耳鼻咽喉科 盛衰の本質
耳鼻咽喉科 盛衰の本質
開業後5年10年を経過しても継続して成長を続ける医院と、逆に早くから衰退傾向に向かう医院が、数年ほど前からはっきりと分かれてまいりました。その盛衰は、医院の規模の大小に関わらず生じています。
これらの主因としては、
- 予約システムやWEBマーケティングのようなICTの活用の有無
- 人材難時代でのスタッフマネジメント力
が挙げられることは以前からお伝えしている通りです。
ただ、それらとは別に大きな要素があることを感じています。
それは、
「診療の質を大切にしているか?」
「患者さんの満足度を大切にしているか?」
という最も根本的なものです。
10年前とは状況が変わり、患者さん側でも多くの情報が簡単に手に入るようになり
(一部の地方部を除いては)数ある耳鼻咽喉科医院の中から
患者さん側がお気に入りの医院を選べる時代になりました。
さらに、昔は混雑している医院は待ち時間の面から敬遠されましたが、
現在では予約システムを上手く活用すれば
①少ない待ち時間で、②自分が良いと判断した医院を、③快適に利用できる時代です。
昨今、「診療の質を大切にしているか?」「患者さんの満足度を大切にしているか?」を
顧みておらず、苦戦している耳鼻咽喉科医院の例をいくつか挙げてみましょう。
×自分の旧来のスタイルに固執し、ガイドラインやICTの環境が大幅に変わっているのに治療方針や受診方法を顧みることをしない
×数十年前から診療スタイルに進化がなく、検査機器もほとんどない、経過の説明なく何度も通わせようとする
×明らかに過剰な検査をパターン的に行い、その割には大した説明もない。毎回、著しく窓口負担が高い
×院長やスタッフが患者さんを見下したような態度をとる
×院内の清掃が全く行き届いておらず、薄汚れたぬいぐるみや破れた雑誌や絵本が雑然と並んでいる
いかがでしょうか?
繰り返しになりますが、患者さんにとって今の時代は選択肢が豊富にある状況であり、さらに耳鼻咽喉科の診療領域に内科、小児科、歯科など他の科目が年々侵食してきています。例えば、睡眠時無呼吸症候群の治療や舌下免疫療法の導入などがその代表的なものとして挙げられます。
ここまでの内容は一端にすぎません。本質に立ち返り、改善すべきものがあると感じられた院長先生は、今からでも改めていただければと存じます。厳しい言葉にはなりますが、旧態依然の診療スタイルや、患者さん本位ではない自院の論理のみを優先するような耳鼻咽喉科医院は衰退を免れません。
弊社がお邪魔しているクライアントの中に
「診療効率は敢えて重視せず、徹底的に一人一人の患者さんに時間をかけて向き合うスタイル」
で県内全域から多くの支持を集めている耳鼻咽喉科医院があります。他の耳鼻咽喉科では相手にしてもらえない患者さんにも時間をかけて話を聴き、高い満足度を実現されています。
さらに数年前より経験の豊富なドクターに診療に加わっていただいたことで、「徹底した診療の質の充実」と「多くの方の診療ニーズに応える」という相反する2つの要素を実現され、さらに大きな飛躍を遂げておられます。
また、そのクライアントとは別の医療法人様では、
7院を展開する中で、どの院でも同じクオリティで診療を受けていただけるよう、
グループ全体でできること、できないことを的確に切り分け、出来ることを高い水準で提供しておられます。そしてなによりもお待たせしない、グループ各院に共通する居心地の良い雰囲気を作り上げ、通いやすいクリニックとして高いリピート率を実現されています。
全く方向性の異なる2つのクライアントですが、実は共通点があります。
①極めて離職率が低い
5年以上勤務は当たり前、10年以上勤務されている方も共に何名もいらっしゃいます。
②法人としての患者さんに対する方針が明確である
盛衰の本質として先に述べた「診療の質を大切にしているか?」「患者さんの満足度を大切にしているか?」に対して、明確な答えを持っておられます。
トップの志、医院の志に共感し、その志の実現に向けて働いているからこそ、永く務める方が多数おられる、そして、患者さんが集うのです。我々クレドメディカルも、患者さんやスタッフを大切に考えて診療をされている医院を日本中に増やし、そのような医院を経営面・運営面でサポートできる会社でありたい、そのように考えています。
全世界が同時に大きなうねり・革新の時代の真っ只中に突入したこのコロナ禍を経て、新たに考慮せねばならない項目が増えたことも確かです。そのような中でも本質を見失わず患者さんのための診療を提供していただければ幸いです。一方で、共に診療に携わってくれているスタッフへの配慮もお忘れなきよう。