、運動、休養、喫煙、飲酒及び服薬等の生活習慣に関する総合的な治療管理を行う旨、丁寧に説明を行い、患者の同意を得ることとする。 - 同一保険医療機関において、脂質異常症、高血圧症又は糖尿病を主病とする患者について、当該管理料を算定するものと算定しないものが混在するような算定を行うことができるものとする。
- 学会等の診療ガイドライン等や診療データベース等の診療支援情報を参考にする。
- 患者の状態に応じ、28 日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付することについて、当該対応が可能であることを当該保険医療機関の見やすい場所に掲示するとともに、患者から求められた場合に、患者の状態を踏まえて適切に対応すること。
- 本管理料を算定する患者について、保険者から特定保健指導を行う目的で情報提供の求めがある場合には、患者の同意の有無を確認するとともに、患者の同意が得られている場合は必要な協力を行うこと。
- 糖尿病の患者については、患者の状態に応じて、年1回程度眼科の医師の診察を受けるよう指導を行うこと。また、糖尿病の患者について、歯周病の診断と治療のため、歯科を標榜する保険医療機関への受診を促すこと。
- 「注3」及び「注4」に規定する加算(※血糖自己測定指導加算、外来データ提出加算)の取扱いについては、生活習慣病管理料(Ⅰ)の(11)~(13)の例による。
- 「注6」に規定する情報通信機器を用いた医学管理については、オンライン指針に沿って診療を行った場合に算定する。
引用:厚生労働省, 医科診療報酬点数表に関する事項, 保医発0305 第4号, 令和6年3月5日
(下記ページの【省令・告示】(2)-2 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)別添1の資料)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00045.html
なお、令和6年3月28日付の疑義解釈では下記が示されています。
〇療養計画書の署名について(問131、問132、139より)
- 初回については、療養計画書に患者の署名を受けることが必要。ただし、2回目以降については、療養計画書の内容を患者に対して説明した上で、患者が当該内容を十分に理解したことを医師が確認し、その旨を療養計画書に記載した場合については、患者署名を省略して差し支えない。
- 療養計画書の内容について医師による丁寧な説明を実施した上で、薬剤師又は看護職員等の当該説明を行った医師以外のものが追加的な説明を行い、診察室外で患者の署名を受けた場合にも算定可能。
- 令和6年度診療報酬改定前の生活習慣病管理料において療養計画書を患者に交付していた場合、令和6年6月以降の療養計画書については別紙様式9の2又はこれに準じた様式の療養計画書を作成することとするが令和6年度診療報酬改定前の様式を引き続き用いて差し支えない。
〇外来管理加算算定について(問133より)
- 生活習慣病管理料(I)または(II)を算定した月において、当該算定日とは別日に当該保険医療機関において、生活習慣病管理料(I)または(II)を算定した患者に対して診療を行った場合、外来管理加算の算定要件を満たせば外来管理加算の算定が可能。
〇生活習慣病管理料(I)および(II)の算定患者について(問134、135、137より)
- 同一の保険医療機関において生活習慣病管理料(I)を算定する患者と、生活習慣病管理料(II)を算定する患者が同時期にそれぞれいても差し支えない。
- 生活習慣病管理(I)と(II)の算定は個々の患者の状態等に応じて医療機関において判断されるものである。
- 令和6年度診療報酬改定前の生活習慣病管理料を算定していた患者においては、改定前の生活習慣病管理料を算定した時期に関わらず生活習慣病管理料(II)の算定が可能。
〇併算定不可の算定項目について(問136より)
- 「4.生活習慣病管理料(I)・(II)に包括される項目(外来管理加算を除く)*(ページ内リンク)」について、生活習慣病管理料(I)又は(II)を算定した月において、当該算定日とは別日に生活習慣病のために診療を行った場合、当該項目*の費用算定は不可
〇情報通信機器を用いた診療における生活習慣病管理料(II)について(問140、141)
- 情報通信機器を用いた指導管理により生活習慣病管理料(II)を算定する場合の療養計画書への署名については、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を遵守したうえで、電子署名や患者が使用するタブレット等の画面に自署してもらう方法を想定。電子署名については、ガイドラインに定められた電子署名を施すこととされていることを踏まえて対応すること。
- 情報通信機器を用いた指導管理を行う上での留意点を療養計画書に記載すること。
- 情報通信機器を用いた診療を実施する際に、当該診療に関わる看護職員、管理栄養士等が同席することは差支えないが、同席する旨を診療開始前に都度患者に説明し、同意を得ること。
また、情報通信機器を用いた診療終了後に引き続き看護職員、管理栄養士等が指導を行う場合には、情報通信機器を用いた診療の終了時間を記録していることが望ましい。
〇血糖自己測定指導加算について(問142より)
- 生活習慣病管理料(I)及び生活習慣病管理料(II)いずれかの場合に、血糖自己測定指導加算を算定した場合、生活習慣病管理料(I)、(II)のいずれの場合においても、1年以内は血糖自己測定指導加算を算定できない。
〇外来栄養食事指導料について(問143より)
- 生活習慣病管理料(II)において、管理栄養士を雇用していない診療所において外来栄養食事指導が必要となり、他の保険医療機関の管理栄養士と連携し、当該管理栄養士が所属する保険医療機関で対面により栄養食事指導を行った場合に外来栄養食事指導料2(B001-9)の算定が可能。
ただし、栄養食事指導を行う管理栄養士は指示を出す医師の診療所と適宜連絡が取れる体制を整備するとともに栄養指導記録を必ず共有すること。
〇長期投薬・リフィル処方箋に関する周知について(問144より)
- 「患者の状態に応じ、28 日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付することについて、当該対応が可能であること。」に関する掲示内容は、当該保険医療機関において、患者の状態に応じ、「28 日以上の長期の投薬が可能であること」「リフィル処方箋を交付すること」のいずれの対応も可能であることを掲示すること。
生活習慣病管理料(I)および(II)の算定要件に関する要点は以下の通りです。
●生活習慣病管理料(I)・(II)共通
■施設・設備について
・許可病床数が200床未満の病院または診療所であること
・厚生労働省が定める施設基準を満たす保険医療機関であること
■療養計画書について
・対象患者に対して治療計画及び療養計画書(様式9または準ずるもの)を策定すること
・療養計画書は当該患者の治療管理において必要な項目のみで差し支えない
・療養計画書を基に患者へ治療計画の説明を行い、患者の署名による同意を得ること
・交付した療養計画書の写しは診療録に添付しておくこと
・保険者から特定保健指導を行う目的で情報提供の求めがある場合、患者の同意の有無を確認し療養計画書に記載し、同意を得ている場合には必要な協力を行うこと
・療養計画書の内容に、変更がない場合は療養計画書のこの限りではない。その場合においても、療養計画書について“患者又はその家族から求めがあった場合”、“概ね4か月に1回以上”は交付すること。
■電子カルテ共有サービスの活用について
(以下電子カルテ共有サービスを活用している場合に限る)
・患者の求めに応じて、電子カルテ情報共有サービスにおける患者サマリーに、療養計画書での記載事項を入力し、診療録にその記録及び患者の同意を得た旨を残している場合は、療養計画書の作成及び交付をしているものとみなす。
・血液検査結果を手交している場合、又は患者の求めに応じてその旨を患者サマリーに記載している場合は、療養計画書の血液検査項目についての記載は不要
■治療管理について
・治療計画に基づく治療管理は歯科医師、看護師、薬剤師、管理栄養士等多職種との連携が望ましい
・糖尿病患者に対して歯科受診を推奨すること
■主病によって算定要件が追加
<糖尿病を主病とする場合>
・血糖値およびHbA1cの値を診療録に必ず記載すること
・年1回眼科医師の診察を受けるように指導すること
・歯周病の診断と治療のため、歯科受診の推奨を行うこと(追加)。
・管理方針(生活習慣の管理、薬物療法導入、投薬内容)を変更した場合、変更理由および内容等を診療録に記録すること
<高血圧症の場合>
・血圧の値を診療録に必ず記載すること
・管理方針(生活習慣の管理、薬物療法導入、投薬内容)を変更した場合、変更理由および内容等を診療録に記録すること
●生活習慣病管理料(II)のみ
■情報通信機器を用いた診療
・情報通信機器を用いた診療に係る施設基準を満たし、届け出を行っている医療機関では、生活習慣病管理料(II)の所定点数に代えて290点を算定
4.生活習慣病管理料(I)・(II)に包括される項目
生活習慣病管理料(I)と(II)に包括される算定項目はそれぞれ以下の通りです。
生活習慣病管理料(I) | 生活習慣病管理料(II) |
A001 注8 外来管理加算 |
A001 注8 外来管理加算 第2章第1部 管理料* (下記*は除く) |
*糖尿病合併症管理料 *がん性疼痛緩和指導管理料 *外来緩和ケア管理料 *糖尿病透析予防指導管理料 *慢性腎臓病透析予防指導管理料 |
*糖尿病合併症管理料 |
5.生活習慣病管理料の施設基準
生活習慣病管理料(I)(II)に共通する施設基準
1 生活習慣病管理料(I)(II)の注1に規定する施設基準
(1) 生活習慣に関する総合的な治療管理ができる体制を有していること。なお、治療計画に基づく総合的な治療管理は、歯科医師、看護師、薬剤師、管理栄養士等の多職種と連携して実施することが望ましい。
(2) 患者の状態に応じ、28 日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付することについて、当該対応が可能であることを当該保険医療機関の見やすい場所に掲示すること。
2 生活習慣病管理料(I)(II)の注4に規定する施設基準
(1) 厚生労働省が毎年実施する「外来医療、在宅医療、リハビリテーション医療の影響評価に係る調査」(以下「外来医療等調査」という。)に適切に参加できる体制を有すること。また、厚生労働省保険局医療課及び厚生労働省が外来医療等調査の一部事務を委託する外来医療等調査事務局(以下「外来医療等調査事務局」という。)と電子メール及び電話での連絡可能な担当者を必ず1名指定すること。
(2) 外来医療等調査に適切に参加し、調査に準拠したデータを提出すること。
(3) 診療記録(過去5年間の診療録及び過去3年間の手術記録、看護記録等)の全てが保管・管理されていること。
(4) 診療記録の保管・管理につき、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠した体制であることが望ましい。
(5) 診療記録の保管・管理のための規定が明文化されていること。
(6) 患者についての疾病統計には、ICD大分類程度以上の疾病分類がされていること。
(7) 保管・管理された診療記録が疾病別に検索・抽出できること。
生活習慣病管理料(II)のみ
4 生活習慣病管理料(Ⅱ)の注6に関する施設基準
情報通信機器を用いた診療の届出を行っていること。
引用:厚生労働省, 特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて,
保医発0305 第6号, 令和6年3月5日
(下記ページの【省令・告示】(4)-2 特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(通知))
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00045.html
生活習慣病管理料(I)および(II)の算定に関しては、施設基準を満たしていれば、地方厚生局に届け出を行う必要はありません。
ただし、外来データ提出加算の算定や生活習慣病管理料(II)における情報通信機器を用いた診療を行う場合には、別途届け出が必要となります。
6.まとめ
冒頭でもお伝えした通り令和6年診療報酬改定において、「高血圧」「糖尿病」「高脂血症」が特定疾患療養管理料の対象疾患から除外されたことにより、生活習慣病管理料(I)・(II)の算定が内科クリニックで急増することが予想されます。
生活習慣病・慢性疾患の維持、管理を中心とする内科クリニックにおいては、生活習慣病管理料(I)・(II)の算定により、経営に大きく影響するため、算定要件、施設基準を抑え、自院にとって適した算定方法を検討してはいかがでしょうか。
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