見られていることの認識
見られていることの認識
今回は、「見られている」ということについてお伝えさせて頂きます。
我々が実施するコンサルティングにおいて、診療中の現場を見せていただいたり、患者様にアンケートを行ったりして、院長先生やスタッフさんの動きや接遇、それに対する患者様の反応や医院がどう思われているか調査を行います。
我々が実施するコンサルティングの中で
- 診療中の現場を見せていただく
- 時には、患者様にアンケートの実施を行う
ことで、院長先生やスタッフさんの動きや接遇、それに対する患者様の反応や医院がどう思われているか調査を行います。
現場をコンサルタントとして見せていただいている時に出てくる様々な気づきを院長先生やスタッフさんに確認するのですが、その際に必ずと言っていいほど出てくるキーワードがあります。
それは・・・
「そのようなところも見ているのですね。」
です。
また、患者様の生の声を聞くために実施するアンケートには様々な声が挙がってきます。
挙がってくる声を見ていると院長先生、スタッフさん、私たちコンサルタントを含め、
「意外にも患者様は見ていないようで細かく見ている」
という印象を受けることは多々あります。
実際にアンケートの回答としてあった一例を挙げますと、
疾患のフォロー説明をスタッフさんがしたり、疾患や治療の説明を院長先生が行っている時などに
患者様が質問したふとしたタイミングで
「院長やスタッフの顔色が変わった」
ということで医院の印象が悪くなるということもあります。
院長先生やスタッフさんとしては、一瞬のことなので
「大丈夫だろう」
と認識していることもありますが、その一瞬で患者様の印象がすべてひっくり返るということも少なくありません。
アンケートの回答では、オブラートに包んだような回答をしていただいており、
「○○○ですが、お忙しいから仕方ないのですかね・・・。」
「日々診療をされてお疲れかもしれませんが、・・・」
と、無記名であったとしても読む相手側のことを考えながら記入していただいていることがあるため、仕方ないかなと自分を納得させてしまいたくなる気持ちもわかります。
しかし、この課題にいかに真摯に向き合うかが患者様から支持される医院になれるかどうかが、かかっています。
患者様に「来てよかった!」と思って帰ってもらいたいと思っている医院さんは多くあると思いますが、このような小さな綻びから崩れていくことがあります。
「塵も積もれば山となる」という諺があるように積み重ねがいつの間にか大きくなっていきます。
そして、大きくなった綻びに気づいた時には元に戻す、もしくはそれ以上のV字回復というところまで持っていくには大変な労力を要します。その労力は並大抵のことではありません。
医院経営において綻びを生みやすいのは「見られている」という認識の薄さであると感じています。
マーケティング施策を行うにしても相手の心理などを理解し、患者満足度を向上させることにつなげようとしても、この「見られている」という認識がなければ、よい方向に結果がついてこないことがあります。
~マーケティングの観点から~
接遇に置き換えると一番わかりやすいかもしれません。
例えば、診療を終了して待合室で会計待ちをしている時に、受付の方々がスタッフ同士で談笑していてその姿を患者様が目の当たりにしたらどう感じられるでしょうか。
当然良い気はしませんし、会計を待たされている時にそのような光景を見ると不快感を覚えるのではないでしょうか。
また、身だしなみに関しても言えることでしょう。
例えば、
- シューズのかかとを踏んでいるスタッフがいたり
- 化粧を全くしていない状態で素顔のままだったり
身だしなみに対して甘いということは「見られている」という認識が低いとも言えます。
現在ではインターネットでの口コミが“匿名で”“簡単に”投稿できることもあり、上記のような場合、「こちらは待っているのにスタッフは遊んでいる」「清潔感がない」「だらしがない」と、一人の患者様が受けた印象が物凄い速度で多くの人に伝搬していきます。
そうした印象やイメージを持ってしまった人は、できるだけ不快な思いをしないようにと受診を避けるようになるため、結果として患者の来院数の減少につながりかねません。
~マネジメントの観点から~
さらに、マネジメントの観点からも言えることがあります。
毎年、7月や12月に賞与を出されている医院さんであれば、6月や11月は評価を実施する時期になる頃です。
評価をしなければなりませんので、日々の診療で院長先生が各スタッフさんに対して、目を光らせることもあるかと思いますし、今までの各スタッフさんの印象を思い返すでしょう。
その時に「そういえば○○みたいなことあったな。」などマイナス点が見えやすくなります。
スタッフさんからしたら「そんなところまで先生は見ているんですか」と驚かれる項目もあるでしょう。そのような項目こそ、普段スタッフが無意識に行っている行動ということもあり、院長先生はもちろんですが、患者様がよく見ている点です。
こうした点を踏まえて「見られている」という認識を常に持つことで患者様からの評価や医院全体の評価にもつながっていきます。
しかし、この「見られている」認識は、自然と自覚されている方もいらっしゃれば、指摘されないと気づかない方もいらっしゃいます。そこでアンケートや日々の身だしなみ等を見て、自分たちの姿に真摯に向き合い、ミーティングを行うことも良いかと思います。
「見られている」という意識づけをしてマーケティングにもマネジメントにも活かしていただければと思います。