その一方で、この「閑散期」を組織強化の
チャンスと捉えることも可能です。

まとまった時間を確保しやすいため、新たな取り組みを始める良い機会になります。

  • クラークを導入する
  • 教育マニュアルを作成する

など、繁忙期にはなかなか進められないマーケティングやマネジメントなどの
プロジェクトを既に進行されている医院もあるかもしれません。

今回は上記のようなプロジェクトとは別に、
今後の医院のために、医院全体の業務の生産性を上げて、
効率良く業務が行える体制の基礎を築くことができる
『5S活動』についてご紹介させていただきます。

 

まず5S活動とは、

「整理」・「整頓」・「清掃」・「清潔」・「躾(しつけ)」

の頭文字を取ったものです。

 

職場環境の維持・改善のために用いられるスローガンで、
先生方も耳にされたことがあるかもしれませんが、
身の回りの整理・整頓を通じて仕事のバラつきをなくし、
業務の生産性を高めるための手法です。

多くの企業がこの5S活動を取り入れており、日本の企業で5Sといえばトヨタが有名です。

トヨタが有名な生産方式である「ジャスト・イン・タイム」などを導入している背景には、
この5S活動が基礎となっているのです。

 

それぞれ解説していきますと、


 

1. 整理

これは見栄え良く整えるという意味ではなく、
「本当に必要なモノだけを残す」ということです。
使わないモノのために、管理する人件費やスペース分の家賃を考えるとムダです。

トヨタ式の5S活動では、捨てる基準を設定し、
「何をいくつ持っておくのか」
「保管するものはいつまで置いておくのか」ということを予め設定します。

その設定したルールに乗っ取って処分をします。
処分するか迷ったときは赤札作戦です。

例えば3ヵ月使わなかったら捨てるなど、迷っているモノに
3ヵ月後の日付を書いた赤い札(紙)を貼っておきます。
そうすれば誰が見ても一目瞭然です。

そして、3ヵ月使用しなければ処分するという流れです。

 

2. 整頓

これはモノを「一番使いやすい場所・状態で置く」ということです。

モノがしっかりと管理されていなければ探すというムダな時間が発生してしまいます。

そういったムダな時間を無くすために
「定品」「定位置」「定量」の3つの「定」を使った整頓を行うのです。

これは決まった場所に、決められた量のモノを置くということです。

受付だけでも多くの備品が存在しています。筆記用具などの細かい備品においても、
誰でも分かるように、テプラーなどで場所を固定して、誰でもすぐにその備品が
使用できる状態にするということです。

 

3. 清掃

これは文字通り掃除をして職場をきれいにすることですが、それだけではなく、
「なぜ汚れるのか」という原因を見つけ、
「汚れないようにするにはどうすればいいか」という対策を考えて改善していく
ことを意味します。

この改善をすれば、職場が汚れることを軽減することができ、
清掃の時間が省かれることになります。

毎日の掃除は点検と同じです。

清掃の方法・いつどこを清掃するのかなど清掃を仕組み化することで、
スタッフは備品の状態など些細な違いに気づくことができるようになり、
備品の故障や万が一のトラブルを未然に防ぐということにも繋がります。

 

4. 清潔

これは、「整理」「整頓」「清掃」の3Sを維持することです。

せっかく綺麗な状態ができたとしても維持されなければ意味がありません。
継続して綺麗な状態を保つことが重要で、維持する仕組みを作らなければいけません。

そのためには、当番を決めて定期的に3Sが維持されているかを確認することも大切です。

 

5. 躾(しつけ)

これは、これまでの4つのSを全スタッフが当たり前にできるように習慣化することです。

これには、リーダーの役割も重要で、この5S活動を始める前の
土台(仕組み)を作る必要があるのです。

加えて、部下のモチベーションを維持し、自主的に行動できるよう促さなければいけません。
その為には、ときに自らが手本となり方向性を指し示すことも大切です。
仕組みを作り、スタッフの自主性を促すことを念頭に置いていただければと思います。

 


 

ここまで5Sについて解説しましたが、先生方の医院でも
「掃除は毎日ちゃんとやっているし、整理・整頓もできているから大丈夫」
という声が聞こえてきそうです。

しかし、5S活動は単なる掃除や整えるだけではないということが
お分かりいただけたかと思います。

 

この5S活動を医院で習慣化できれば、業務が効率的になり、生産性が上がるばかりでなく、
スタッフは小さな変化に気づき、改善を図ろうとするようになるのです。
それは次第に掃除や備品の管理だけでなく、通常の業務においても表れてくるでしょう。

そこがポイントなのです。

これら院内環境の整備をルーティーンとして日常化し、
毎日徹底されるようにする必要があります。

それには、一定期間にプロジェクトとして進行することが、
定着するスピードを早め且つ質の高いものになるのです。

 

冒頭でも述べましたが、
この5S活動は、他のプロジェクトを進行する上での基礎となる
ということを鑑みた上で、先生方の医院でも導入を検討されてはいかがでしょうか。