理事長や院長にとって“マニュアルという仕組み”を作成する目的は、
スタッフを育成し仕事を部下に移譲させ、
経営や今後の戦略を考える時間を作りやすくすることが一例として挙げられます。

 

そこでまず仕組みができているか確認するために、下記の質問にお答えいただきたいと思います。

院長先生の医院では以下の質問に対して、「YES」「NO」どちらですか?

 

・採用したスタッフはすぐに育ちますか?

・特定の人に負担がかかっていないですか?

・優秀な人が辞めても困らないですか?

・通常の診療が忙しいことがスゴイことだと考えていないですか?

 

一つでも「NO(いいえ)」があれば“仕組み”が整っていないかもしれません。

今回は色々な“仕組み”がある中、
“マニュアル”を作成する4つの手順を以下に記載致します。

 


 

STEP1.

<医師、スタッフの業務の棚卸を行う>

業務の棚卸とは医師、各スタッフに

(1)毎日発生する業務

(2)毎月発生する業務

(3)数ヵ月に一度発生する業務

(4)不定期に発生する業務

などに分けて書き出していきます。

 

その際に重要性を明示しておくと、どの業務から移譲すれば良いかが分かりやすくなります。

また、院長先生ご自身の業務の棚卸を行い、本当に自らが行わなければいけないのか、
スタッフに移譲できないかどうかを見つめ直していただきたいと思います。

 

STEP2.

<一人に集中している業務を振り分ける>

医師、スタッフの業務量が把握できれば、誰の業務が多いのか、少ないのか、重要な業務が誰に集中しているのかが把握できます。

一人のスタッフに重要な業務が集中しているのであれば、余裕のあるスタッフに移譲したり、複数のスタッフができるように育てていきます。

実は、一番勤続年数の長いスタッフや影響力の大きいスタッフには重要な仕事が集中しておらず、その下のスタッフなどに仕事が集中している医院も多々あります。

また、どの業務が誰に割り当てられているのかがわかっていると、万が一、そのスタッフが退職した時の引き継ぎも簡単に行うことができます。

 

STEP3.

各業務のマニュアルを作成するときの注意点ですが、ただ手順を羅列するだけではいけません。

ここでのポイントは再現性です。誰が行っても、同じように再現できるように業務をできるだけ細かく分けてマニュアルを作成していきます。
ここで、細かく分ければ分けるほど再現性は高くなり、教える側と教わる側両方が楽になります。

 

著書「教える技術」で有名な石田淳氏はペットボトルの水をコップに注ぐという行動を細かく分解するとなんと最低27工程に分けることができる、と述べています。

そこまで分ける必要はありませんが、できるだけ手順を細分化することで、再現性が高まることをお分かりいただけると思います。

 

STEP4.

教え方を統一するマニュアルを作成したら終わりではありません。

次はマニュアルを効果的に活用するために教え方が重要です。

弊社セミナーでもお伝えしているように“教え方の4ステップ”で教えます。

 

(1)相手に理由や目的を伝える

(2)手順を説明し、「やってみせる」

(3)相手に「やらせてみる」

(4)教えた後のチェックをし、できていたら承認する(ほめる)

 

教える側、教えられる側ともに少し時間はかかりますが、上記の4ステップで教えることによって、教えられる側の吸収力や再現性を高め、教える側にとっても業務のおさらいにもなります。

 

以上が“マニュアル”を作成する4つの手順です。

 

患者数が落ち着き、余剰人員が比較的出やすい閑散期において、何をするか迷われているようでしたら、次の繁忙期に向けて少しずつ医院の“仕組み”を築き上げていただければと思います。