この第三者から得た情報に対して高い信頼性を感じることを
ウィンザー効果”と言います。

人間は当事者からの直接的な情報よりも第三者から発信された情報の方が、第三者は利害関係がないため、信頼できる情報を発信しているに違いないと感じる傾向にあります。

例えば、
「うちのクリニックはお子様に優しく診療する通いやすいリニックです!」
と本人から言われるより、
「あそこのクリニック子供にも優しくてすごくいいクリニックだよ。」
という口コミを聞いた方が信頼できるのはこのウィンザー効果の働きによるものです。

信憑性の低いネット情報や口コミ対応などこのウィンザー効果に悩まされることも多いかもしれませんが、今後はどうにか上手く付き合っていく必要があります。

そこで今回はウィンザー効果の活用法についてご紹介いたします。

 

Point 1:統計結果を活用する

ウィンザー効果活用の初歩的なものとして統計データを掲載する方法があります。

例えば耳鼻咽喉科であれば
「舌下免疫療法は約8割の方が効果を実感している治療法です。効果を感じた内2割の方がお薬を飲まなくても症状が出ない根治の状態に、残り6割の方はアレルギー症状が緩和されたと回答しています。」
というように、詳細な統計データを掲載することで信憑性が増します

他にも、
「当院では花粉症レーザー治療を当院は2020年~2022年の期間に花粉症レーザー手術を、2020年は50件、2021年は45件2022年は60件実施しています」
というように、手術件数の多さを訴求することで、多くの人が選んでいる=間違いがないという気持ちになる効果が生まれます。

 

Point 2:口コミ対策

第三者意見の最たるものとして口コミの影響力は年々増しています。
残念ながら怒りのパワーの方が口コミを投稿する原動力になりやすいため良い口コミより悪い口コミの方が書かれやすい傾向にあります。
良い口コミは予想をはるかに超える出来事があってはじめて書かれると考えていただく方が良いかもしれません。

今の時代口コミを患者さんに依頼することは決して悪いことではありません。
Google口コミもそのために投稿用URLを発行しています。
短期的に、QRコードを配布して口コミを集めるクリニックも近年は増加傾向にあります。

口コミを集めることで悪い口コミも増えてしまうのではないか?という不安もありますが、ウィンザー効果は良い口コミしかない場合「サクラでは?」と疑われることもあるため悪い口コミも含めてリアルな口コミの数を増やすことが重要です。
もちろん本質的な対策として患者さんが良い口コミを書きたくなるような医師、スタッフの接遇力向上も必要です。

 

Point 3:バイアスを解こうとしない

よくある状況としてご自身の症状をネット検索し、この病気であると信じきって患者さんが来院するケースがあります。
患者さんが信じている病名と診断が違う場合、なぜか不満そうに帰っていったり、質問攻めにあい困ってしまうケースもあるのではないでしょうか?

ChatGPTのように、検索せずとも聞きたい内容を会話するように打ち込めば回答が得られる時代となり、この現象は加速することが予想されます。
こういった場合、患者さんは強くウィンザー効果の影響を受けている状態であるため先生が不要と感じたとしても本当にその病気ではないか判別する検査を提案することで逆に安心してもらえるケースがあります
特にめまい診療などの場合は一通りの検査を行い、
「この検査の結果に問題がないのでご心配の状態ではありませんよ。」
と、検査結果をもってお伝えすることで満足いただけるケースもあります。

このように、強いバイアスがかかっている場合は否定したり、正論を突き付けるだけでなくあえて感情に寄り添って患者さんのペースに合わせてみることもひとつの方法と考えられます。

 

■まとめ

情報が溢れる社会ではAI機能やネットからの情報、口コミからの影響は切っても切り離せない存在となりました。
人々が第三者意見を信頼する傾向にある以上クリニックとしては向き合う必要がある大きな問題です。
患者さんの心理を理解しいち早く自身にとっても患者さんにとってもプラスとなるよう柔軟に行動できたクリニックから恩恵を受けていくように思います。

口コミ対策など心が消耗することもありますが、本コラムが一度考え直すきっかけになれば幸いです。