2024年度(令和6年度)の診療報酬改定では、令和4年度診療報酬改定において新設された「情報通信機器を用いた場合」(オンライン診療)の初診料及び再診料の点数に変更がありました。
2.情報通信機器を用いた初診・再診に係る評価の施設基準と算定要件、追加点
施設基準について以下の内容が追加となりました。
【施設基準】
(1) 情報通信機器を用いた診療を行うにつき十分な体制が整備されているものとして、以下のア~ウを満たすこと。
ア 保険医療機関外で診療を実施することがあらかじめ想定される場合においては、実施場所が厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(以下「オンライン指針」という。)に該当しており、事後的に確認が可能であること。
イ 対面診療を適切に組み合わせて行うことが求められていることを踏まえて、対面診療を提供できる体制を有すること。
ウ 患者の状況によって当該保険医療機関において対面診療を提供することが困難な場合に、他の保険医療機関と連携して対応できること。
(2) オンライン指針に沿って診療を行う体制を有する保険医療機関であること。
一方、(2)については、厚生労働省にて公表されていますので、下記をご参照ください。
「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(平成30年3月(令和5年3月一部改訂))
https://www.mhlw.go.jp/content/000889114.pdf
次に算定基準について掲載いたします。
【算定要件】
(1)情報通信機器を用いた診療については、厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿って診療を行った場合に算定する。なお、この場合において、診療内容、診療日及び診療時間等の要点を診療録に記載すること。
(2)情報通信機器を用いた診療は、原則として、保険医療機関に所属する保険医が保険医療機関内で実施すること。なお、保険医療機関外で情報通信機器を用いた診療を実施する場合であっても、当該指針に沿った適切な診療が行われるものであり、情報通信機器を用いた診療を実施した場所については、事後的に確認可能な場所であること。
(3)情報通信機器を用いた診療を行う保険医療機関について、患者の急変時等の緊急時には、原則として、当該保険医療機関が必要な対応を行うこと。ただし、夜間や休日など、当該保険医療機関がやむを得ず対応できない場合については、患者が速やかに受診できる医療機関において対面診療を行えるよう、事前に受診可能な医療機関を患者に説明した上で、以下の内容について、診療録に記載しておくこと。
ア 当該患者に「かかりつけの医師」がいる場合には、当該医師が 所属する医療機関名
イ 当該患者に「かかりつけの医師」がいない場合には、対面診療 により診療できない理由、適切な医療機関としての紹介先の医療 機関名、紹介方法及び患者の同意
(4)当該指針において、「対面診療を適切に組み合わせて行うことが求められる」とされていることから、保険医療機関においては、対面診療を提供できる体制を有すること。また、「オンライン診療を行った医師自身では対応困難な疾患・病態の患者や緊急性がある場合 については、オンライン診療を行った医師がより適切な医療機関に 自ら連絡して紹介することが求められる」とされていることから、 患者の状況によって対応することが困難な場合には、ほかの医療機関と連携して対応できる体制を有すること。
(5)情報通信機器を用いた診療を行う際には、厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿って診療を行い、当該指針において示されている一般社団法人日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診に適さない症状」等を踏まえ、当該診療が指針 に沿った適切な診療であったことを診療録及び診療報酬明細書の 摘要欄に記載すること。また、処方を行う際には、当該指針に沿って処方を行い、一般社団法人日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診での投与について十分な検討が必要な薬剤」等の関係学会が定める診療ガイドラインを踏まえ、当該処方が指針に沿った適切な処方であったことを診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
(6)情報通信機器を用いた診療を行う際は、予約に基づく診察による特別の料金の徴収はできない。
(7)情報通信機器を用いた診療を行う際の情報通信機器の運用に要する費用については、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として別途徴収できる。
3.疑義解釈を踏まえた注意事項
(1)研修の受講
本届出の際、オンライン指針に定める「厚生労働省が定める研修」の受講が必要になります。
研修の概要および申込は下記URLから可能です。
【オンライン診療研修・緊急避妊薬の処方に対する研修】
https://telemed-training.jp/entry
(2)疑義解釈での発表資料(2022年4月時点)
【初診料(情報通信機器を用いた場合)】
区分番号「A000」初診料の注1のただし書に規定する情報通信機器 を用いた初診を行った結果、医師が続けて対面診療を行う必要があると判断し、患者に来院して対面診療を受けるよう指示し、同日に当該保険医療機関において対面診療を行った場合の初診料の算定は、どのように考えればよいか。
上記内容については、「A000」初診料288点のみを算定することとなります。
【外来管理加算】
区分番号「A001」再診料の注8に規定する外来管理加算について、 注1に規定する情報通信機器を用いた再診を行った場合も算定可能か。
外来管理加算に当たっては、医師は丁寧な問診と詳細な身体診察(視診、聴診、打診及び触診など)を行う必要があるため、算定不可とのことです。
【小児科外来診療料】
小児科外来診療料を算定する保険医療機関において、「対象患者に対する診療報酬の請求については、原則として小児科外来診療料により行う」こととされているが、情報通信機器を用いた診療を行った場合は、どのように考えればよいか。
情報通信機器を用いた診療を行った場合は、小児科外来診療料は算定できず、区分番号「A000」初診料の注1のただし書に規定する 251 点又は区 分番号「A001」再診料の 73 点若しくは区分番号「A002」外来診療料の注1のただし書に規定する 73 点を算定すること。なお、初・再診料以外の診療料については、算定要件を満たす場合は算定可。
こちらは2022年4月時点での内容となりますので、届出を検討される場合や算定を開始される場合には、必ず最新の情報を参照いただければと思います。
4.まとめ
ここまで情報通信機器を用いた初診・再診(オンライン診療)について述べてきました。
オンライン診療については、本格的に稼働しているクリニックは少ない状況であるため、まだまだ発展途上であることは言うまでもありません。
今後、本格的な整備に向けてさらなる情報等が発出されると予想されます。
本コラムで記載している内容は、2024年6月時点での内容となりますので、届出を検討される場合や算定を開始される場合には、必ず最新の情報を参照いただければと思います。
この記事が今後の医院経営のお役に立てれば幸いです。