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2023.09.26

クリニックにおける最低賃金改定時の注意点

本記事は「クリニックにおける最低賃金改定時の注意点」について、経営コンサルタントの西村が医師のために記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。

 

 

〈目次〉

1. 2023年度の最低賃金改定について
2. 最低賃金改定によるクリニックへの影響
3. 最低賃金改定時にクリニックが気を付けたいこと
4. まとめ

 

1. 2023年度の最低賃金改定について

 

最低賃金とは最低賃金法に基づいて賃金の最低限度を国が定め、賃金において最低賃金額以上の賃金を使用者は支払わなければならない基準のことです。

 

また最低賃金は「地域別最低賃金」「特定最低賃金」の2種類があります。
「地域別最低賃金」とは都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用され、「特定最低賃金」とは特定の産業ごとに設定される最低賃金のことで、産業の労使が「地域別最低賃金」よりも高い水準で最低賃金を定める必要性があると認めた場合に設定されます。

 

一般的に最低賃金の改定と言えば、「地域別最低賃金」の改定を指し、2023年度の「地域別最低賃金」の改定額は47都道府県で39円~47円引き上げられ、改定額の全国加重平均額は昨年度961円であったのに対し、今年度は1004円となり43円引き上げられました。
この引き上げ額は過去最高の金額です。改定額の発効は都道府県によって異なり、10月1日~10月中旬に行われます。

 

2.最低賃金改定によるクリニックへの影響

 

「地域別最低賃金」の引き上げはクリニックに様々な影響を与えます。

 

地域別最低賃金に抵触することを防ぐために人件費が増加する
「地域別最低賃金」が引き上がれば、それに満たないスタッフの給与を上げなければなりません。
そのため単純に給与が上がることで人件費が増加します。

 

採用活動への影響を減らし、離職を防止するために人件費が増加する
「地域別最低賃金」の引き上げに伴い、周囲のクリニックや企業も給与を上げることで、近隣給与相場の水準が高くなる可能性があります。
採用活動による人材確保と既存スタッフの離職防止を考えれば、近隣給与相場に合わすことも必要になってくるため人件費が増加しやすくなります。

 

扶養内で働くスタッフのシフト調整が難しくなり人件費の増加に繋がる
「地域別最低賃金」が引き上がれば、扶養内で働くスタッフの給与を上げた場合、勤務時間を減らさなければならないスタッフも出てきます。
そのため毎月数時間の不足が発生することでシフト調整が難しくなります。またその数時間を補うために、仮に新しいスタッフを雇用することになれば、さらに人件費が増加する可能性もあります。

 

3.最低賃金改定時にクリニックが気を付けたいこと

 

「地域別最低賃金」が引き上げられる際に最もお気をつけいただきたいことは、近隣給与相場を把握し適切な戦略の上で、適切な給与設定をしていただくことです。

 

●近隣給与相場を調べる
「地域別最低賃金」が上がれば、近隣のクリニック、もしくは近隣一般企業の給与が上がる可能性が高いです。

最も大切なことはその変化に適切に対応することです。

 

「地域別最低賃金」が上がったからといって、調べることなくやみくもに自院の給与を上げることは控えていただいた方が良いです。
必要以上に上げてしまった場合は無駄な人件費が発生しますし、また近隣給与相場を必要以上に高く導く役割を担ってしまう可能性もあるため、給与の金額調整をしていただく際は、近隣給与相場を調べた上で行っていただければと思います。

 

また「地域別最低賃金」が上がっているにも関わらず何もしなければ、近隣給与相場と自院の給与において乖離が広がり、採用活動において応募者の反響が鈍くなる可能性があります。

 

また既存スタッフの離職にも繋がる可能性がありますので、近隣給与相場を把握し調整することは、採用活動とスタッフマネジメントにおいても大切になります。

 

4.まとめ

 

「地域別最低賃金」が改訂される際はクリニックに様々な影響を与えます。
その対策として給与を下げることはほぼないと思います。
給与を上げるにしても、このまま給与を維持するにしても、近隣給与相場を把握し意思決定していただくことは、合理的で間違った判断をしないことに繋がります。

「地域別最低賃金」が改訂された際は、近隣の給与相場を把握し、自院の給与金額の調整をしていただければと思います。

 

近隣給与相場の調査、給与設定などにお困りでしたらご相談ください。

 

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