話しかけにくい上司
話しかけにくい上司
クリニックにおいて優秀な人材の確保は最も重要と言っても過言ではありません。
しかし、昨今は全国的に人手が少なく、スタッフの募集をかけても思ったような採用実績が出ず、採用難を実感されているクリニックも多いのではないかと思います。
ただ採用に力を入れることはもちろん大切ですが、それと同時に院内のスタッフの数を減らさない、離職者を減らすという考え方も大切です。
ある転職求人会社の調べによると、退職理由の本音で最も多かった回答は、「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった」でした。
◆上司の機嫌に振り回される
◆理不尽な怒られ方をする
◆失敗は全て部下に押し付ける
など、上司や経営者の部下への立ち振る舞いによって、気持ちよく働けない人間関係を作り出し、退職の理由に繋がる可能性が高まるという回答が多かったようです。
実際にクリニックにおいては、スタッフから「院長先生に話しかけにくい」という言葉を耳にすることがあります。
このような言葉が出るクリニックは、マネジメントが上手く機能しておらず、離職者が増える可能性があります。
それでは、スタッフが院長先生に話しかけにくい職場は、マネジメント上どのような影響があるのでしょうか?
院長先生に話しかけづらくなると、スタッフは意思疎通がしづらくなります。
↓
そうなると業務を円滑に進めにくくなり、業務でミスを起こしやすくなります。
↓
ミスが続くと、院長先生に怒られやすくなります。
院長先生に怒られ続けると、スタッフは院長先生に恐怖心を抱き、その結果、院長先生を怖い存在と思うようになっていきます。
このようなスパイラルに入ることで、スタッフの業務パフォーマンスは低下、職場環境や雰囲気も悪くなり、上手くコミュニケーションが取れなくなってしまいます。
やがて在籍することが嫌になり、退職を選ばれる方も少なからず出てきます。
また、退職はせずとも辞めずに頑張って働かれているスタッフにおいては、何をやっても怒られるので、やがて自分で考えて行動することを、止めてしまう方もおられます。
それほど、「上司に話しかけにくい」状況は、クリニックにとっては悪い影響を与える可能性があります。
◇話しかけやすい上司の条件
上記で紹介した「話しかけにくい上司」とは反対の「話しかけやすい上司」や「経営者」になるためには、どのようなことに気をつけるべきなのでしょうか?
もちろん、答えは一つではありませんが、「聴く耳を持つ」ことが代表的な一つの方法です。
スタッフが院長先生に話しをしようとした際に、話を聞こうとしない、またはイラつきを感じさせることで、コミュニケーションが取りづらくなります。
また、話を聞いてもらえないと、スタッフは自分の存在意義や、価値を否定された気持ちになり、ますます心が離れてしまいます。
それでは「聴く耳を持つ」ためには
◆相手の気持ちを理解すること
◆あせらずに返事をせず、まずは聴くこと
◆いつもより大きくうなずくこと
この3点を意識して、スタッフの話に耳を傾けることが大切です。
相手の気持ちを理解することを意識して聴くことで、相手を受け入れ、共感することができます。
こちらから話すのは、相手の話を最後まで聞いてからにし、話し手の気持ちの変化に合わせて、適度なうなずきをすることで、話しを熱心に聞いているように感じてもらえます。
そうすることで信頼感が生まれやすくなり、相手を肯定することにも繋がります。
もちろん、コミュニケーションを取る際は、適切な表情や口調、言葉遣いなどに気をつけていただくことも大切なことです。
先程冒頭で挙げました機嫌が悪い上司や理不尽な上司はそもそも意見すら言いにくく、「聴く耳」を持っていないことも多いです。
それは、スタッフの存在を認めていないように感じさせ、離職者が増える要因に繋がっていきます。
採用難の状況下においては、いかに離職者を減らすかという考え方は非常に大切です。
ご自身のクリニックにおいても、なぜ採用をしなければいけなくなったのかの原因を見直すことが必要です。
それが改善できる内容であれば改善をすることで、次なる離職者が出ることを未然に防ぐことができます。
給与問題、福利厚生など条件面の整備はもちろん大切ですが、その点を充実させるだけでは、離職者を減らす対策としては不十分と言わざるを得ません。
いかに労働環境を良くするかを工夫する必要があります。
今回ご紹介した、スタッフとのコミュニケーションの取り方、「聴く耳を持つ」ことを意識することは、離職者を減らすための有効な一つの手法となりますのでぜひご参考にしていただければと思います。