Googleスプレッドシート活用のススメ
googleスプレッドシートを使い、ムダな時間を削減、マネジメントを円滑に。
表計算ソフトのExcel(エクセル)はデータの整理・分析・共有などにおいて非常に有用であり、「見たことも使ったことも無い」という先生はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。
しかし、近年、Excelの代わりに「Googleスプレッドシート」を利用される医院が増加しています。
Googleスプレッドシートの活用は、データ整理の効率化のみならず、マネジメント面でも役立つ場面があります。
しかしながら、その有用性はまだ広く知られていないようにも見受けられます。
そこで今回は、Googleスプレッドシートの活用方法について具体例を交えてご紹介させていただきます。
■Googleスプレッドシートとは■
基本的な機能はExcelと同様ですが、他には以下のような特徴があります。
- 完全無料で利用可能
- Excelとは異なりオンライン上での操作が可能
- 「医院の受付のPC」「院長先生のPC」「スタッフさんのスマートフォン」など、複数の機器から同時に閲覧、同時に編集することが可能(機器がインターネットに接続されている必要があります)
- 編集中のデータもリアルタイムかつ全自動でインターネット上に保存される(「PCがフリーズして、書いた内容が全部消えてしまった…」などというトラブルが極めて発生しづらい)
- 過去のデータの復元が可能
- 閲覧権限や編集権限を設定することで、セキュリティ面の対策が容易
▼Googleスプレッドシートのリンク
https://docs.google.com/spreadsheets/u/0/
「新しいスプレッドシートを作成」⇒「空白」をクリックいただきますと、Excelと同様の初期画面が表示されます。
「基本の機能がExcelと同じなら、これまで通りExcelを使えばいいじゃないか」
というご意見もあるかと存じます。
しかし、ExcelよりもGoogleスプレッドシートの方が優れている点もありますので、ここでは2点ご紹介させていただきます。
(1)毎日のデータ入力を効率化できる
Googleスプレッドシートの使用例として、まずイメージしやすいのがExcelと同様の「データ入力」ではないでしょうか。
例えば、「毎日、スタッフさんが日別の医業収入をExcelにて記録・集計している」という医院もあるかと思います。
耳鼻咽喉科での例を挙げると
- 補聴器の販売額
- 舌下免疫療法の管理数
- インフルエンザワクチンの予約数と接種本数
- 新規患者さんの来院経路
などを毎日記録している、という医院も多いことでしょう。
こういった作業においては、集計手順や操作方法を変えることなくExcelをGoogleスプレッドシートに置き換えることが可能です。
ExcelからGoogleスプレッドシートに置き換えた場合、以下のような「ムダ」の解消が期待できます。
ムダ1:別の業務でPCが占領されており、ちょうどよいタイミングでデータの入力・確認ができない問題
ムダ2:診察室や受付から遠い位置にPCがある場合、その場所まで移動する時間
ムダ3:複数名のスタッフさんが1台のPCを代わる代わる使用する場合の「待ち時間」
ムダ4:「データ入力したExcelを院長先生に毎日メール送付する」という作業
4つのムダを合計すると、現実的には1日あたり2~3分のロスが発生していると考えられます。
そうすると1ヶ月(20日)で40分、1年では480分ものムダな時間が発生しているということになります。
その一方で、Googleスプレッドシートを使用していれば、インターネット接続のあるPC・スマートフォンにて同時並行で同じファイルを閲覧・編集することができるため、上記のようなムダな時間を大幅に削減できる可能性が高いです。
また、データ入力の作業状況もリアルタイムで確認することができるため、院長先生がスタッフさんに「今日の来院数は何人でしたか?」「今日の新患数は集計できていますか?」と尋ねられる手間や、その都度スタッフさんが確認に走る手間を削減できるという点も、Googleスプレッドシートならではの利点といえます。
(2)マネジメントを円滑にするためのツールとして利用できる
Googleスプレッドシートは、数値だけではなく、文字情報を入力することも可能です。
そのため、「スタッフさんへの伝達事項をまとめて共有する掲示板」のような形でマネジメントツールとしてご活用いただくこともできます。
例えば、
そうして最終的には、院長先生が口頭で話すだけの朝礼になった。
という医院の場合を想定します。
人は、情報の理解・処理において
・「聴覚優位」タイプ(見て理解するよりも、聞いて理解する方が得意)
・「視覚優位」タイプ(音声情報よりも、グラフや文字を見て理解する方が得意)
といったタイプに分かれるといわれています。
この「目で見て理解する」「耳で聞いて理解する」という知覚を2つ同時に働かせた情報伝達は紙媒体の情報でも実現可能ではありますが、「印刷する」というワンステップが面倒なために習慣化しにくいことも多いです。
しかし、Googleスプレッドシートを用いれば、院長先生が事前にシート内に数値や目標を記載しておくだけで、朝礼時にスタッフさん各自のスマートフォンを紙資料の代用とすることができるため、最小限の労力で「知覚を2つ同時に働かせた情報伝達」を実施することが可能となります。
スタッフさんの理解度、情報伝達の正確性を底上げするという側面においても、Googleスプレッドシートの導入は有効であると考えられます。
■まとめ■
今回ご紹介いたしましたGoogleスプレッドシートの使い方は、あくまで一例です。
・アンケートの集計
・タスクリストとしての運用
など、考え方次第で非常に幅広い活用方法を見出せるのがGoogleスプレッドシートの強みです。
弊社では、コンサルティングの一環でGoogleスプレッドシートの初期設定に関するご相談も承っております。
導入後は永続的に無料で利用できるものですので、ぜひお気軽にお声掛けいただき、院内効率化、マネジメント円滑化の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
本コラムが先生方のお役に立てば幸いです。