「最近忙しいし…」
「もうすぐ年末で大掃除をするから…」

といった気のゆるみが積み重なると
クリニックも雑然とした状態に陥ってしまいます。

 

『掃除』が行き届いていないクリニックが患者さんから敬遠されてしまうのは
どの医院でもご理解のことだと思います。

しかし、『整頓』が行き届いていないことも
患者さんの満足度を下げる要因になることを理解されていますでしょうか?

整頓が行き届いていないと、必要なものを探すために時間がかかり
結果として診察効率が低下し、待ち時間等が伸び患者満足度を低下させてしまいます。

 

そこで今回は特に整頓についてお話をさせていただきます。

 

 

整頓の一番の目的は、見た目を綺麗にすることでは無く、
「必要な物を即時に使用できるようにする」ことです。

 

そのためには

  1. 収納の方法を工夫し、滞りなく取り出せるようにすること
  2. 全てのスタッフさんがクリニックにあるものの場所を把握しておくこと

この2点が重要となります。

 

1.については工夫をされているクリニックも多いかと思いますが、
2.についてはクリニックとして共通の取組をされているところは少ないように見受けられます。

それでは1.2.それぞれの改善方法をお伝えさせていただきます。

 

 

1.収納の方法を工夫し滞りなく取り出せるようにすること

 

こちらは“片付け方”の問題ですが、
1番大切なルールは「使う頻度によって収納場所を決める」ということです。

次に大切となるのは「取り出しやすさと再収納の簡単さ」です。
特に使用した後に元の状態に簡単に戻せることが重要です。

ここで役に立つのが、「地図」と「場所割」です。

 

地図とは
備品や薬品についてあらかじめ収納する場所を図面で決めておくということです。

戸棚の表に収納されている物品の名前を表示されているケースはあるかと思いますが、
その戸棚のどこに何がしまわれているのかを見取り図にして示すことで
一目でどこに何があるかを認識できます。

こうなりますと準備も容易になりますし、収納の際の再現性が高くなるので、
スタッフさん毎の“収納のクセ”が無くなり業務の効率化に寄与します。
地図だけでなく、整頓された状態を写真に撮って地図と一緒に掲載しておくとより効果的です。

 

そして、場所割とは、
駐車場に引かれている駐車スペースを区切っている白線のように
戸棚の中にテープ等で片付ける場所を区切り、
毎回確実に決まった場所に収納できるようにするというものです。

 

クリニックにある全ての物品に対して「地図」と「場所割」ができれば
収納において全てのスタッフさんが均一の業務ができるようになりますので、
業務の効率化が期待できます。

 

 

2.全てのスタッフさんがクリニックにあるものの場所を把握しておくこと

 

1.と同様に、クリニック全体の「地図」を作ることで改善が図れます。

 

先ほど戸棚毎にどのようなものがどこにあるのか一目でわかるように
地図を作り、明示するお話をしましたがこちらはクリニック全体の見取り図に
対してどのようなものがどこに収納されているかを明確にするための地図です。

ここで注意いただきたいのが、クリニック全体の見取り図に
備品一つ一つの名前を書いてしまうと把握するまでに時間がかかってしまいます。

そのため、
「この棚には検査キット」
「この棚には診察関連消耗品」
など大まかなグループで地図を作成するということです。

戸棚まで行けば個々の物品がどこに収納されているかより詳細な地図に
記載されていますので、目当てのものがどの戸棚に収納されて
いるのかさえ把握できれば良いということです。

 

今回お伝えしたことを実施していただくとどなたでも同じように収納できるようになります。

新しいスタッフさんが入職された際にクリニック全体の見取り図を渡して
覚えていただくだけで必要なものを取り出すことができ、同じ様に収納できますので
教育の効率化にも寄与してくれます。

実施するとなると手間と時間がかかりますが
年末の大掃除と併せて実施していただければそれほど大きな手間にはなりませんので
是非この機会を有効に活用していただき業務の効率化を図っていただければと思います。