診療報酬・診療報酬改定

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2024.12.20

市場拡大再算定の特例によるデュピクセントの薬価引き下げ

本記事は「市場拡大再算定の特例によるデュピクセントの薬価引き下げ」について、経営コンサルタントの竹下が医師のために記載した文書です。

より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。

 

 

〈目次〉

  1. 2024年11月の薬価改定について
  2. 市場拡大再算定の特例とは
  3. まとめ

 

1. 2024年11月の薬価改定について

 

2024年11月、市場拡大再算定の特例による薬価改定が行われました。
NDBデータ(3月診療分)に基づき、市場拡大再算定が適用されるのは3成分6品目です。
この改定において、特に注目を集めているのがデュピクセント(デュピルマブ)です。
同時に、アドトラーザおよびイブグリースなどの他の生物学的製剤も改定の対象となりました。
具体的な薬価改定後の価格は以下の通りです。

●デュピクセント皮下注300mgシリンジ 61.523円⇒53.493円
●デュピクセント皮下注300mgペン 61.714円⇒53.659円
●デュピクセント皮下注200mgシリンジ 43.320円⇒39.549円
●アドトラーザ皮下注150mg シリンジ 29.295円⇒24.182円
●イブグリース皮下注250mgシリンジ 61.520円⇒50.782円
●イブグリース皮下注250mgオートインジェクター 61.520円⇒50.782円

この改定は、医療機関におけるデュピクセントの使用状況や患者さんへの影響を考慮して行われたものであり、今後の治療方針に対してもさまざまな影響を及ぼす可能性があります。

 

まず、デュピクセントはアトピー性皮膚炎や喘息などの治療に用いられる生物学的製剤であり、その効果が高く評価されています。
しかし、高額な治療コストが障壁となり、患者さんが治療を受ける上での経済的負担が軽減されることが求められていました。
薬価の引き下げにより、より多くの患者さんがこの治療を受けやすくなることが期待されます。
これにより、重症の患者さんがデュピクセントを適切に利用する機会が増えることで、より良い治療データが得られる可能性があります。

 

次に、医療機関における処方状況にも影響を与えるでしょう。
薬価が下がることで、医師は患者さんに対してデュピクセントを推奨しやすくなります。これにより、医療機関でのデュピクセントの使用が増えると考えられ、患者さんの治療選択肢が拡充します。
さらに、医療機関が患者さんに対して提供する情報や教育の重要性が増すことも予想されます。
医師は、治療に関する詳細な情報を提供し、患者さんが正しい選択をできるようサポートする必要があります。

 

2.市場拡大再算定の特例とは

 

市場拡大再算定の特例とは、薬価収載時の予想を大きく上回る販売量を記録した医薬品について、薬価を最大50%引き下げる制度です。
市場拡大再算定は、薬価収載時の予想よりも大幅に市場が拡大された医薬品について価格の見直しを行う制度です。
一方、市場拡大再算定の特例は、2016年度の薬価制度改革で導入された制度で、従来の市場拡大再算定に「特例」として設けられました。

 

市場拡大再算定の特例の対象となるのは、次のとおりです。
•年間売上高が1000億円超1500億円以下かつピーク時予想の1.5倍以上の医薬品
•年間売上高が1500億円超かつピーク時予想の1.3倍以上の医薬品

 

デュピクセント皮下注について、NDBデータ(3月診療分)に基づく検討を行ったところ市場拡大再算定の特例の要件に該当したことから、新薬収載の機会を活用して薬価を見直すことなりました。

詳しくは、中医協の「市場拡大再算定品目について」(2024年8月7日)の文書をご参照ください。https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001284983.pdf

 

3.まとめ

 

デュピクセントを含む生物学的製剤の需要は年々高まっております。
これは、特に慢性の疾患に対して高い治療効果が期待できること、および患者さんの生活の質を大きく改善する可能性があるためです。
しかし、これらの治療はこの治療は高額であるため、患者さんへの説明や相談には多くの時間が必要となることが示唆されています。

 

(※患者さんへの治療計画の説明などのオペレーションについての詳細な情報は、以下の「生物学的製剤を導入する際の必要な診療体制」のコラムをご参照ください。
https://credo-m.co.jp/hifuka/topics/operation/613.html

 

また治療を進める上では、医療機関が患者さんに対し十分な情報を提供し、患者さんがデュピクセントを利用する際に感じる不安や疑問を軽減するための体制を構築することが非常に重要です。
例えば、治療に関する詳細や治療計画、費用の説明を患者さんとその家族にしっかりと行うことが求められます。
これにより、患者さん自身が自分の健康に対して能動的に関与できるようになり、治療への信頼感も高まるでしょう。

 

本記事についてより詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。

 

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