例えば、
・検査をどこよりもやっている
・患者さんのために最適な薬を処方している
・最先端の医療機器が揃っている

などを思い浮かべる先生もおられるかもしれません。

しかし、実際に患者さんが貴院に魅力を感じている点は、

・待ち時間が少ない
・先生、看護師、スタッフの対応が丁寧
・待合室やトイレがキレイ
・薬を長めに処方してくれる

などかもしれません。

このように、先生が思う魅力や強みは患者さんが感じている魅力とは一致しないことがあります。
そこで、ジョハリの窓を活用した患者さんのリピート率向上施策についてお伝えいたします。

 

ジョハリの窓とは、サンフランシスコ州立大学の心理学者ジョセフ・ルフトとハリ・インガムの二人が発表したモデルで、二人のファーストネームを取ってこの名前が付けられました。

そして、ジョハリの窓は「他人は自分をどのように捉えているのか」という気づきを通して自己理解を深めてコミュニケーションを円滑にするために作られたものですが、今回はこのジョハリの窓をマーケティングの観点で応用する方法としてご紹介いたします。

<ジョハリの4つの窓>
ジョハリの窓は、自分の認識と相手の認識により4つの領域(窓)に分かれています。

①開放の窓
自分は知っている×相手も知っている

②秘密の窓
自分は知っている×相手は知らない

③盲目の窓
自分は知らない×相手は知っている

④未知の窓
自分は知らない×相手も知らない

それでは、これらがどのような事象に当てはまりどのように対応していくのがよいか説明します。

<開放の窓>
自分も他人も知っている領域のこと。
つまりは、先生も知っており患者さんも知っている事柄や特徴のことです。

「患者さんから○○と思われているかもしれない」という患者さんからの目と
「医院はこんな一面があるかもしれない」という先生の主観が一致している状態です。

この開放の窓が大きくなると相手への信頼感が増すと言われています。

つまり、医院の魅力と患者さんにとっての魅力が一致している状態を作り、できるだけ開放の窓を大きくしていくことでリピート率が向上します。

<秘密の窓>
自分だけが知っていて、他人にはまだ知られていない領域です。
秘密の窓は、自己開示をして相手に知ってもらう事で小さくなると同時に開放の窓が大きくなります。

例えば、耳鼻咽喉科であればBスポット療法(EAT)を実施している、
ゾレアを実施している、
STによる嚥下リハビリが受けられる、
など、どこの耳鼻咽喉科でも
受けられるわけではない治療を実施しているが、
それを患者さんが知らない状態です。

この場合、ホームページやSNSを活用して医院のことを発信したりして認知度を高めることが大切です。

<盲目の窓>
他人は知っているが、自分では気づいていない領域です。
「先生にとっては良かれと思ってやっていることでも患者さんにとっては必要でなかったり、逆に、先生にとっては大したことはしていないが患者さんにとってはとても嬉しいこと」ということもあります。

この盲目の窓は、自分では気づいていないので、小さくするにはやはり患者さんの生の声を聞く必要があります。

そのためには「アンケートの実施」が効果的です。
アンケートで例えば、
・「他院と比べ、当院の魅力は何ですか?」
・「改善するとよいことはなんですか?」
など患者さんに自由に記載できる質問を用意すると先生方も気づいていない医院の良い部分や改善点を聞くことができるかもしれません。

最近ではGoogleフォームなど無記名で回答できるものもありますので、活用してみてください。
また、Googleの口コミにも先生の知らない気づきがあるはずです。
先生方が気づいていない魅力や強みを発見できたなら、それをより多くの患者さんに認知してもらえるように発信したり、スタッフと共有しましょう。

逆にマイナスの点があれば改善することで盲目の窓が小さくなり開放の窓が大きくなります。

<未知の窓>
文字通り、自分も相手も知らない領域です。
未知の窓は、今後患者さんに、より信頼される魅力ある医院にできる可能性の領域です。

盲目の窓と秘密の窓を小さくして開放の窓を大きくする努力をする中で、未知の窓である新たな気づきを得ることができるはずです。

今回は、医院のリピート率向上のために患者さんの感じる医院の魅力や強みと先生方の感じる医院の魅力や強みを一致させるためのモデルとして「ジョハリの窓」をご紹介しました。

コミュニケーションのモデルでも考え方によれば患者さんの信頼を獲得するためのマーケティングに応用することができます。

また、先生方が気づいていない魅力や改善点などは患者さんから教えてもらうという気持ちが大切です。
ぜひ、患者さんも気づいていないニーズを見つけて医院経営の武器にしてください。

本コラムが先生方のお役に立てば幸いです。