KPT法は何を検討すべきかがわかりやすく、初めて「振り返り」を行う場合でも計画を立ててなくても使えるのが特徴です。

KPT法とは
「Keep 継続すること」
「Problem 問題点」
「Try 次に挑戦すること」
の頭文字を取ったフレームワークで3つの視点で振り返り、優先順位をつけ次に繋げる手法です。

【KPT法の進め方4ステップ】

1.Keep:継続すること、よかったこと
今年のよかったこと、来年も継続するべきことを思いつく限り、出し尽くします。
どんなに小さなことでも、大きなことでも構いません。
まずは思い出したものを全て書いていくことが重要です。
書き出すことによって記憶が記憶の連鎖を生み、思い出しやすくなります。

例えば
・めまいや補聴器等の専門外来を開始した
・ドロップスクリーンを導入し、毎月20件以上検査を行えた
・スタッフとの個別面談の時間を設けた
・新しい優良な採用媒体を発見した
・月1冊の読書を継続できた
などです。

2.Problem:問題点、課題
今年を振り返って、院長先生自身や医院の問題点や課題点はありましたでしょうか。
また計画を立てて、やろうと思いながらできなかったことを書き出しましょう。

ここであがった項目は院長先生や医院にとって大きな伸びしろになることでしょう。
スタッフを巻き込んでできるだけたくさんあげることをお勧めいたします。

例えば
・花粉症患者の対応に追われた
・オンライン診療の導入が進まなかった
・クラーク導入を開始できなかった
・レーザー治療希望の患者さんを複数お断りした
・思うように採用ができなかった
などが例に挙げられます。

3.Try:次に挑戦すること
Keepであげたことを見返し、さらによくなるためには、どのようなことができるでしょうか?
Problemであげたことを見返し、何をすれば解決できるでしょうか?
思いつくかぎり、出してみましょう。

このTryのステップはブレーンストーミングです。
実行するかしないか、実行できるかできないか、は考えずに自由に楽しみながら行いましょう。
しかし「○○を頑張る」など抽象的にせず、成果を計測できるよう定量的に書き出すのがポイントです。

例えば
・6月までにオンライン診療を導入する
・Googleのクチコミ評価★4以上を維持するために接遇教育を月1回実施する
・半年間で受付・診療マニュアルを作成する
・毎朝、朝礼で理念を唱和する
などになります。

4.優先順位を付ける
Tryであげた項目から、一番行動すると効果的と感じるもの、実行可能なものから順に優先順位を付け実行していきましょう。
院長先生個人の振り返りであれば、対象が自分自身ですので効果的なTryを書き出すことができ、比較的優先順位も付けやすいと思います。
医院全体や各部署の場合においても、振り返りを繰り返すことで効果が現れるのを実感することでしょう。

ここまではKPT法の進め方をお伝えしてまいりましたが、次は複数人や医院全体で振り返りを効果的に行うための3つのポイントをお伝えいたします。

【ポイント1】
次に挑戦するべき項目は自分自身、医院を成長させることを目的としてください。
また、「スタッフ同士お互いを慰め合うだけの場に終始しないよう、具体的な解決策を見出すこと」、「個人を激しく非難しないこと」などをルール化しておくことが大切です。

【ポイント2】
周りの意見を尊重し、意見に耳を傾け、意見を出しやすい雰囲気を作ってください。
例え反対意見や耳の痛いことであっても医院をよくする意見であることを認識し、役職や職歴、年齢で発言力が変わらないようにしましょう。

【ポイント3】
優先順位を付けた項目は全員の意見が反映されているようにしてください。
医院全体で決定した項目でも一部のスタッフにとっては実行したくない、不本意なものもあるかもしれません。
しかし時間をかけて全員で考え抜いた結果ですので全員で取り組むよう一致団結しましょう。

効果的な振り返りを行うためには、ただ過去の良かったこと、悪かったことを思い出すだけではなく、問題の原因を把握し、次にどうすれば問題を解決し、院長先生自身、医院が成長できるかまで考える必要があります。

 

今回紹介したフレームワークを用いて今年を振り返り、新しい1年のスタートを気持ちよく切れるようにしていきましょう。

 

本コラムが、耳鼻咽喉科医院経営の一助となれば幸いです。