70%で進める勇気
たとえば持ち帰りツールの費用対効果を考える
患者様は診察を受ける短い時間の中で、
疾患とその治療について説明を受けても、診察室に入るだけで緊張していたり、つらい症状に意識が言って説明を覚えていないということは頻繁にあります。
こうした状況に対して、持ち帰り可能な冊子や説明書きのように文字で残るものを渡すことで患者様が落ち着いて文字を読み返すことができるので、非常に有効なツールとなります。
もちろん製薬会社から配布された冊子でも、患者様の理解が深まりますが、医院オリジナルのものを作成して配布するとマーケティング面でも効果が生まれます。
自院の名前が載っているだけで、自院を思い出して来院のきっかけにしてもらうことができるからです。
しかし、自院で作成しようと思うと、作成には費用も手間も掛かるため
「読まないでゴミ箱に捨てられるのがオチじゃないか。」
「せっかく費用をかけたのに増患に繋がらないんじゃないか。」
と懸念される先生もいらっしゃいます。
実際に読まれないでゴミ箱に捨てられるということもあるのも現実です。
仮に100枚配ったとして、100人の患者様すべてに読まれるということはありません。
ここで考えて頂きたいのは、ズバリ費用対効果です。
A4サイズ1枚@¥15のリーフレットを100枚作ったとすると、
¥15 × 100枚 = ¥1500
何が起こるのかというと、配布した患者様の3%、つまり3名来院されれば、初診料だけでも費用は回収できることになります。
もしも100枚配って、70枚が読まれていたとしたら、どれだけの来院に繋がるかをぜひ想像してください。
さらに、医院オリジナルの配布物は新規の患者様を生み出すツールになります。
実は、口コミをする方は医院に関する情報や冊子などのツールを保管しているようです。
Web検索をして気に入ったページはお気に入りに登録して、情報にアクセスしやすくしますよね?
それと同じことをアナログでも行っているのです。
リーフレットが1枚手元にあることで、思い出すきっかけや会話のきっかけになり自院の口コミが広がっていくのです。
費用をかける以上失敗は許されない、完璧なものを出さないといけないという方をお見掛けしますが、自身が知っている100%の情報は相手にとっても100%の情報でしょうか。
患者様は中耳炎という言葉は知っていても、中耳ってどこ?と当たり前に質問してきます。
つまり、医師として基本中の基本であっても、患者様にとっては新しい情報であり、先生の70%の情報が患者様の100%を満たしてくれることもあるのです。
10個施策を行ったうち、7個の施策で成功すればいいと考えて取り組むようにすることが前進する機会を生みます。
実際に、そうした医院さんの方が成功しているケースが多いように感じます。
施策と簡単に言っても多種多様なものがあり、その時の組織の状態や体制、外部の時流に合わない施策はどうしても出てくるかと思います。
失敗に終わりそうな施策が出てきた時には、10個中10個すべてのことを完璧にしようと思わないで、失敗していることを無理に続けず素早く退くことも大切です。
コストを最小限に抑えて損失が肥大化することを避けることができます。
どうか完璧を求めすぎることを辞めて70%で進めることを恐れないでください。