【整形外科医院メルマガ2020年7月号】患者ロイヤルティのマネジメント
患者ロイヤルティのマネジメント
皆さんこんにちは
クレドメディカルの中川です。
東京では過去最高の新規の感染者が出るなど
未だ余談を許さない新型コロナウイルスは
引き続き整形外科医院経営にも大きな影響を与えています。
クリニックを安定的に経営していくためにも
一定数以上の患者さんに継続して来院していただくことが重要です。
しかし、患者数の維持を目的として
頻回な通院を指示すると患者満足度を大きく低下させてしまいます。
そこで今月は患者ロイヤルティについてお伝えしたいと思います。
ロイヤルティは英語表記ではloyaltyとなり「忠誠」などの意味を指します。
マーケティングでロイヤルティと言われる場合、
ブランドや企業、店舗などへの愛着を意味する言葉となります。
似た言葉にロイヤリティがありますが、こちらは英語表記でroyaltyとなり、
「特許使用料」や「著作権使用料」を指します。
患者ロイヤルティが患者数の維持・増加に繋がる理由としては
患者ロイヤルティの高さが患者維持率の高さに繋がるからです。
患者維持率は今来院されている患者さんの内
1年後も来院されている患者さんの比率のことです。
例えば患者維持率が90%の場合と50%の場合を比較すると
90%の場合、その時点で来院している患者さんの内
今来院している患者さんが占める割合は
1年後 90%
2年後 81%
3年後 72.9%
となります。
50%の場合は、その時点で来院している患者さんの内
今来院している患者さんが占める割合は
1年後 50%
2年後 25%
3年後 12.5%
となります。
患者維持率が低い状態は
お風呂の栓を抜いたままお湯を入れる行為に例えることができます。
仮に患者維持率が50%の状態が5年続いた場合今いる患者さんの内
約3%しか来院されていないこととなります。
この場合5年後も今の患者数と同数の患者数を維持するためには
今来院している患者数の97%分の新規患者を獲得しなければいけない
ということです。
整形外科医院はクリニックの数が増加しており、
今後も増えると予想されています。
さらには、人口減少の波も迫っていますので、
新患の獲得競争は益々厳しくなると考えられます。
ですから今後もクリニックを安定的に経営していくためには
今来院している患者さんを維持することが重要となります。
今来院している患者さんの維持率を見直す際に患者数の減少が著しい場合は
既存患者の掘り起こしを先にされることをお勧め致します。
既存患者の掘り起こし策としては過去来院していた患者の内、
直近数カ月来院されていない患者に対しクリニックから
お知らせを送ると良いでしょう。
具体的な方法としては
- 予約システムのお知らせ機能を活用する
- ハガキ等でお知らせを送付する
などが考えられます。
既存患者へのお知らせは広告に当たらないため
比較的自由にお知らせしたい内容をお伝えすることができます。
内容としては感染対策の実施状況や重症化する前に通院を促す内容などが
良いでしょう。
患者数が回復した後は患者維持率を調査し上昇させましょう。
患者維持率を調べるためにはアンケートが有効です。
アンケートを活用し患者ロイヤルティを調べることで
患者の継続して通院する意思を確認できます。
アンケートは以前の様に紙媒体で実施していただいても良いですし、
GoogleフォームなどのWEBツールを活用していただいても良いでしょう。
例えばGoogleフォームであれば無料で活用できる上、
集計も自動で行ってくれるのでスタッフさんに負担をかけずに
実施することができます。
アンケートでは患者ロイヤルティや患者満足度の他に
自院の改善点や医師の接遇、スタッフの接遇についても
確認していただくと良いでしょう。
無記名のアンケートにしていただくことで
自院の改善点について忌憚のない意見を集めることができます。
患者から集めた改善点を改善していくことで患者ロイヤルティが高まります。
体の調子が悪くなった際に再び通院してくれるようになるので
継続的にクリニックに収益をもたらしてくれることは勿論、
患者ロイヤルティが高い患者は口コミなどで新規患者を連れて来てくれますので
クリニックにとって非常に重要です。
さらに既存患者の口コミで来院した患者は
来院前からクリニックの雰囲気や院長先生の診療方針などを知った状態で
来院してくれるので他院へのスイッチの可能性が低いという特徴があります。
整形外科医院では、長期に渡って通院が必要となるリハビリや、
単価の高い手術を増やすことは、収益を確保する上で非常に重要です。
特に高齢者の割合の多い整形外科医院では、
集患をするうえで口コミの重要度は高くなりますので、
口コミを増やすための仕組みを構築することが大切です。
例えば、クリニックの方針を踏まえて、
以下のような取り組みをされている医院さんもございます。
・リハビリの件数増加に注力している場合
患者参加型の予防教室などに参加した患者さんから
カウンセリング時に紹介制度を設け、新たな患者さんを紹介してもらう
・手術の件数増加に注力している場合
スポーツ関連の手術を受けた患者さんに入念な事前説明は勿論、
アフターフォローも徹底することで安心感を訴求し、
学校からの紹介患者の増患などを図っています。
このように患者ロイヤルティを高めることは
患者数の増加、収益力強化に効果的ですので
新規患者の獲得が難しくなっている現状においては
- 既存患者を掘り返す
- 患者ロイヤルティを調べる
- 患者ロイヤルティを高める
の順でクリニックの経営基盤を強化していただければと思います。
今月も最後までお読みいただき、有難うございました。
それでは次回以降の配信をお楽しみに!