(1)治療の品質と患者負担額のバランス

(2)少ない待ち時間

(3)患者さんの要求に応えた通院回数

(4)立地

これらの条件について詳しく解説していきます。

 

 
(1)治療の品質と患者負担額のバランス
まず「しっかりと治してくれるのか」

こちらは患者さんの医院を選択する大前提の条件です。
この条件だと、多くの院長先生が「うちはそれなら大丈夫だ」と思われると思います。

再度ご確認いただきたいのは、患者さんが求めている治療とは、治療の成果はもちろんのこと、
「自分自身が診療に納得した上で治療をすすめてもらうこと」です。

ここでご理解いただきたいことは、‘納得’というところが重要であることです。

 

耳鼻咽喉科の特性上、多くの患者さんを診る必要性があります。
その為、ついつい「治療(検査、投薬)の説明が短めになってしまう」ということはよくある状況です。

説明を長くしすぎると診察終了時間に影響する、
短くしすぎると患者さんの不満につながる、
…と、バランス感覚が極めて重要ですが、
【過不足ない説明】で患者さんに納得してもらうことができる診療体制の構築は必要不可欠です。

良き口コミが起こり続けている医院さんでは、この体制を追及し、進化し続けています。

またこれらの体制を充実させた上で患者負担額へのアンテナは重要です。
診断に必要だからといって検査を増やしてしまうと、やはり患者さんの負担が多くなります。

地域の平均レセプト単価を著しく超えている場合には
「あそこのクリニックは高い」といった口コミが起きてしまいます。

また説明が淡泊だった場合には、
「検査をしたが、あまり説明してくれない。ちょっと高いのでは?」という疑心暗鬼にも陥りがちです。

 

患者さんのニーズを正確にくみ取りながら、‘納得してもらえる’治療を提供する為にも、
治療の品質と患者負担額のバランスを意識していただくことは重要です。

 

(2)少ない待ち時間

待ち時間は大きく分けると2種類あります。

・「診療開始までの診療を待つ時間」
・「診療終了後からの会計を待つ時間」

 

「診療開始までの診療を待つ時間」に関しては、目安時間は30分以内です。
この目安時間を超えてしまうと、患者さんからは「待ち時間が長い医院」のイメージを持たれてしまいます。

目安時間を超えている医院さんは

予約システムを導入していない
もしくは
予約システムの利用率が低い

のいずれかと断言しても良いでしょう。
その為、解決策としては「予約システムを効率的に運用すること」を真っ先に挙げることができます。

 

効率的な運用方法として以下の2つが代表的でしょう。

・予約システム利用率のアップ(利用目安率は70%以上)
・遅刻者に対しての罰則規定の設定(○人以上遅れた場合はキャンセルetc)

待ち時間を課題としている医院さんでは、上記を参考に閑散期のプロジェクトとしていただくとよろしいでしょう。

 

ただ、待ち時間に関しては「診療終了後からの会計を待つ時間」の方が重要と考えております。

なぜならば、診察開始までは「医師の診療開始」を待っているので、少々待ち時間が長くとも待つことができますが、診察終了後は「帰宅すること」を待っています。
その為、限りなく待ち時間を短くすることが必要です。

目安時間は3分以内です。
ここの時間短縮は診察終了後にカルテを会計担当に如何にスムースに運搬・伝達するかがポイントです。

どこで‘もたつき’が発生しているかは医院によって異なります。
その為、閑散期に患者さん役となってスタッフに自院を受診していただき、実際の待ち時間を把握してもらった方がより具体的な解決策を立てることができるでしょう。

 

(3)患者さんの要求に応えた通院回数

まずは自院の平均通院回数は把握してください。

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<平均通院回数の算出方法>
実人数(のべ人数)÷レセプト枚数

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耳鼻咽喉科業界の平均通院回数は、約1.8回~1.4回。
果たして、この平均通院回数に対して自院はいかがでしょうか?

 

全体の平均通院回数が2.5回以上の医院さんは注意が必要です。

通院回数が高くなりすぎると、
「あそこの医院はすぐ通わせる」というマイナスの口コミが発生する可能性は常にあります。

疾患にもよりますが、「6歳以下」「高齢者」は比較的通院回数が高くなる傾向にあります。
その為、これらの世代の方たちは通院回数がある程度高くなっても問題はないかと考えます。

但し「6歳以下」の保護者の方は通院期間が長くなってしまうと、通院することに対して疑問や不安をもってしまいがちなので、途中経過をしっかりと説明していただくことで不安を払拭してあげた方が良いです。

また「社保本人」は会社に出勤しながらの通院となりますので、
その点も加味しながら治療方針を組み立てて上げると、結果的に通院コンプライアンスが向上します。

 

 

(4)立地

患者さんが通院する上でも立地は「好条件であればあるほど望ましい」とされます。

立地に関しては、医院が在している地域によってお伝えできる情報が異なりますので、本ページでは重要なポイントのみお伝えいたします。

 

まず、前述しました(1)(2)(3)の条件を既に満たしている上場合に限り、更に患者さんを受け入れるキャパシティーを増やすための対策として立地の再考をお考えになっていただいた方が良いでしょう。

医院様によってはご自宅と併設されている場合などもありますが、そのような場合は患者さんのアクセスが良くない場合もあります。

 

そのような医院さんでは、以下の条件を参考に移転を検討していただくことも推奨しております。

・駅から徒歩圏内である
・生活幹線道路沿いにある
・地域住民の方が頻回に利用する商業施設が近隣にある

患者さんの通院手段において車が大半の医院さんでは、駐車場の台数も重要な条件です。

立地や医院のキャパシティーで悩んでいる医院様は
「自院は果たして通院しやすい条件を有した医院であるか?」を再度意識していただくことは重要です。

 

 

今回お伝えしました4つの条件は、
花粉の飛散状況や、競合の台頭状況によって左右されにくい、医院づくりのためには必要不可欠な要素です。

これらの条件を踏まえた上で、
自院が進むべき戦略を構築することは経営者としての院長先生の責務でもあります。

 

是非ご自身のクリニックを見つめなおしていただきたいと思います。