経営計画

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2021.07.15

勤務医とクリニック開業医 診療科別の平均年収を解説

本記事は「開業医の年収」についてクレドメディカルの西條が医師の為に記載した文書です。

より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。

 

 

<目次>

  1. 勤務医のメリット、デメリット
  2. 開業医のメリット、デメリット
  3. 勤務医の平均年収
  4. 開業医の平均年収
  5. 最後に

 

 

1.勤務医のメリット、デメリット

 

勤務医で働くことのメリット、デメリットを待遇面と業務内容に分けてご紹介します。

 

<待遇面>

 

メリット

  • 収入が安定している
  • 役職や勤務年数に応じて年収が上がる
  • 年金など福利厚生面が手厚い

デメリット

  • 大幅な給与の上昇は難しい
  • 自身の働き方に関係なく給与が組織の経営状態に左右される
  • 地域によって給与水準が左右される

 

勤務医として働くことについて給与を中心とした待遇面はこのような形となります。

勤務医の大きなメリットは安定性があることだと言えるでしょう。

その他福利厚生がしっかりしている点も魅力です。

一方自分の働き方や努力に関わらず、所属する組織や勤務する地域によって給与が左右される面はデメリットと言うことができるでしょう。

一般的に国公立病院は給与水準が低く、民間病院は給与水準が高くなります。また、公立病院ではアルバイトが認められないなどの理由から年収が低くなる傾向にあります。

地域差としては都心部は医師数が多いことから買い手市場であるため給与水準が低く、地方やへき地では給与水準が高くなります。

 

<業務内容>

 

メリット

  • 先進的な医療や専門的な診療、特異な症例などに携わることができる
  • 間接部門があるため診療に集中することができる
  • 他の医師と連携することができる

デメリット

  • 勤務先によっては当直やオンコールがある
  • 医局人事により転勤を伴うことがある
  • 論文執筆などの業務が発生する

 

勤務医として働くことのメリットは医師としてのスキルアップが大きいでしょう。

高度医療に携わることができるのは勤務医ならではのやりがいと言えます。

その他、人事や総務を専門にする部署があるため診療に集中できる面も勤務医のメリットです。一方、勤務医として働く以上は組織の方針に従う必要があります。

当直やオンコールによって自由な時間が思ったように取れないなど可処分時間が組織に左右されます。

また、引っ越しを伴う転勤ではお子さんも転校が必要になるなどご本人以外にご家族も影響を受けると言えるでしょう。

 

 

2.開業医のメリット、デメリット

 

ご自身で開業し、開業医として働くことのメリット、デメリットを待遇面と業務内容に分けてご紹介します。

 

<待遇面>

 

メリット

  • 収入は自分の働き次第
  • 経費の使用など金銭的な裁量が大きくなる

デメリット

  • 患者さんを集められないと勤務医時代より給与が低くなることがある
  • 開業資金を融資で賄った場合は借金を背負うことになる
  • 怪我や病気などで診療が行えなくなると収入が無くなる

 

開業医の一番のメリットは自分の働き次第で収入をどこまでも上げることができる点です。

売上全てが収入とはなりませんが、家賃、従業員の給与など経費を支払った後に残った収益の使い方を自由に采配できます。

一方で売上が無ければ収入は無くなってしまいます。

そのため怪我や病気などで診療ができない期間があるとその間は無収入となります。

そのような状況に備えて保険に加入するなど自分で対策を進める必要があります。

 

<業務面>

 

メリット

  • 診療時間など全てを自分の裁量で決められる
  • 自分の理想とする医療をそのまま提供できる
  • 上下関係に悩まされることが減る

デメリット

  • 代診医を見つけないと休むことができない
  • 設備などの費用を全て自分で賄う必要がある
  • スタッフ採用や教育なども行う必要がある

 

開業をすると診療時間や休診日などについて自分の裁量で決めることができます。

また、診療方針や検査の内容についても自分で決定できます。

一方で代診医を見つけられないとクリニックを休診とする以外に休めなくなります。

また検査機器も自ら準備する必要がありますので見積もりを依頼したり、購入かリースかの判断をしたり、と診療以外の業務が発生します。

スタッフの採用や教育も自分で行う必要があることも開業することで増加する負担と言えます。

 

 

3.勤務医の平均年収

 

 

勤務医の年収を所属する組織別と診療科目別で紹介します。

 

経営形態別 平均年収(万円)
国立 882.4
公立 1347.1
医療法人 1443.8

※出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」

 

国公立病院で勤務する医師の年収に比べて医療法人で勤務する医師の年収が高くなるようです。経営形態によって年収に差があるのは国公立病院は赤字である病院が医療法人が経営する民間病院に比べて多いことなどが要因と考えられます。

 

診療科目別 平均年収(万円)
内科 1247.4
外科 1374.2
整形外科 1289.9
脳神経外科 1480.3
小児科 1220.5
産科・婦人科 1466.3
呼吸器科・消化器科・循環器科 1267.2
精神科 1230.2
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 1078.7
救急科 1215.3
麻酔科 1335.2
放射線科 1103.3
その他 1171.5

※出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」

 

 

診療科目別では脳神経外科が一番年収が高く、次いで産科・産婦人科が年収が高く、平均年収で1,400万円を超えるようです。一方、眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科の平均年収は1,078万円と平均年収で400万円程度の差があります。

週あたりの労働時間が診療科目によっても差があることも年収の差に関係していると思われます。

 

 

4.開業医の平均年収

 

開業後法人成りしている場合は理事報酬の形で給与を受け取る形となり、個人で申告する場合は医業収入から経費を除いた部分が所得となります。

 

厚生労働省の「医療経済実態調査報告」によると開業医の年収は2,500万円を超えており、勤務医に比べて大きく上昇していることが読み取れます。

 

中でも眼科は年間の利益≒年収が3,500万円を超えており、大きな所得を得ていることが読み取れます。

その他整形外科、耳鼻咽喉科、小児科、内科の順に年間利益が大きいようです。

 

 

5.最後に

 

勤務医と開業医で年収や待遇についてご紹介しました。

開業をすると大きな所得と自由を得られると思われがちですが、患者さんを自分で集めないといけない、スタッフをマネジメントしていく必要があるなど相応の負担と責任が付いて回ります。

メリットだけに目を向けて安易に判断をせず、ご自身のライフプランに沿って勤務を続けるか開業するかご判断いただくと良いでしょう。