患者待ち時間に対するクレームへの対策
本記事は「患者待ち時間に対するクレームへの対策」について、経営コンサルタントの神前が医師のために記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。
〈目次〉
1. クリニックへのクレームで多いものは?
クレームや苦情は、相手に対する不快な感情や不満を感じ、それを訴える行為のことを言います。
ではクリニックは患者さんからどのようなクレームを受けることが多いでしょうか?
また、クリニックへのクレームは主にどこで発生するのでしょうか?
こちらはクリニックで発生する可能性のあるクレームの一例です。
・待ち時間が長い
・医師の態度が悪いことや説明不足
・看護師等スタッフの態度が悪い
・病気が治らない、悪化した等の診療に関するもの
クリニック全体が関係することや、看護師やその他スタッフ、または医師個人に該当する事等様々ですが、クレームを受ける場所は受付であることが多く、結果、受付スタッフがクレームの矛先となりがちです。
そして、クレームの内容は「待ち時間」に関することが多いです。
2.クレーム対応のポイント
クリニックでの対応に限らず、クレーム対応にはいくつかのポイントがあります。
ポイントさえ守ればクレーム対応の難易度はある程度下げることができます。
以下でポイントを紹介しますのでスタッフ全員が同じ対応をできるよう、先生方から共有なさってください。
<ポイントその1:まずはしっかりと傾聴する>
人は自分の伝えたいことを伝えられたという事実でスッキリします。
そのため、まずは患者さんの話を傾聴する必要があり、途中で話を遮る、患者さんが話し終わるのを待たずに話し出す等は避けるべきです。
<ポイントその2:理屈で戦わない>
勘違いや思い込みでクレームを伝えてくることも少なくありません。
しかし、そんな時に「こちらは悪くなかった」と理屈で勝っても患者さんの反感を買ってしまいます。患者さんの立場や自尊心を守り「解決できてよかったです。」とニッコリ笑顔で対応することが重要です。
<ポイントその3:チームで対応>
自分が担当ではない、他のスタッフが行ったことだ等と責任回避するような対応は二次クレームにつながります。
患者さんから見れば、どのスタッフもクリニックの代表です。
自分が関係していないクレームにも、クリニックの代表として責任を持って対応することが必要です。
<ポイントその4:感情を持ち込まない>
何度説明してもご理解いただけない場合もあります。
何度も同じ話を繰り返されたり、こちらがクレームを言いたくなることもありますが、常に冷静に対応することが重要です。
<ポイントその5:感謝の気持ちを持つ>
クレームを伝えたくて伝える人はいないはずです。
患者さんもクリニックに「期待」をしてくれているからこそクレームを伝えてくれています。
そのことに感謝し、「改善の良い機会」と捉えることが必要です。
3.待ち時間に対するクレームへの対応法
こちらではクリニックで多い「待ち時間」に対するクレームについて、先ほどのポイントを用いた対応事例をお伝えします。
新型コロナウイルス感染拡大以降、待合室においても密を回避することが求められ「待ち時間」に関するクレームが顕在化しやすくなってきました。
全ての患者さんがクリニックの事情を理解してくれるわけではありませんので、クレームを受けたスタッフには適切な対応が求められます。
仮に待ち時間が長いことに対するクレームを受けた場合、まずは患者さんの言っていることを一旦すべて聞くようにしましょう。
そのうえで「このような状態だから時間が掛かるのは仕方ない」という理屈を捨て、「待って当然」という姿勢ではなく、まずは患者さんに対し「待ってもらっている」という感謝の気持ちを持ち、患者さん側の「待たされている」という不安を受け止めることが重要です。
また、少し状況が落ち着いてきた時には、根本的な問題解決に向け、例えば予約システムの見直しや、WEB問診の導入等を検討なさってください。
4.クレームの有効活用
クレームは無いに越したことはありませんが、本当に怖いのはクレームを伝えずに去っていく患者さんです。
実は伝えにくいクレームを伝えてくれる患者さんはありがたい存在であり、顕在化しているクレームは氷山の一角です。
仮に顕在化したクレームがあった場合、根本的に解決すべき課題があると認識し、課題解決のための組織強化を考えるきっかけとして有効活用することが重要です。
ミーティング等で過去のクレームを分析し、医院全体で改善すべき課題なのか、スタッフ個人で改善すべき課題なのかカテゴリ分けをしてみてください。
そして、改善できる課題から一つずつ着手していただきますと幸いです。
5.まとめ
以上、患者待ち時間に対するクレームへの対策についてご紹介させていただきました。
クレーム発生時の対応は大切ですが、クレーム発生による問題の顕在化をきっかけに、クリニックの課題を分析・改善することに大きな意味があります。
「クレームは医院改善に気づかせてくれる貴重な意見」と考え、クリニックの財産としていきましょう。
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