マイナ保険証利用促進のための医療機関への補助等の支援策について【2024年6月更新】
本記事は「オンライン資格確認の普及におけるマイナ保険証利用促進のための支援策」について、経営コンサルタントの諏訪原が医師のために記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。
〈目次〉
- オンライン資格確認とは
- マイナ保険証の利用状況
- マイナ保険証利用促進のための支援策
・マイナ保険証利用率に応じた支援金
・カードリーダー導入の支援金 - マイナンバーカードと診察券、受給者証の一体化に伴う支援金
- まとめ
1. オンライン資格確認とは
■オンライン資格確認とは、マイナンバーカードのICチップ又は健康保険証の番号により、オンラインで患者の保険資格情報の確認ができるシステムのことです。各医療機関で保険資格の判別ができるようになることでレセプトの返戻など、事務業務が削減されるようになります。
オンライン資格確認の普及が推進され、各支援策も具体的な案にまとまってきていますので、その内容をまとめて解説致します。
オンライン資格確認の詳細な説明は過去のコラムで解説しておりますので、こちらも併せてご覧ください。
クリニックにおけるオンライン資格確認
(https://www.credo-m.co.jp/column/detail/operation/2351/)
医療情報・システム基盤整備体制充実加算について(オンライン資格確認)
(https://www.credo-m.co.jp/column/detail/hosyu/10020/)
2.マイナ保険証の利用状況
■健康保険証の廃止を定めるマイナンバー法等の一部改正法について、施行期日を令和6年12月2日とする施行期日政令が閣議決定・公布されました。
現行の健康保険証の発行については、令和6年12月2日より終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行していきます。
■現在のマイナ保険証の利用状況について、令和5年11月のマイナ保険証利用件数は約727万件でした。(オンライン資格確認利用件数全体の約4.3%)
患者さん自身がマイナ保険証(マイナンバーカード)を携帯しておらず、現状では医院にとっての手間が多く、推進する場合はオペレーションに時間を割く必要があるため、利用率が低くなっています。
医療機関において、マイナ保険証への移行に向けた準備を進めるよう厚生労働省が呼びかけています。
3.マイナ保険証利用促進のための支援策
■マイナ保険証利用率に応じた支援金
目的
各医療機関において、カードリーダーの操作に慣れない患者への説明など、マイナ保険証の利用勧奨に取り組んで頂くことでマイナ保険証の利用促進を図ること。
概要
マイナ保険証の利用率(初診・再診・調剤)が、2023年(令和5年) 10月からら5%ポイント以上増加した医療機関等を対象に、支援が実施されます。
期間
2024(R6)年1月~11月
※前半期:2024(R6)年1月~5月(5ヶ月間) / 後半期: 2024(R6)年6月~11月(6ヶ月間)
支援内容
前半期(又は後半期)のマイナ保険証平均利用率と、2023(R5)年10月の利用率を比較し、 以下の表の増加量に応じた支援単価を、前半期(又は後半期)のマイナ保険証総利用件数に 乗じた額が支援金として交付されます。
支援額
(出典:厚生労働省「オンライン資格確認の普及について」より引用)
【重要】2024年6月にマイナ保険証利用率に応じた支援金について見直しが行われました。
この見直しによって生じた変更点は以下の通りです。
・後半期(6月~10月)を集中取組月間(5月〜7月)中の一時金制度として見直し
・金額の上限が上がる(診療所なら最大10万円→最大20万円へ増額)
上記の変更に伴い、2023年10月の利用率を起点として、2024年5月〜7月のいずれかの月のマイナ保険証利用人数の増加量に応じ、最大20万円(病院は40万円)が一時金として支給されます。
引用元:厚生労働省「一時金制度に関するリーフレット」
https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/001259762.pdf
支給計算・支払い
<利用率の算出方法>
10月の利用率を出したい場合
「2023(R5)年10月のマイナ保険証利用人数(名寄せ処理後) / 2023(R5)年11月請求分レセプト枚数(外来レセプトのみ)」
つまり、10月のマイナ保険証利用人数が200名、利用件数は300件、レセプト枚数が2000枚だった場合は、200÷2000=10%が利用率となります。
※支援金の交付にあたり各医療機関からの実績報告は不要です。
社会保険診療報酬支払基金から年2回(前半期・後半期)交付されます。
○利用実績の通知
各医療機関のマイナ保険証の利用実績については、社会保険診療報酬支払基金から1月より毎月個別に通知される予定です。
※支援金額や支給方法は今後一部修正される可能性があります。
大枠としてマイナ保険証の利用促進により、医業収入の底上げが可能となります。
支給に当たり医院側で特別な申請などは現段階では必要ないためご安心ください。
■カードリーダー導入の支援金
目的
マイナ保険証利用件数が既に高い施設において、更なる向上を図るサポートをするため
概要
2024(R6)年3月までのマイナ保険証の月間利用件数が、顔認証付きカードリーダー1台当たり500件以上の医療機関等を対象に、顔認証付きカードリーダー増設に要した費用が支援されます。
期間
2023(R5)年11月11日以降に生じた増設に係る費用
支援内容
2023(R5)年10月~2024(R6)年3月までのいずれかの月においてマイナ保険証の月間利用件数の総数が顔認証付きカードリーダー1台当たり500件以上の機関を対象に、顔認証付きカードリーダーを増設に要した費用の一部が補助されます。
補助対象・補助率
「顔認証付きカードリーダー、資格確認端末の購入費用、工事費」に要した費用総額の1/2が補助されます。
補助には上限額が設定されており、診療所では1台あたり27万5千円が上限として補助が受けられます。
※補助対象や補助率は今後一部修正される可能性があります。
診療所単位で顔認証付きカードリーダー1台当たり500件以上のマイナ保険証利用が見込める医院様は現状少ないかと思いますが、今後マイナ保険証の利用促進に取り組む中で導入を検討されている医院様にとっては補助を受けられる支援策となっています。
4. マイナンバーカードと診察券、受給者証の一体化に伴う支援金
目的
マイナンバーカード一枚で受診できる医療機関・薬局の環境整備に対する支援を行うため
概要
再来受付機・レセプトコンピュータ等の改修に要した費用が支援される
期間
2023(R5)年11月11日以降に生じた改修に係る費用
支援内容
• 現在オンライン資格確認システムを導入していれば、再来受付機等の改修によりマイナンバーカードを診察券としても利用することができます。
• また、医療費助成の受給者証についても、デジタル庁においてマイナンバーカードによる資格確認を実施するためのシステムを令和5年度中に構築予定であり、レセコン改修により対応可能となります。
(並行して参加自治体も拡大していきます。参加自治体の情報はデジタル庁HP等でも公表されていきます。今後の参加意向などは各自治体にお問い合わせください。)
• これらの取組に必要な医療機関・薬局の再来受付機・レセコン等の改修について支援が実施されます。
• 令和5年度補正予算案の閣議決定の翌日(2023(R5)年11月11日)以降に生じた改修に係る費用が対象です。
補助内容
診療所は受給者証・診察券の両方に対応、またはいずれかのみに対応している場合5万4千円を上限に補助が受けられます。
補助条件
2023(R5)年10月~2024(R6)年3月末までのいずれかの月のマイナ保険証の月利用件数の総数が500件以上であること。
2023(R5)年10月末のマイナ保険証の利用率と比較して、2024(R6)年1月以降の平均利用率が5%以上増加したこと(2024(R6)年1月以降の利用率を算出し、5%を超えた時点で申請条件を満たしたこととなります。)
5.まとめ
2024年12月2日に健康保険証の新規発行が終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行していくことになりました。
この流れを受け、医院でもマイナ保険証の利用率向上のために機器の導入や患者さんへの呼びかけが必要になってきます。
マイナ保険証の利用を促進する医院へのメリットは以下です。
・受給者証情報の手入力負担が削減される
・再診の医療費助成受給資格の確認が可能
・医療費助成資格の確認事務コストの削減
利用率に応じて支援金の支給や、機器導入においても補助金が検討されていますので未導入の先生方におかれましてはこの機会にマイナ保険証の利用率向上に取り組まれることをおすすめいたします。
(参考資料)https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/001189938.pdf(厚生労働省)
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