耳鼻咽喉科医院における繁忙期と閑散期の人員体制の調整方法
繁忙期をどう乗り切り、閑散期に何を取り組んでいくかを明確に
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耳鼻咽喉科医院は花粉症シーズンや感染症シーズンの繁忙期、夏場の閑散期等、1年の間でも時期によって1日の来院患者数に大きく差が生じます。
そうすると、「1コマあたりの適正なスタッフ数」も時期によって異なってくることから
今年も現存のスタッフの人数で対応することができたけれど
来年の繁忙期はどう乗り切ろう・・・
今年の繁忙期は多めに人員を採用・配置したのはいいが、
閑散期のシフトをどうしよう・・・
このようなお悩みを持つ院長先生も多くいらっしゃいます。
そこで、本コラムでは、繁忙期と閑散期における人数体制を調整方法についてお伝えいたします。
まず、前者の医院では毎年採用活動を必要最低限のみ行っているケースが多いです。
具体的に申し上げると、「人がやめた時にのみ」採用活動をするという状態です。
採用したスタッフが定着し、皆さんが長期的に勤務してくだされば全く問題はないのですが、そうもいかないところが医院経営の難しいところです。
そこで、そのような医院には、下記2つの方法で対策されることをおすすめします。
1.繁忙期の限定要員として、洗い場、採血(点滴)専用看護師などの臨時ポジションを募集する
例えば、洗い場の期間限定要員であれば、受付・会計業務、介助業務といったポジションと比較して、業務を習得する難易度が低いというメリットがあります。
また、近年はどの医療機関でも採用難な状況が続いていますが、「臨時要員」「洗い場のポジション」という特性上、競合する求人数も少ないことから、新たな求職者層からの反響を見込むこともできます。
そうすることで、既存のスタッフは洗い物をしなくても良いので、従来の医療事務業務(受付・会計・介助etc)に注力できます。
加えて、期間限定の増員であるため、閑散期には余分な人件費はかかりません。
また、上記の対策を実践されている医院では、洗い場のポジションは「診療時間中のみ」あるいは「診療時間中の一部の時間帯のみ」の勤務を認めている場合もあります。
洗い物は常時発生する訳ではないため、このような柔軟な勤務体制も実現できるのです。
2.繁忙期にパートさんの出勤シフトを増やす
ただし、この方法は、院長先生との関係性が良く、その上で「繁忙期に出勤を増やしても良いよ」と快く引き受けてくださる方のみとすることをおすすめいたします。
※多くのパートさんは繁忙期と閑散期で収入に波があるよりも、安定的に収入があることを好みます。
パートスタッフの勤務においては、出勤できる曜日の限定など、様々な制約がありますが、信頼関係が構築できていれば、医院の方針にご協力して出勤日を増やしてくださる場合もありますので、ご参考ください。
次に、「今年の繁忙期は多めに人員を採用・配置したのはいいが、閑散期のシフトをどうしよう・・・」という悩みを抱いている医院では、繁忙期に照準を合わせた人員配置によって、閑散期には人が余る状況に陥っています。
そのような場合は、閑散期に「診療業務に従事するスタッフ」ではなく、「診療以外の業務に従事するスタッフ」を増やすことを推奨しています。
実際に、多くの医院において、診療時間中にスタッフの「作業時間」「学習時間」を確保することができていないことが事実です。
そこで、まずは
□整備してほしいマニュアル
□診療にあったら便利なツール
のように院長先生が普段から「あったらいいな」と思われていたものをリーダークラス(ベテランクラス)の方に依頼し、作成していただくのはいかがでしょうか。
それ以外には、診療の裏で接遇や専門知識に関する研修動画などを交代制で閲覧してもらうような形で教育の機会を設けることもおすすめです。
今回は「繁忙期と閑散期で起こる必要人員の違い」という観点から具体的な人員調整方法をお伝えしました。
耳鼻咽喉科医院は1年の中で繁忙期と閑散期を繰り返す科目であり、花粉症の飛散量や感染症の流行状況といった外部環境にも左右されやすいことから、その時々の状況によって必要人員が大きく異なります。
そのため、医院が中長期的に繁栄していくための礎を築くためには、繁忙期をどう乗り切り、閑散期に何を取り組んでいくかを明確にすることが重要です。
本コラムの内容をご参考いただき、時期に応じて適切な人員調整を行うことで、繁忙期・閑散期を問わず、円滑なクリニック運営を行っていただけますと幸いです。