【医療機関向け】オンライン診療導入時に必要な検討事項
本記事は「オンライン診療導入時に必要な検討事項」について、経営コンサルタントの西山が医師のために記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。
〈目次〉
⒈ オンライン診療導入時に必要な検討事項
新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけにオンライン診療の規制が緩和されてきています。
具体的には、令和2年に発表された時限的措置で初診の診察が認められた他、令和4年度診療報酬改定では、距離制限(自宅より概ね30分圏内)の撤廃や算定可能な医学管理料の項目が見直され (別途関連資料①・関連資料②参照)、制度上全国規模でのオンライン診療が可能となりました。
新型コロナウイルス感染症の流行前よりもオンライン診療が普及してきている現在、医療機関にとってオンライン診療を導入するか否かが1つの分かれ道にもなってきています。
そこで今回はオンライン診療の導入を検討中の医療機関様向けに、オンライン診療の導入時に検討しておくべきポイントをお伝えしてまいります。
■オンライン診療導入時に必要な検討事項
(1)オンライン診療の対象
(2)オンライン診療の診察時間
(3)オンライン診療の運用方法
オンライン診療を導入するにあたっての検討事項は主に以下の3点になります。
(1)オンライン診療の対象
オンライン診療の対象では、以下のような検討事項があります。
・自院を受診したことがない新規患者(新患)を受け入れるか?
・どの診療科目(疾患)で実施するか?
・対象年齢を限定するか?
(2)オンライン診療の診療時間
オンライン診療の診療時間では、以下のような検討事項があります。
・一般診療と並行してオンライン診療を実施するのか?
・一般診療の空き時間だけに限定するのか?
・一般診療と別の時間枠を設けるのか?
また、患者1人当たりの時間枠(1時間あたり何人の患者を受け入れるのか)も診療時間と併せて検討する必要があります。
(3)オンライン診療の運用方法
オンライン診療の運用方法では、以下のような検討事項があります。
・どのビデオ通話サービスを用いてオンライン診療を行うか?
・スタッフやドクターの配置(役割分担)
・予約~診察~会計の一連の流れ
オンライン診療の運用方法はクリニックによって様々なため、どの方法を見本にすればよいのか分からない、自院に合った方法が知りたいと悩んでおられる先生をよくお見受けします。
その中でも特に、“利用するビデオ通話サービスの選定”に苦難されている先生が多い様子です。
⒉ ビデオ通話サービス(オンライン診療サービス)の選び方
オンライン診療を実施する際に使用される通話サービスを大きく2つに分類すると、以下の2つになるかと存じます。
■オンライン診療サービスの分類
- 一般的なビデオ通話サービス(Zoom、Skypeなど)
- オンライン診療特化型サービス(LINEドクター、CLINICSなど)
一般的なビデオ通話サービスを使用するメリットは、『手軽さ』です。
アカウント登録をすれば、すぐに利用することができます。更に基本的に無料で使用することができます。
一方で、オンライン診療特化型サービスは申込後の審査など、利用開始までに1週間~1ヶ月程度の時間がかかります。
更にサービスを利用するにあたって初期導入費や月額使用料、決済手数料等の費用が発生します(利用開始までに要する期間や各費用はシステム会社により異なる)。
オンライン診療特化型サービスを利用するメリットは、『使いやすさ』です。
診療アプリよりWEB予約→保険証のアップロード・問診→診察→会計まで一貫してアプリ内で終えることができます。
Zoomなどの一般的なビデオ通話サービスではWEB予約や決済サービスは付加されていないため、クリニック側でオンライン診療の予約受け入れ体制や支払い方法の整備を行う必要があります。
更に、システム会社によって種類は異なりますが、電子カルテと連携できる点も魅力の1つです。
また、患者視点で比較してみると、オンライン診療特化型サービスなら患者情報や支払い情報の登録を1回済ませば、次回以降はそれらの情報入力が不要という点も使いやすさという観点で上回っています。
上記の特徴を考慮すると、既存の通院患者のみを対象に小規模でオンライン診療を行うのであれば費用負担の少ない一般的なビデオ通話サービスを利用するのもよいかと考えます。
一方で、新患や初診を対象に含める・オンライン診療を担当するスタッフの人員が少ない・1日5名以上のオンライン診療を実施するのであれば、オンライン診療特化型サービスを利用することをお勧めします。
⒊ オンライン診療を上手く運用するために
オンライン診療を上手く運用するためには、運用方法を確立して医師・スタッフの皆で共有することがとても大切です。
運用方法を確立する方法として、自院でシミュレーションを重ねて一連の流れを確立するだけでなく、同じオンライン診療サービスを用いているクリニックのHPから、オンライン診療の受付や受診方法などを参考にするのもよいでしょう。
その上で、自院に合ったオンライン診療の流れをマニュアル化し、メンバーに共有しておくと比較的トラブルが起こりにくくなります。
そして、もう1つ大切なことが“患者への周知”です。オンライン診療の体制は整っていても受診患者がいなければ意味がありません。
特に新患も診療対象にする場合は、HPやSNSなど院外への情報発信が有効です。
オンライン診療を大々的に実施して集患対策の1つにするのであれば、PPC広告を利用するのもよいでしょう。
その他にも、既存患者向けに院内掲示や、受診時の声掛けといった方法も忘れず行っていただく必要があります。
⒋ まとめ
ここまで、オンライン診療導入を検討中の医療機関様に向けて、オンライン診療導入時に検討しておきたい事項・注意点をお伝えしてまいりました。
オンライン診療の導入時には、誰を対象に・どの時間帯で・どんな方法でオンライン診療を実施するのか明確にイメージができるようになってから運用を始めないと、一般診療にまで支障をきたす恐れがあります。
また、先生のお悩みで多い“オンライン診療サービスの選定”では、クリニックのオンライン診療に対する方針によって優先すべき事項が異なってきますので、他院に惑わされず自院に合ったサービスを選ぶ手助けとして本記事がお役に立てば幸いです。
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