不都合な事実
接遇レベルの天井
接遇は重要という認識の下で、院内で院長やリーダーから接遇の大切さを伝えてこられたかも知れません。
しかし、薄々は感づいていた事実をこれ以上見過ごせなくなってきました。
その事実の1つ目は
「接遇は最低レベルを超えることは大変意味があるが、
それ以上になると、相当に極める、あるいは上手く宣伝に活用しなければ患者数に影響しない」
弊社クライアントには次のようなクリニックが存在します。
・スタッフは、仲の良い患者さんを除いて患者さんに対して最低限の接遇しか提供しておらず、スタッフ数も4~5人と少ないが1日の患者数は平均150人を超える
・分院の診療を調査してみると、接遇力は分院長もスタッフもお世辞にも良いとまでは言えないが、患者数は右肩上がりに増加している
また、このような経験は無いでしょうか?
・一流と呼ばれるホテルで宿泊や食事をしたが、言われているほどのものではなくガッカリした
・一流ブランドの店や外商などで懇意にしていた店員が転勤になり、新規に担当する店員の対応に満足ができず利用を止めた
これらの共通項は何か?
2つ目の事実として
「接遇は最下限のスタッフのレベルで決まるため、医院経営を左右する絶対的要素ではないということ」
接遇の重要性を決して否定している訳ではありません。
接遇には以下のようなレベルがあると考えています。
◆レベル0 接遇文化無し
挨拶などもまともにしない
患者さんと眼も合わせない
言葉遣いも不愉快
◆レベル1 初級レベル
挨拶は定型文をしっかりと言える
臨機応変には対応できない
忙しい時などは顔がひきつる
◆レベル2 中級レベル
心のこもった挨拶、接し方ができる
それなりに患者さんへの気遣いができる
笑顔を常時提供できる
◆レベル3 上級レベル
どうすれば目の前の患者さんが安心し、喜んでもらえるかを考えて行動ができる
患者さん個々のパーソナリティに応じた話ができる
患者さんと適切な距離感で良い人間関係が築けている
レベル0は接遇が経営に悪影響を及ぼしていると断言できます。
昔と違い今では接遇の考え方が普及してまいりました。
つまり、レベル2やレベル3程度では口コミが発生しない、要するに、1つ目の事実の通り、患者数にさほど影響しなくなってきているのです。
一方でこのような反論もあるかも知れません。
「当院のスタッフには大変優秀な人がおり、上記のレベル分けで言えばレベル3の上級レベルに該当する。
現にそのスタッフに会いたいといってお越しになられる患者さんもいる。」
ただし、これが全員なのか、1~2人なのかで経営に与える影響は変わってきます。
クリニックには多くのスタッフが働いています。
その中でレベル3の優秀な方が数人に留まるのであれば、そうではないレベルの低いスタッフの接遇によりその効果は減少してしまうのです。
つまり、患者さんはクリニックの医師や限られたスタッフとの接点の中で、そのクリニックの接遇全体の良し悪しを判断してしまうということです。
例えば、
レベル3のスタッフが受付で接遇に孤軍奮闘していても、診察室への誘導を行うスタッフや会計を担当したスタッフが言葉遣いは丁寧であるものの機械的な対応をしてしまうと、患者さんの中では「接遇の優れたクリニック」とはなりづらい、ということです。
まとめると接遇の取り組みでレベル1は必要です。
一方で「接遇」そのものでの他院との差別化は難しく、言葉遣いの丁寧さや笑顔程度では経営の改善にはつながりにくいということです。
接遇は再下限のスタッフのレベルで決まるため、接遇で大きく患者数を増加させるほどの経営上の影響を与えることを期待するためには、スタッフ全員がレベル3以上でなければならず、求められるハードルは非常に高いということです。
ですから、たとえすべてのスタッフにレベル3を求めることが難しくとも、受付時や誘導時などの様々な接点の中で、少しの工夫を地道に継続することで患者さんに良い口コミを発生させ、リピート率を向上させる方法を考えなければなりません。