そもそも、患者さんが待ち時間を「長い」と感じるのは、「待ち時間を不快に感じている」場合です。

 

ではどのような時に「不快」に感じるのか?それは大きく分けて、以下の4パターンです。

(1)院内で立って待つ、もしくは駐車場の車内で待つ
(2)受付から診療開始までの時間が長い(目安:30分以上)
(3)待ち時間が手持ち無沙汰である
(4)診察終了後から会計までの時間が長い(目安:10分以上)

 

診察を受けるまでの「待ち時間」短縮


(1)院内で立って待つ、もしくは駐車場の車内で待つ
少しでも快適に過ごしてもらう為にも、まず院内で待機できるということは必須条件です。
ただ、明らかに患者数が増加しているにも関わらず、待合室のレイアウト変更や席の増設をしていない医院ですと、座って待つことの出来ない患者さんがいる場合をよく見ます。

また、座る人の快適性を優先した結果、ソファの設置数が少ない場合もあります。3人がけのソファの真ん中が荷物の置き場となり、デッドスペースとなっている場合もあります。

まずは自院の待合席の配列が最大値をとることができているか、デッドスペースとなっている席はないかを見直していただく必要があります。

それでも最繁忙期などで、キャパシティーを超える場合はパイプ椅子などを予め用意しておき、適宜使えるようにしておきます。

 

(2)受付から診療開始までの時間が長い(目安:30分以上)
こちらに該当する医院の多くは、「予約システム」を導入していないことが多いです。
近年は予約システムを導入している医院が増えてきておりますので、まだ導入されていない医院においては、早期の導入を推奨いたします。

一方で、予約システムを導入しているにも関わらず、この悩みが発生している場合は、予約システムの利用率が50%を下回っていることが考えられます。

まずは自院での利用率がどの程度なのかを各システム会社に問い合わせ、現状を把握し、利用率が低ければ受付時・会計時において患者さんに、予約システムの利用を促すべきです。

 

(3)待ち時間が手持ち無沙汰である
ここ数年は待ち時間にスマートフォンを操作して待ち時間を過ごしている方が目立ちますが、医院側としても準備できるものは準備しておいた方が良いでしょう。

具体例を二つ挙げますと、

①院内のモニターを使用して情報発信をする
②雑誌・書籍類を充実させる。

があります。

①の場合、情報発信の内容は、自院の紹介動画や予約システムの使用方法などがあります。
モニターの無い医院でも、院内掲示にて上記内容に類似した情報発信が可能です。
また、診察中に良く聞かれる質問を貼り出せば、患者さんが待つ時間を利用して、安心感を訴求しつつ、診療の効率化を図る事ができます。

②は、お子様が多い地域の医院であれば、お子様の読み物(絵本etc.)はもちろん、保護者であるお母様が読みやすい雑誌も設置しておくべきです。
女性向け雑誌は年齢別に幅広く発刊されていますので、年齢別に応じた雑誌は設置しておくことをお勧めしております。

 

診察終了後の「待ち時間」短縮

(1)~(3)までは「医師の診療」を待つ時間ですので、患者さんはまだ待つことができますが、これからお伝えする(4)の「待ち時間」は、それらとは異なります。

(4)診察終了後から会計までの時間が長い(目安:10分以上)

今回お伝えした「待ち時間」の中でも、「会計待ち時間」に関しては、最も患者さんが不快に感じる待ち時間です。
「会計待ち時間」は、患者さんにとっては「帰宅すること」を待つ時間です。

その為、会計速度が遅い医院では解決すべきミッションとして、最優先に着手すべき課題です。
忙しい時間帯は受付以外のメンバーが救援するルールを作るなどして、会計処理が追い付かず、受付の機能がダウンするということが無いような仕組みを構築してください。

 

上記4パターンに対応する対策を打ってもなお、明らかにキャパシティーを超えているような場合では、待合室の増築・改築や移転など、大掛かりな対策も視野に入れる必要が出てきます。

ただし、時間とお金がかかる話になりますので、これらに関しては事前に入念な準備を進め、繁忙期を過ぎた時期に実施することをお勧めいたします。