コロナ禍における皮膚科医院の経営
本記事では「コロナ禍における皮膚科医院の経営」について、皮膚科コンサルティング主宰の安江が医師の為に記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。
<目次>
1. 皮膚科における保険診療の現状とは
2. 美容皮膚科の現状とは
3. 皮膚科における「当たり前」のホームページマーケティング
4. アフターコロナを見据えた、皮膚科医院の経営とは
5. 最後に
1.皮膚科における保険診療の現状とは
2021年12月段階では、皮膚科の保険診療については、
- 平均通院回数の減少(長期処方患者の増加)
- 小児患者の減少
といった背景があり、保険診療についてはレセプト枚数が5%~10%減少しているクリニックが多いと言えるでしょう。
新型コロナウイルスが感染拡大し始めた2020年においては、かぜを始めとした急性疾患を取り扱っている診療科目では、院内感染を恐れる傾向があり、内科・耳鼻咽喉科・小児科では大きくレセプト枚数が減少しました。
一方皮膚科では急性疾患を取り扱っていないので、「診療所を受診することにより、院内での感染リスクを恐れた患者さん」の受診の増加があり、従来受診していなかった患者さんも受診するといったケースが見られ、比較的好調な皮膚科医院が多かったと言えます。
ただ、他科における診療所において、感染防止の対策を徹底することにより、2021年に入ってからは「診療所を受診することにより、感染するリスクを恐れていた患者さん」は従来受診していたクリニックを受診する傾向にあります。
その為、2020年と2021年を比較すると、皮膚科医院においては2021年の方がレセプト枚数が減少している傾向が強いです。
2.皮膚科における美容皮膚科の現状とは
美容皮膚科においては2020年においては好調だったと言っても過言ではありませんでした。好調の背景としては、以下の3つが原因として考えられます。
(1) 緊急事態宣言による外出規制に伴った、余暇に使うお金の使い道の変化
(2) 2020年に支給された特別定額給付金を臨時所得ととらえ、美容に利用した人の増加
(3) ダウンタイムを気にして、美容施術に挑戦できていなかったターゲット層がおこもり需要で体験してみる人の増加
ただ、2021年7月以降は好調に翳りを見せ、2019年頃の美容ニーズに戻りつつあります。緊急事態宣言の解除に伴う外出頻度が増加し、お金の使い道が「元に戻る」もしくは「ウィズコロナ時代に向けた新しい余暇への使い方」といったところも背景としてあるでしょう。
ただ、好調なクリニックは初来院した患者さんをうまくファン化することで固定客化することにも成功していることもあります。その為、競合が多いエリアであればあるほど二極化していると言えるでしょう。
3.皮膚科における「当たり前」のホームページマーケティング
医科診療所の中でも既にホームページは「自院独自のものを持っていないといけない」ということは当たり前になっていますが、皮膚科医院は医科の中でも特に重要となっています。
理由は2点。
- 自費診療(美容皮膚科)も標榜しているクリニックは価格訴求をする為、ホームページがないと告知が全くできません。
その為、ホームページを所有していない時点で認知度不足により、美容皮膚科としてのマーケティング活動がうまくいきません。 - 医科の中でも小児科や内科に標榜されるケースも少なくありません。その為、他科にも関わらず、競合医院が標榜していることにより、自院のホームページの作り込み具合によっては他科の皮膚科を標榜しているクリニックの方が上位に来るケースもあります。
これらの背景を加味した場合、ホームページを作ることはもちろん、上位表示施策(SEO対策)・ホームページ動線の作り込み、状況に応じてはPPC広告を運用することも1つでしょう。
4.アフターコロナを見据えた、皮膚科医院の経営とは
Googleの口コミに一喜一憂する皮膚科医院も少なくありません。ただ、ファン患者は一定数いることは間違いありません。そのファン患者とまずは向き合うことが大事です。
「本物が残る時代」だからこそ、まずは来院する患者さんの満足度を向上させる皮膚科医院の診療を徹底しましょう。
コロナ感染拡大前後を比較すると、保険診療においては長期処方を希望する患者さんが明らかに増加しました。これは時代の流れとともに受け入れなければならない点でもあるので、自宅で確実に薬を塗ってもらうためのセルフメディケーションを高める為の説明体制の構築も各皮膚科医院は重要になってきています。
また、美容診療においては広告規制の対象となり易いので、ホームページでの情報の発信の仕方は以前よりも変化してきています。
InstagramやLINEなどを有効に活用して、見込み患者を囲い込むマーケティング施策は重要になってきています。
5.最後に
最後に「皮膚科医院の経営」において、重要なポイントをお伝えしておきます。
それは自院が「保険診療:自費診療」の売上比率をどの程度で実施していくかを院長先生方の戦略としてしっかり持つことです。
競合状況によっては、自費診療は確かに売上は確保しやすいですが、一方でレーザーをはじめとした医療機器の導入コストも一定の金額がかかります。
自院において、どの診療を強みに持ち、どの診療を柱に持つのかを深く意識していただくことが長期的な皮膚科医院経営には必要不可欠です。
本記事についてより詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。