医療広告規制の「限定解除」、結局何ができるようになるの?
本記事は「医療広告規制の限定解除」について、経営コンサルタントの神谷が医師のために記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。
〈目次〉
1.そもそも医療広告規制とは
①医療は人の生命や身体に関わるサービスであるため、不適当な誘引、不適当な医療サービスを受けてしまった場合の被害が(医療以外の分野に比べて)著しいということ
②医療は極めて専門性の高いサービスであるため、広告の受け手が広告の文言から医療サービスの質を事前に正しく判断することが極めて困難であるということ
以上の理由から、患者さんを保護するという観点で原則として医療に関する広告は禁止されてきた、という経緯がありました。
しかしながら、「患者さんに正確な情報が提供され、医療に関する適切な選択が阻害される恐れが少ない場合」に関しては、医療広告が認められるようになりました。
とはいえ医療広告において、掲載可能な項目は以下の通り決まっており、それ以外の内容についてはやはり広告出稿が禁止されてしまいます。
※なお、院内に貼る掲示物や院内で配布するパンフレット等は、情報の受け手が「すでに受診した患者」に限定されるため、広告ではなく広報とみなされます。したがって、広告規制の対象とはなりません。
2017年の第8次医療法改正以後、医院のホームページも「広告」として扱われることとなりました。医療広告規制に抵触していると判断されてしまった場合、そのホームページの公開そのものが停止されてしまう怖れもございます。
2.どんな広告が規制に引っかかるのか
医療法によって禁止されている表現はいくつかの種類に分類されます。
ホームページに掲載されることも多いですが、実際には規制対象となってしまう代表例と具体例を以下にご紹介いたします。
【比較優良広告】
「他院と比較して自院は優れている」という旨の広告は、それが客観的事実であったとしても著しく誤認を与える恐れがあるため禁止されています。
【誇大広告】
医療サービスを受ける患者さんには個人差があり、同じ処方、同じ施術であっても治療効果が一律ではないという点から、「治療の効果」を謳う内容をホームページに載せてしまうと「誇大広告」であるとみなされる可能性が高いです。
「広告によって実際に誰かを誤認させた」という事実がなくとも、誇大広告に当てはまってしまう場合があります。
【虚偽広告】
データの根拠を明確にせず、患者さんに著しく事実と相違する情報を与え、不適切な医療を受ける恐れがあるため、罰則付きで禁じられています。
その他にも
【主観に基づいた体験談】
【ビフォーアフターの写真】
【公序良俗に反する内容の広告】
【品位を損ねる内容の広告】
等に分類されるものは、広告として世に出すことを禁止されています。
3. 限定解除とは
ただ、上記のような制限を医院のホームページにも適用し、冒頭で述べさせていただきました13のポジティブリストにある内容だけに情報を限定してしまうと、表現できることが大きく制限されてしまい、「医療を受ける者の適切な選択の支援」が事実上不可能となってしまう可能性があります。
こういった背景から、一定の条件を満たした場合には「限定解除」、すなわち上記のような制限を“ウェブサイト上における広告に関してのみ”一部解除できるようになりました。
一般的なクリニックのホームページである場合、基本的には①を満たしています。
また、②に関してもホームページ上のわかりやすい位置に電話番号を書いている医院様であれば基本的には問題ないと考えられます。
しかし③④に関しては注意が必要です。
自由診療の話になりますと、どうしてもクリニックによって施術内容や施術の価格が大きく異なります。したがってこの点に関して、患者さんがわかりやすいように
- 「通常必要とされる治療内容」
- 「標準的な費用」
※明確でない場合は、通常必要とされる治療の最低金額から最高金額
(発生頻度の高い追加費用を含む)までの範囲を示す - 「治療期間及び回数」
- 「主なリスクや副作用」
を明記しなければ、「限定解除」を行うことはできません。
4. 限定解除すると記載できる広告の例
この章では、実際に限定解除要件①~④を満たした場合、どのような広告を表示することができるようになるのかを自費診療の「脱毛」を例にして、ご紹介いたします。
5. まとめ
今回お伝えいたしました広告規制のお話は、ホームページという「医院の顔」の部分に大きくかかわってくる内容となっています。
ある日突然、規制に抵触していると判断され、行政から指導・処分が行われる、といった事態に陥らないためにも、日ごろから自院のホームページの掲載内容をチェックしておきましょう。
また、自院のホームページが広告規制に抵触しているかどうかなど、個別具体的なご相談につきましてはこちら「無料経営相談お申込み」から承っております。
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