こうした背景から、耳鼻咽喉科医院が持続的に成長するためには、他院にはない強みを打ち出し、患者さんにとって「選ばれる医院」になることが求められています。

 

<よくあるご相談内容>
耳鼻咽喉科医院を経営する中で、院長先生からよくいただくご相談には様々なものがありますが、特に繁忙期が近くなると以下のようなご相談をいただきます。

花粉症期以外は感染症が流行らないと、患者数が少ない

花粉症時期の花粉の飛散量の多少で年間の収益も大きく変わる

季節や感染症の流行状況に左右される収益構造に不安を感じている先生も少なくありません。
特に、花粉症や感染症の流行が収益に直結する耳鼻咽喉科においては、こうした季節要因に依存する他力本願な経営スタイルはリスク要因となりかねません。
近年では、感染症や花粉症に重きを置く経営では、収益的に安定しにくくなっています。

 

<安定した医院経営を行うために>
耳鼻咽喉科医院が持続的な成長を実現するためには、競合との差別化を図り、強みを患者さんに認識してもらうことが重要です。患者さんにとって選ばれる医院になるためには、まずターゲットとする患者層のニーズに応じた治療内容を提供し、他院にはない独自性を明確にすることが求められます。具体的には、以下のような2つの戦略が考えられます。

1. ターゲット層に応じた治療提供
例えば、メインターゲットが高齢者の場合は難聴やめまいに対する治療に注力し、子どもがターゲットの場合は中耳炎や扁桃炎の治療に力を入れることが有効です。
こうしたニーズに特化することで、地域住民からの信頼を得て、長期的な来院を促進することが可能です。

2. 競合医院にない治療の提供
他院にはない治療を提供することも、選ばれる理由の一つになります。
例えば、副鼻腔炎の治療において日帰り手術を行うことや、めまいのリハビリ指導を専門スタッフが時間をかけて行うといった、他院にはない特徴を持つことで、患者さんに「ここに通いたい」と感じてもらいやすくなります。

多くの耳鼻咽喉科医院は、こうした独自の強みを持ちながらも、その強みを効果的に打ち出せず、患者さんに伝わりにくい状態にあります。
このように、持っている強みが活かされていない状況を「宝の持ち腐れ」とも表現できます。

医院の隠れた資産を患者さんに認知してもらい、選ばれる医院へと成長するためには、まず強みや独自性を整理し、効果的にアピールする工夫が必要です。

 

<医院の独自性を伝えるホームページの重要性>
隠れた資産を有効にアピールするためには、医院の独自性を反映したホームページの作成が効果的です。
最近では、ほとんどの医院がホームページを持っていますが、内容が他院と似通っているケースが多く見受けられます。

例えば、どこの医院でも見られるような院長挨拶や一般的な疾患説明に終始している場合、ホームページの訴求力は十分ではありません。

ホームページを作成する前段階として、まず自院の強みや独自性を明確にすることが大切です。
その上で、以下の点を意識したページ作りを行うと効果が高まります。

疾患別ページを設け、独自の治療法や診療スタイルを詳しく紹介する
単に疾患に関する原因や症状を記載するだけでなく、医師独自の治療法を紹介するページを設けることで、患者さんにとって魅力的な情報を提供します。
治療方針や医院の特徴を共感できる形で表記する
医院の治療方針を明確に表記することで、患者さんに「ここに行きたい」と思ってもらえるような共感を引き出します。

こうした工夫を施したホームページは、患者の共感を得やすく、選ばれる医院へとつながります。
例えば、中耳炎治療に強みを持っている医院であれば、ホームページ内で中耳炎に関する情報ページを複数設けるか、あるいは中耳炎に特化した別のホームページを作成するのも有効な戦略です。

 

<強みを明確化し、選ばれる医院へ>
耳鼻咽喉科医院が持続的に発展するためには、自院の強みを整理し、その強みが患者さんにとって価値あるものであるか、競合医院と差別化されているかを再確認することが大切です。
そして、それを効果的に伝える手段として、医院独自のホームページを構築し、地域や広範囲の患者から「ここに行きたい」と思ってもらえる体制を整えることが求められます。

 

本コラムが、耳鼻咽喉科医院経営の一助となれば幸いです。