経営計画

内科

2025.04.08

内科が目指すべき「かかりつけ医」とは

本記事では「内科が目指すべき「かかりつけ医」とは?」について、内科コンサルタントの千馬が医師のために記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。

 

 

<目次>

  1. かかりつけ医・かかりつけ医制度とは
  2. かかりつけ医機能報告制度
  3. 患者が診療所に求めること
  4. 内科がめざすべきかかりつけ医とは?

 

近年、医療の質の向上、地域医療体制の強化等の側面から、国民1人1人がかかりつけ医を持つことが推奨されています。
今回は、2025年4月に施行される「かかりつけ医機能報告制度」の内容も含め、「内科が目指すかかりつけ医」についてお伝えいたします。

 

1.かかりつけ医・かかりつけ医制度とは

 

そもそもかかりつけ医とは、患者が医師を表現する言葉であり、「健康に関することをなんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介してくれる、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師。
(日本医師会・四病院団体協議会「医療提供体制のあり方」 https://www.ajha.or.jp/topics/4byou/pdf/131007_1.pdf ,2013年8月8日)」と定義されています。

 

つまり、患者さんから見たときに病気を治すことだけでなく、健康や病気の予防に関する不安や心配ごとを相談できるほか、専門医療機関との連携を行いながら、医療・保健・福祉の側面からトータルサポートをする医師と言えます。

 

2.かかりつけ医機能報告制度

 

現在、日本で急速に進む人口減少・高齢化により、複数の慢性疾患や医療と介護の複合ニーズを有することが多い高齢者の増加と、生産年齢人口の減少に対応していくため、かかりつけ医制度を推進する取り組みが進められています。
その取り組みとして、医療機能情報提供制度における国民・患者への情報提供や地域包括診療加算・機能強化加算などの診療報酬によって、かかりつけ医機能の評価が取り組まれてきました。
加えて2025年4月からは、かかりつけ医機能報告制度が施行されることとなり、かかりつけ医制度を強化していく動きは変わらず見られます。

 

かかりつけ医機能報告制度においては、まず1号機能として「継続的な医療を要する者に対する発生頻度が高い疾患に係る診療、そのほかの日常的な診療を総合的かつ継続的に行う機能」を有するか否かの報告が求められます。
さらに1号機能を満たすとされた医療機関においては、2号機能として「時間外の診療、入退院時の支援、在宅医療への対応、介護サービスへの連携機能」を有しているか否かについての報告が求められます。

※報告内容の詳細についてはコチラをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001271206.pdf 

 

この制度を通して、地域の実情に応じて各医療機関が機能や専門性に応じて連携しつつ、それぞれが担うかかりつけ医機能の内容を強化することが、今後各診療所に求められることとなります。

 

ここまで制度上のかかりつけ医について見てきましたが、思い出していただきたいことはかかりつけ医とは、患者視点での医師の呼び方を指すことです。
実際に、「かかりつけ医機能を有していると制度上認められているが患者さんはかかりつけ医と思っていない」、「かかりつけ医機能が無くとも患者さんがかかりつけ医と思っている」状況が多くの医院で見られます。

 

 

3.患者が診療所に求めること

 

では、具体的に患者さんはかかりつけ医や、かかりつけ医がいる診療所に対して、何を求めているのでしょうか。
かかりつけ医に対する認識の不一致が起きていることから見ると、患者さんにとってかかりつけ医とは、単なる制度上認められていることでも、病気の治療を行う医師というだけではないようです。

 

クリニックのかかりつけ医に求めることは何か?
まず、病院との機能的な違いから考えてみると、病院は高度な医療技術を駆使した専門的な治療を行う場である一方、診療所はより身近で、患者さんとの継続的な関係構築を重視した医療を提供する場であるといえるでしょう。

 

このことから患者さんは、かかりつけのクリニックに対しては単に病気の説明を受けるだけでなく、自身の状態や治療方針に基づいて、医師と十分に話し合い、納得感を得ることを求めています。
また、スタッフの対応や診療所の雰囲気、受診のしやすさなども、患者さんにとって重要な要素であり、予約が取りやすいシステム等は、患者さんの満足度に影響し、かかりつけ医として認識されるかどうかに影響してきます。

 

4.内科がめざすべきかかりつけ医とは?

 

内科は総合診療科目とも言われるように、「どの診療科にかかればいいかわからないから、とりあえず内科にいってみよう」という患者が多いことが特徴の一つに挙げられ、主訴が多岐にわたります。
また、患者さんの年齢層も幅広く、大人や高齢者だけでなく、立地によっては近くに小児科がなく、小児患者も多く受診されるというクリニックもあります。
つまり、内科は他の診療科目と比較して、幅広い患者、病気・症状、相談への対応が求められます。
これほど幅広い診療領域となるため、自院で治療できる疾患は治療する、対処が難しい疾患は専門医療機関へ迅速に連携していくことが求められています。

 

しかし、今後かかりつけ医機能報告制度が浸透していくことになれば、疾患や診療領域ごとに継続的な治療が可能かを耳鼻科や皮膚科、小児科なども公表していくことになり、「とりあえず内科に相談」する患者は減っていく可能性があります。
そのため、かかりつけ医としての内科診療所には、単に病気の治療だけでなく、質の医療サービスを通じて心身ともに健康を包括的に支える予防・健康増進、迅速な地域医療連携を通じた体制が求められることになっていきます。

 

これらの課題に対応し、一人一人の患者さん、そして地域や国からの「かかりつけ医」として求められる役割に答えていくためには、診療のオペレーション、マーケティングからマネジメントまでをバランスよく噛み合わせ、盤石な医院体制を構築していく必要があります。

 

本コラムが先生方のお役に立てば幸いです。

 

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