そんな中、
「やろうと思っていることがあるのに手を付けられない。」
「忙しすぎて、クリニックの経営に関して何も考える時間がない。」
といったお悩みをお持ちの先生もおられるのではないでしょうか。

本記事では、そうした日々の診療や目の前の多くの課題に忙殺されている先生であっても、
クリニックの各経営課題に注力できる「タイムマネジメント」のコツをご紹介します。

 

1.やるべきことをリスト化する

最初に実施していただきたいことは「やることリスト」の作成です。
先生が日ごろ、「やりたい」「やらなくては」と思っていることを書き出してください。
リストを作る理由は頭の中のフワッとした状態ではなく、「目で見てわかる」ように形として残すためです。
この目視で確認する行為が「いつかやろう」ではなく「やらなくては」と意識するトリガーになります。
こうして問題の先送りをしない環境づくりをまず行います。

 

2.優先順位を決める

次に「やることリスト」の中で優先順位を付けます。
おすすめする優先順位の付け方は、縦軸に緊急度、横軸に重要度を引き、

「緊急度が高く、重要である」
「緊急度は高いが、あまり重要ではない」
「緊急度は低いが、重要である」
「緊急度が低く、あまり重要ではない」

と【緊急度・重要度】の2つの指標で4つの順番に分ける方法です。後は上から順に取り組んでいきます。
こうして一目で優先順位がわかると、とっさにできた「すきま時間」に「どれから手を付けたら良いのか」
と悩む時間を削減できます。悩む時間も院長先生の「時間」の一つです。
上記のような悩みは生産的な悩みではないので、徹底して削減しましょう。

 

3.「やること」の細分化

さらに、優先順位をつけたものを3つに分解します。

・先生にしかできないこと
・先生、スタッフさんどちらでもよいこと
・先生でなくてもできること

<先生にしかできないこと>
「経営方針を決める」「スタッフの育成プランを決める」といった経営に関わることと、
「治療カードの最終チェックをする」「HPの疾患ページ原稿を最終確認する」など
最終的に先生の承認が必要な業務です。例えば、治療カードを作成する場合、
「疾患の原因・症状・主な治療法」はベテランスタッフや看護師さんでも作成できることがあります。
それを基に、先生が最終チェックをし、入れたい文章だけ挿入すれば、先生の負担は最小限に減ります。

<先生、スタッフさんどちらでもよいこと>
スタッフさんの業務量を見ながら、任せられる部分は任せた方が良いです。
「業者へのメール対応」などがこれに当てはまります。業者へのメールなどは、
一度定型文を作成してしまえば、その後は機械的に作業としてできる為、スタッフさんでも可能になります。

<スタッフさんでもできること>
治療カードの発注を業者に行う、文章の誤字・脱字チェックをするといった業務です。
これらは積極的にスタッフさんに委任し、「先生にしかできないこと」を優先的にするようにしてください。
治療カードを作成・発注するという業務を例に取ると、下記の様な流れで進められます。

1.内容の大枠(原因・症状・治療法など)はベテランスタッフさんや看護師さんに任せる
2.でき上がりを先生が最終確認する
3.誤字脱字のチェックや業者への発注はスタッフが行う

またベテランスタッフが多いクリニックや、スタッフの育成ができているクリニックでは、
カルテのチェック業務やホームページの作成や修正に必要な原稿の一部やデザインも、
スタッフに委任できているケースが見受けられます。

 

4.やることを細かく分解する

やることリストの作業を可能な限り細かく区切ってください。
人間の集中力は、個人差があるものの、そう長く持続するものではないと言われています。
東京大学・池谷裕二教授の実験によると、集中力は40分を境に、急激に落ちるそうです。
限られた時間を有効利用するにはその集中力が続いている間に終わらせることが重要です。
お昼休みのうちの一部や、終業後のすきま時間を見つけて細かく消化していけば、
先生の休日を大きく削らなくても経営の事に頭を使える時間が作られるという寸法です。
忙しい院長先生がまとまった1時間・2時間という時間を捻出するのはなかなか難しいですが、
こうした工夫を行うことで、経営に使う時間を創出できます。

 


 

改めて今回のコツを以下にまとめます。

1.やることリストを作る
2.優先順位をつける
3.作業を「先生がすること」「スタッフさんがすること」に分解する
4.作業をする際は細かく分解して上手く「すきま時間」を利用して終わらせる

そして最後に、先生の時間についてお話させていただきたいと思います。
院長先生の時間単価は、医業収入1億円の場合でおよそ時間当たり5万円です。
この5万円の時間をどう使うかで、この先5年10年のクリニックの未来を左右するとお考えください。
先生の1時間は非常に高価なものなのだと改めて認識していただけますと幸いです。