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2021.04.21

開業医がよく陥る医院経営の失敗

本記事では「開業医がよく陥る医院経営の失敗」について、主任経営コンサルタントの西村が医師の為に記載した文書です。より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。

 

<目次>

  1. 開業医と勤務医の違いとは?
  2. 開業医が開業後に後悔した失敗事例その1
  3. 開業医が開業後に後悔した失敗事例その2
  4. 開業に失敗するタイプと成功するタイプの違いは?
  5. 開業医が心掛けるべきこと

 

開業医と勤務医の違いとは?

 

開業医と勤務医の場合勤務する病院やクリニックの形態によって若干の違いはありますが、受診する患者層が異なることにより、接し方というのが大きく異なります。

 

病院勤務医の場合は紹介状をもって受診する患者さんが多い一方で、開業医の場合はかかりつけ医として重症な疾患の最初の診断を行って病院に紹介をする場合もあれば、経過観察で来院されるような場合もあります。

 

その為、患者さんとの日ごろのコミュニケーションが診断の第一歩となるケースも開業医の場合は少なくありません。

つまり患者さんからもコミュニケーションがとりやすい医師であり、信頼してもらい信用を得ることが求められています。

 

患者さんと信頼関係を築くことで、どんな診察をしてどのような治療を進めるのか理解してもらい、患者さんに安心感を抱いていただくことができます。

その結果患者満足度が高まりやすくなり集患へと繋がっていきます。

勤務医は開業医と異なり「患者さんは自然に来院するものではなく努力しなければ来ていただけない」という考え方を持たれている方は少ない印象もあります。

 

多くのクリニック様とお付き合いさせていただいている中でクリニック経営を上手くされているクリニック、一方であまりスムーズに運営されていないクリニックがあると感じています。

それは上述したような内容に加え、経営的な視点や考え方があるかないかその点に大きな違いがあるように感じます。

 

コンサルティングを行っている中で開業後にいわゆる失敗したと後悔されている点は多くが共通しているように感じます。今回はその代表的な後悔事例を2例ご紹介します。

 

開業医が開業後に後悔した失敗事例その1
「クリニックの経営スキルが身についていなかった」

 

経営スキルに必要な要件は財務管理、経理、労務管理、スタッフマネジメント、患者さんを自院に呼び込むマーケティングなど多くの要素が複雑に絡みます。

 

先程お伝えした「患者さんは自然に来院するものではなく努力しなければ来ていただけない」という考え方もその一つです。

 

勤務医時代は患者さんが自然と来院し集患する必要性はあまりなかったのではないでしょうか?

しかし自分のクリニックを開業した後、開業医は集患を意識した診療をしていかなければなりません。

 

失敗しているクリニックの代表的な共通点は、診療における患者さんへの対応が勤務医時代と変わることなく受け身のスタンスで「診てあげている」という意識で診察し、患者さんに横柄な態度と感じられ不快に思われることが挙げられます。

 

このような場合は「患者さんから良いイメージを持ってもらえない」というマイナスの印象を与え、それがマイナスの口コミとなり広まります。

 

また、これだけ情報が発達した時代の為、近所の方だけではなく、Googleの口コミ・やSNSを介して広域の多くの方に良い噂も広がる範囲が増えた一方で悪い評判も広まりやすくなってしまいました。

 

しかも良い噂ではなく、マイナスの口コミに関しては払拭するのは非常に困難を極め、払拭するには抜本的に診療体制や各種取り組み事項を見直しても最低でも3年(場合によっては払拭できない場合も)はかかるでしょう。

 

そのためクリニックの評判は最初が肝心です。最初に良い評判が広まればその評判を維持すれば患者さんが来院してもらえる可能性は段々と高まります。

 

この最初の評判作りに失敗したクリニックさんは数年経った今でも本当に後悔されています。

 

そのため開業直後の最初の患者さんを診察するその瞬間から「患者さんは自然に来院するものではなく努力しなければ来ていただけない」という考えを持って、心地よいと思ってもらえる診療を心がけるようにしていただければと思います。

 

もちろんこれは院長だけではなくスタッフも同様の考えを持つべきです。

無愛想で清潔感がないようなスタッフはしっかりと指導し「患者さんは自然に来院するものではなく努力しなければ来ていただけない」という考えを持たせることが大切です。

 

開業医が開業後に後悔した失敗事例その2
「スタッフとのトラブルが多かった」

 

クリニック経営は院長1人で行うことは難しいでしょう。

 

処置や検査を手伝ってくれる看護師や、受付業務、クラーク業務などを手伝ってくれる医療事務などの協力があってこそ多くの患者さんを診察することができ、クリニックの発展に繋がります

 

ただ、経営があまりうまくいっていないクリニックの場合、スタッフ同士の人間関係が悪く、風通しが悪い雰囲気があり、スタッフの満足度が低く、退職者が多い傾向にあります。

せっかく採用したスタッフが成長し、ようやく一人前になったと思ったら退職するので、いつまで経ってもクリニックは発展せず日々の診療も効率的にならず、スタッフマネジメントに対する院長の負担が増えクリニック経営が非効率になります。

もちろんスタッフに関するトラブルも多くなります。

 

ではスタッフの人間関係が良く、スタッフマネジメントが良好なクリニックにはどのような共通点があるのでしょうか?

 

それはとにかく院長とスタッフ、そしてスタッフ間で頻繁にコミュニケーションを取り、さらに定期的にコミュニケーションを取る仕組み(ミーティングやヒアリングなど)を構築していることです。

 

スタッフマネジメントに苦しんでいるクリニックはこのコミュニケーションを上手く取れていないことがほとんどであり、その理由は双方の信頼関係が構築出来ていないことが大多数でしょう。

 

スタッフが入職した最初の段階から院長と信頼関係をしっかり構築できていれば、大きな壁がなく容易にコミュニケーションは取りやすくなります。

しかし入職時にスタッフに厳しすぎる態度で接し、もしくは「従業員なんだから経営者の言うことを聞くのは当たり前だ」と、まるで召使いに接するような態度を取ってしまっては信頼関係など構築できるはずがありません。

 

そのような扱いを受けたスタッフは常に不満を持ち、居心地が悪く、モチベーションが高くないスタッフになりやすくなりいずれ退職することが多いです。

 

仮に残って勤務をしてくれたとしても、新しく入職された方に「院長は接しにくい人」だと話したりすることがあり、院長とスタッフ全員が信頼関係を構築しにくい関係性になっていきます。

 

開業当初からスタッフと信頼関係を構築するためのコミュニケーションをしっかりと取っておけば、「今ここまで苦労することはなかった」と後悔されている院長もおられます。

 

開業に失敗するタイプと成功するタイプの違いは?

 

開業後に失敗したと思う院長と成功したと思う院長の違いは、「いかに柔軟に対応できるか」という点も重要になってきています。

 

勤務医から開業医となりクリニックの経営者になることは、柔軟に考え方を変化させ「患者さんはお客さんである」という考え方を持ちながら、集患し患者満足度を高めるクリニックを創ることが求められます。

 

また勤務医と開業医の大きな違いである点が「マネジメントをするかしないか」という点です。

開業医になると、採用から教育といったスタッフマネジメントを行わなければ成長しません。

 

ただ一方で厳しすぎると成長しない(退職リスクが高くなる)というジレンマもあります。スタッフにモチベーション高く効率よく働いてもらうには努力が必要になります。

 

勤務医時代の考え方から柔軟に変化し信頼関係を構築するためのコミュニケーションをしっかりと取るようにしていただきたいと思います。

ぜひ開業後に失敗するタイプの院長ではなく、開業後に成功するタイプの院長としてクリニック経営をしていただければと思います。

 

開業医が心掛けるべきこと

 

お伝えしましたように開業医は柔軟な姿勢で経営的な視点や考え方を持ちながら、失敗したと後悔している院長たちが過去に行った失敗事例を踏襲しないことが大切です。

 

ホームページ戦略・SNS戦略、地域によっては看板などの増患対策(認知度アップ)と、患者満足度を高めるための院内での様々な工夫を行い、1人でも多くの患者さんに認知してもらい、来院した際には1人でも多くの患者さんに満足・安心して帰宅してもらうことが最重要項目といっても過言ではありません。

 

患者さんそしてスタッフなどクリニックにおいて関わる全ての人達に、真摯な態度で接し誠実に対応することを心がけ、患者さんと接するスタッフと信頼関係を構築するべきと私は考えています。

 

少々青臭いことをお話ししたようにも思いますが、これから開業される先生方に少しでもご参考いただければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。