耳鼻咽喉科小児抗菌薬適正使用支援加算とは?令和4年度診療報酬改定【2024年6月更新】
本記事は令和4年度診療報酬改定で新設された「耳鼻咽喉科小児抗菌薬適正使用支援加算」について、
クレドメディカルの志賀が医師のために記載した文書です。
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〈目次〉
令和4年度の診療報酬改定により耳鼻咽喉科小児抗菌薬適正使用支援加算が新設されることとなりました。どのような加算なのか?算定基準がどのようなものなのかを解説しています。
1.耳鼻咽喉科小児抗菌薬適正使用支援加算とは?
厚労省は小児に対する診療において、以前より抗菌薬の多用を懸念していました。
2018年より小児科においては小児における抗菌薬適正使用について同種の加算がなされていましたが、2022年より耳鼻咽喉科向けに薬剤耐性(AMR)対策を推進する観点から、抗菌薬の適正使用について加算が設けられることとなりました。
耳鼻咽喉科小児抗菌薬適正使用支援加算 80点(月1回に限り)
[算定要件]
別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において、急性気道感染症、急性中耳炎又は急性副鼻腔炎により受診した6歳未満の乳幼児に対して、耳鼻咽喉科処置を行った場合であって、診察の結果、抗菌薬の投与の必要性が認められないため抗菌薬を使用しない場合において、療養上必要な指導等を行い、文書により説明内容を提供した場合は、所定点数に加算する。
[施設基準]
(1) 耳鼻咽喉科を標榜している保険医療機関であること。
(2) 薬剤耐性(AMR)対策アクションプランに位置づけられた「地域感染症対策ネットワーク(仮称)」に係る活動に参加し、又は感染症にかかる研修会等に定期的に参加していること。
(3) 当該保険医療機関が病院の場合にあっては、データ提出加算2に係る届出を行っていること。
上記の算定要件をもう少しわかりやすく解説すると、
1)算定のタイミングは急性気道感染症、急性中耳炎、急性副鼻腔炎のいずれかであると
診断した日
2)耳鼻咽喉科処置を行っている(次項の下記の算定可能処置一覧を参照)
3)診察の結果、算定日は抗菌薬を使用せず療養上必要な指導等を行い、文書により説明内容を
提供する
上記が満たされた場合に算定ができることになります。
また、厚労省発出の令和4年3月4日の診療報酬改定概要では明示されてはいませんが、小児科における「小児抗菌薬適正使用支援加算」における運用と同様に、耳鼻咽喉科小児抗菌薬適正使用支援加算を算定した日以降、例えば5日後などに再診を行い、細菌性の感染を疑った際に抗菌薬を処方することは可能であると思われます。
2.算定可能処置一覧
上記算定要件のうち、「耳鼻咽喉科処置を行った場合」とありますが、対象となる処置は以下の処置項目が挙げられます。
J095 耳処置
J095-2 鼓室処置
J096 耳管処置
J097 鼻処置
J097-2 副鼻腔自然口開大処置
J098 口腔、咽頭処置
J098-2 扁桃処置
J099 間接喉頭鏡下喉頭処置
J100 副鼻腔手術後の処置(片側)
J101 鼓室穿刺(片側)
J102 上顎洞穿刺
J103 扁桃周囲膿瘍穿刺
J104 唾液腺管洗浄(片側)
J105 副鼻腔洗浄又は吸引(注入を含む。)(片側)
J108 鼻出血止血法(ガーゼタンポン又はバルーンによるもの)
J109 鼻咽腔止血法(ベロック止血法)
J111 耳管ブジー法(通気法又は鼓膜マッサージの併施を含む。)(片側)
J112 唾液腺管ブジー法(片側)
J113 耳垢栓塞除去(複雑なもの)
J114 ネブライザー
J115 超音波ネブライザー
J115-2 排痰誘発法
3.小児科向けの小児抗菌薬適正使用支援加算との違い
小児科向けの「小児抗菌薬適正使用支援加算」の算定要件は
1)小児科外来診療料または小児かかりつけ診療料の算定患者に限る
2)対象は急性気道感染症又、急性中耳炎、急性副鼻腔炎又は急性下痢症により受診した基礎疾患のない患者
3)小児科を担当する専任の医師が診療を行った初診時に算定
4)インフルエンザウイルス感染の患者又はインフルエンザウイルス感染の疑われる患者については、算定できない。
です。
名称が似通っており、加算点数も同じではあるものの、算定要件は異なりますので混同しないように注意が必要です。
4.まとめ
令和4年の診療報酬改定により新設された、耳鼻咽喉科小児抗菌薬適正使用支援加算。
先行して加算が設けられた小児科での実績を受け、薬剤耐性(AMR)対策推進の観点から耳鼻咽喉科においても算定要件を変えて導入されることとなりました。
一方で、耳鼻咽喉科においては医師が診療時に抗菌薬の必要性を認めて処方を行うケースも多分にあろうかと思います。
国としての方針と、保護者のニーズの変化を捉えながら、先生方の診療方針にも影響が出る加算となりそうです。
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