患者導線とユーザビリティ
"患者さんにとって"の"利用しやすさ"を考える
患者導線と聞くと、院内で診察がスムーズになるように受付から診察、会計までの患者さんの物理的な移動をイメージされるかと思います。
特に新型コロナウイルス流行以降、発熱外来を実施された医院では、発熱患者の導線分離、非発熱者の対応と患者導線を考える機会が増えています。
このように、感染対策やオペレーションの向上に関して、院内での患者導線の改善は不可欠ですが、マーケティングにおいても患者導線を考えることは重要です。
マーケティングの観点から患者導線を考える際に必要なのが、ユーザビリティです。
ユーザビリティとは、“患者さんにとって”のクリニックの“利用しやすさ”を指す言葉です。
患者さんがどのように医院の情報を得て、来院に至っているかなどを患者目線で徹底的に考えることが、ユーザビリティを考える上で重要であり、来院を生み出すカギとなります。
そこで、来院までの患者さんの動きを分解すると
①医院を知る
②医院に関心を向ける
③医院を記憶する
④医院を思い出す
⑤医院に来院する
と大きく分けて5つのステップがあります。
この中で、患者導線を考えることがより重要になってくるのが、⑤医院に来院するというステップです。
ただし、①~④のステップでも抑えておくべきポイントがあります。
①医院を知る
「患者さんの目につきやすい対策をする」
例えば、路上の看板を開業以来作成したまま放置されて看板が劣化していないか、看板が目立つ位置にあるか、患者さんの来院が多いエリアに看板が設置されているかなどです。
②医院に関心を向ける
「患者さんが求めるキーワードやイメージにマッチした内容を入口で伝える」
ホームページの検索結果の表示順位は患者さんの関心にマッチする検索キーワードで表示されているかなどが重要です。
③医院を記憶する
医院の情報を記憶に残すには、「情報に触れる頻度を高めること」がポイントです。
LINEやメールなどを使って積極的に情報配信することも効果的です。
④医院を思い出す
「思い出すより思い出させる」
何の手がかりもなしに思い出そうとしたとき、1番最初に思い出されなければ2番目以降に思い出されることは残念ながらありません。
そこで患者さんにオリジナルの配布物を渡して思い出してもらうきっかけを与えておくことも有効です。
⑤医院に来院する
「来院のしやすさを生み出す」
このステップが患者さんの導線を考える上で、最も大事なポイントになります。
来院するというステップだけでも、Web予約が必要な医院の場合、
・医院のホームページを調べる
・医院のホームページにアクセスする
・医院の予約システムにアクセスする
・予約システムに診察券番号を入力する
・予約内容を確認する
・診察券などの確認をする
・クリニックへ向かう
と多くの工程を踏みます。
この工程を少しでも楽にすること。
つまり、ユーザビリティを高めることが、院外での導線改善の重要なポイントです。
例えば、ホームページでは、病気のことなど患者さんの知りたい情報を知った後で予約までスムーズに行うことができるかどうか。
つまり、予約方法が分かりやすいか、予約がしやすいか、といったポイントを抑えたホームページ作りが大切です。
もちろんパソコンの画面だけでなく、スマートフォンで見た時の見え方が整っているか、患者さんが調べる場面を想定して、ホームページを作成することが必須です。
他にも、LINEの場合カレンダーを配信するだけになっていないか、流行疾患の情報を伝えた後ワンタップで予約できるかどうかも、抑えておくべきポイントです。
配布物を活用する場合には、口コミを発生するように渡せているか、予約サイトへのアクセスを楽にする仕掛けを組み込んでいるかもユーザビリティ改善のポイントです。
患者さんがどのように情報を得て、来院するまでにどんな手間があるか、いかにその手間を減らすことができるのかを考えて、
“患者さんにとって”“利用しやすい”クリニックづくり
を目指すことが来院を生み出すカギとなります。
ホームページを作ったからと、なんとなくで終わらせず、どのような経路で来院に繋がっているのか、『来院』という目的から逆算して分析を行い是非取り組んでみてください。
分析の対象や方法、対策まで地域や立地、患者層、現在の広告状況によって、様々な戦略が存在しますので、まずは自院の状況を正しく分析することが重要です。
患者さんが体調を崩された時に思い出してもらえる医院になることを期待しております。