医師偏在是正について
本記事では「医師(主に開業医)の偏在是正」について、クレドメディカルの田中が医師の為に記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。
<目次>
1. 加速している医師の地域・診療科偏在
日本の医師の地域・診療科偏在は加速しており、深刻な問題となっています。
特に2004年に「新臨床研究制度」が導入されたことで都市部の大規模病院への医師集中が顕著になり、地方部では深刻な医師不足が問題となっています。
この偏在は、医療の質の低下や、地域住民の医療アクセス困難につながっています。
診療科においても、人気のある専門科への集中と、他の診療科の医師不足という不均衡が生じています。
医師のキャリアパス選択、医療機関の経営状況、生活環境など、複数の要因が複雑に絡み合ってこの偏在を加速させていると考えられます。
2. 医師偏在の現状について
<都道府県別 医師偏在指標>
上位・・・東京都(353.9)、京都府(326.7)、福岡県(313.3)
下位・・・岩手県(182.5)、青森県(184.3)、新潟県(184.7)
二次医療圏別で見た場合、東京都の区中央部では医師偏在指標が789.8に対し、岩手県釜石では107.8と差が大きくなっています。
<診療科目別 医師数の推移(クリニックのみ)>
2010年~2020年にかけて
大きく増加・・・眼科、整形外科、皮膚科、精神科
ほぼ変化なし・・小児科、産科、アレルギー科など
大きく減少・・・産婦人科、外科
・内科系の医師は絶対数は多いが、その伸びは緩やかになっており、診療所医師全体に占める割合は低下している。
・美容外科は、絶対数としては少ないが、最近の増加が顕著である。
過去には、若手医師が主たる診療科として美容外科を選択することはほとんどなかったが、2020 年は診療所の若手医師(35 歳未満)1,602 人のうち、美容外科が245人である。
参考:診療科別医療施設従事医師数の変化 図2.3.1/図2.3.4/図2.3.6/図2.3.7
3. 厚生労働省医師偏在是正対策推進本部での議論
こうした医師偏在の状況を解消するため、2024年9月 厚生労働省内に「厚生労働省医師偏在是正対策推進本部」を設置し医師偏在対策の推進について議論が行われ、2024年末までに総合的な政策のパッケージを策定し、これらを組み合わせた医師偏在是正に係る取り組みを推進することが決定されました。
クリニックに関わる主な論点として、下記が挙げられます。
①医師確保計画の実効性
・都道府県が医師偏在是正に主体的に取り組み、国は都道府県をサポートする仕組みを検討すべきではないか。
②医師の確保・養成
・外来医師多数区域における新規開業希望者に対する医療機能の要請等の現行の仕組みをより実効力のあるものとする等の規制的手法について、医療法等における位置づけを含めて検討すべきではないか。
・地域の医療需要や働き方改革推進の観点から、より一層の対応が必要な診療科の医師について、インセンティブを高める方策についてどのように考えるか。
③実効的な医師配置
・新たに選定する重点的な支援対象区域(都道府県において医師偏在対策に重点的に取り組む支援対象区域)における開業・承継の支援や、経済的インセンティブを含め、医師の勤務意欲につながる方策について検討すべきではないか。
4. まとめ
第1回厚生労働省医師偏在対策推進本部の資料より「医師偏在是正」に関して、特にクリニックに焦点を当てて解説をいたしました。
2024年10月現在、第1回の会合のみが行われている状況ですが、2024年末までに総合的な政策のパッケージが策定される予定のため、これからご開業予定の先生や分院展開を考えていらっしゃる先生は続報をお待ちいただければと存じます。
本コラムが少しでもお役に立ちましたら幸いです。
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