ネガティブなモチベーションの院内感染
クリニックの特徴からくるモチベーションの院内感染
耳鼻咽喉科医院のように女性が極端に多く、チームでの活動が主体となる職場はマネジメントのハードルが、通常の職場に比べてやや高いとされています。
何故なら、職場の雰囲気が良い方にも悪い方にも「感染」しやすいからです。
特に、クリニック・診療所はこういった傾向が顕著であるように見受けられます。
主な原因としては、
- チームで仕事をするため、所属するチーム内の強い発言権を持った人間の方針には異を唱えない傾向が強い。いわゆる「長いものに巻かれろ」なタイプの方が多い。
- ネガティブな発言が拡散しやすい。自虐的・悲観的なテーマは周囲の同調を得やすく、スタッフ間のコミュニケーションにしばしば用いられてしまう。
ことが考えられます。
その「感染」の中で恐いのが、それまではスタッフ達が比較的良い雰囲気で働いていたのにも関わらず、わずか数カ月と~半年といった短期間でスタッフ内の雰囲気が一変してしまうような場合です。
これらは、
- A) 院長が誰かに罵声を浴びせたり失言したりした場合
- B) 勤務体制等の変更がスタッフさんにとって都合が悪い場合
- C) 中途で入職させた方の影響力が大きくなり、その方の発言にスタッフが感染させられる場合
などが理由として挙げられます。
特に問題となる場合はCです。
AやBの場合は雰囲気が悪くなることをある程度予見できるのですが、
Cの場合、「気づけば雰囲気が悪くなっていた」「知らぬうちに院長に対して反抗的になるスタッフが増えていた」というパターンが少なくありません。
誤解を恐れずに申し上げると、多くの場合Cを引き起こす中途入職の方は
- 経験の比較的豊富な看護師(医療専門職)
- 他の医療機関で事務経験のある医療事務
といった方です。
新卒の方は、良い意味でも悪い意味でもその組織の特徴に染まりやすいのですが、上記のような経験者は過去と現在の環境を比較し、仕事が慣れた段階から自分の意見を主張しだすようになります。
そして前職よりも現職の劣っている点・異なる点を指摘して、休憩中の話題として提供してしまいます。
前述のように、やはりネガティブな話題の方が盛り上がりやすく、一度話に火がつくと負の連鎖が容易に起こります。
負の感染を防ぐには
大前提として、一番は『そのような可能性のある方を採用しない』ということです。
トラブルを防ぐためにも、医療事務については他院の経験者だけは絶対に取らない、と決めている先生もいらっしゃるようです。
看護師は応募が少ないために、つい殆ど試験もせずに採用してしまいがちです。
しかし、そこは冷静に、「人間性に問題はなさそうか?」「自分の経験をひけらかすようなことは無いか?」を判断して頂きたいと思います。
それでは、既にそのような方が「存在する」場合はどのようにすればいいか?
先に申し上げておくと、そのような方が既に存在する場合、相当の労力を使わなければ良い状態に戻すことは出来ません。
院内の雰囲気が悪くなっている場合、大抵既に不満の矛先が誰かに向かっています。
(多くの場合は院長先生)
また、その不満の中身について洗いなおしてみると、改善すべき内容から、全く誤解も甚だしいものまで混在しています。
よってまずは不満の内容を整理し、個々のスタッフとの対話を通じてスタッフに理解してもらう必要があります。
それらを把握しながら個別の方と面談を続けていくと
- 誰が正常な考え方をしているのか
- 誰が発信源なのか
が分かってきます。
そうすれば、後はその感染源の方のみを対処すればよい、という事になります。
スタッフ一人一人と面談することは、院長先生の負担が大きいと思われますが、ネガティブなモチベーションがクリニックに蔓延してしまうと対応がより難しく、解決までより多くの労力を要しますので、不満の芽を見つけられた場合は、早期に対応されることをお薦め致します。