患者を呼び起こす情報発信
患者さん目線の文章を、ターゲット層に合った方法で発信する
安定的に耳鼻咽喉科医院を経営するためには、「どうすれば患者さんが来院しようと思うのか?」を意識した「情報発信」を適切に行う必要があります。
そこで今回は「効果的に患者さんに情報を届ける方法」に関してお伝えします。
1)患者さんの立場で考える
いくら情報を届けていても患者さんの受診行動に繋がらなければ、情報伝達の成果が薄れてしまいます。いかにクリニックへの通院を促す“動機づけ”ができるか、が情報発信をする上で重要な点になります。
では、どのように動機づけをするのか?
その答えは「患者さんの立場で考える」ことです。
もう少し具体的に言えば、なぜ受診した方が良いのか?という患者さんの「Why?」に答えると言っても良いでしょう。
具体例で考えてみましょう。
聴力の低下を感じている患者さんに受診を促すことを目的とした情報発信の場合、以下のような、診察予約を促す文章がよく見られます。
「当院では難聴の早期治療をおすすめしています。気になる症状があればまずは一度受診ください。」
しかし、情報を受けた患者さんからすれば「なぜ今通うべきか?」という点が欠けているため、受診の動機づけまでには至りにくいです。
上記のポイントに焦点を当てたものが以下の文章です。
「加齢による聴覚の衰えは実は40代から始まるとも言われています。難聴は高齢者がなるものと思い込み、聞こえづらさを我慢したり、見過ごしたりしている方がよくおられます。
また、若い方もストレスが引き金で発症する可能性のある突発性難聴などは、早期に治療を行えば高い確率で回復が可能ですが、聴力悪化後しばらく経ってから治療を開始しても聴力の回復が難しい場合が多いです。
当院では難聴の治療に力を入れ老若男女問わず“聴こえ”に不便なく過ごせるようお手伝いしたいと考えております。日常生活に支障がない程度の違和感でもまずは一度受診することをお勧めします。」
上記の2つの文章を比較していただくと、
2つ目の文章の方が
理由1:一般的な難聴について、聴力低下の始まる時期が世間の認識よりも早く低下する事実があるから
理由2:突発性難聴の場合には、治療開始時期で回復に差があるから
という患者さんの「Why?」に対する回答が明示されています。
上記の具体例よりどちらの方が患者さんの受診を促す文章かお分かりいただけるかと存じます。
医院から伝えたいことを患者さんの目線で書き換える“ひと手間”があるかないかで、情報伝達の効果が変わってきます。是非一度、医院からの情報発信が患者さんの目線になっているかご確認ください。
2)どうやって情報を届けるか?
近年、LINEをはじめとするSNSなど様々な情報媒体が私たちの生活に溶け込んでいます。
ホームページは患者さんが自院のホームページを訪れてくれないと情報を伝えられないという点がありましたが、LINEであれば医院側から直接患者さんに情報を発信することができます。X(旧Twitter)やInstagramもフォローしてもらえば随時、更新情報を患者さんに通知できます。
ただ、ホームページやSNSなどが注目される一方で、お年寄りの方をはじめとするネットに乏しい方やLINE等の通知をOFFにしている方も一定数いることは事実です。
そこで次の手段が、年始状や暑中見舞い等のハガキの郵送や院内配布ツールの拡充です。(例:ポケットティシュ、治療カード等)
ここでのポイントはターゲットを絞り、そのターゲット層に合った情報を郵送や手渡しで届けることです。これまで定期通院いただいていた方や特定の症状で来院・相談を受けていた方がターゲット候補として有力です。
花粉症患者さんをターゲットにする場合、昨年や一昨年に花粉などのアレルギー症状で来院された患者さんをリストアップして舌下免疫療法や初期療法の告知ハガキを送るなどです。
患者さんを呼び起こす情報発信では、
1)伝えたい内容を患者さん目線の文章に書き換えて発信すること
2)ホームページに限らず、SNSやポスティングや院内配布ツールなど複数の発信方法を用意して患者さんとの接点を自ら作り出すこと
が大切です。
年間を通じて患者さんの来院数を回復させるために是非「今までやっていなかったこと」にもフォーカスを当て、取り組んでみてください。