生物学的製剤を導入する際の必要な診療体制

生物学的製剤とは、バイオテクノロジーを用いて製造された薬剤のことを指し、特定の分子や細胞を標的として作用することで、治療効果を発揮します。
これには、抗体薬や酵素製剤、ワクチンなどが含まれます。

皮膚科領域においても、様々な生物学的製剤が使用されており、その需要が増加しています。
特に生物学的製剤のひとつである「デュピクセント」は2023年9月25日より、生後6ヵ月以上の小児アトピー性皮膚炎の適応が承認されたこともあり、多くの皮膚科医院において、アトピー性皮膚患者の治療の選択肢として注目されています。

既に生物学的製剤を導入している皮膚科医院様や、これから導入を検討したいと考えている皮膚科医院様においても、以下のようなオペレーション面での不安をお持ちの先生方も多いことかと思います。

【患者様に対して必要なオペレーション項目】
・治療や治療スケジュールに対する説明
・高額療養費制度の案内
・投与開始後の離脱を防ぐための治療効果の検証

【スタッフに対して必要なオペレーション項目】
・スタッフから患者様への治療に関する説明体制
・スタッフの治療や薬剤に関する理解と知識向上・患者様の投与スケジュールに応じた予約管理
・院内での薬剤管理と発注体制
・適切な診療報酬の算定や、レセプト記載例

 

そこで本記事では、「生物学的製剤を導入する際の
必要な診療体制」と題して、皮膚科医院が「生物学的製剤」を導入する際の適切な診療体制について解説します。

 

まず、患者様に対して必要なオペレーション体制については、治療間隔などのスケジュールや治療費(高額療養費)などの説明体制構築が最重要となります。
こちらは説明に時間がかかるものなので、できる限り短縮した上で診療効率化を目指したいとお思いの先生方も多いと思いますが、説明不足があったり、治療スケジュールに関して患者が正しく理解できていなかったりすると、「患者満足度」が低下してしまう恐れがあります。治療に関する説明時間と「患者満足度」のバランスが重要となります。

つまり、できるだけ説明時間を短縮しつつも「患者満足度」を向上させるためにはどうすれば良いか、という点が課題となります。

説明時間を短縮し、患者の理解を深めるためのツールなど活用することで、効果的な説明体制を構築することが可能です。
これにより、患者の治療に関する理解をより深めるとともに、スタッフの説明時間を短縮することができます。

その他にも、初めて生物学的製剤を投与開始する患者様から挙げられる不安な点としては「自己注射の方法」「自己注射の痛み」「治療効果」「効果が表れるまでの経過」など、スタッフさんに聞きたいことが山ほどあるかと思います。
これらの患者様の声や不安点をまとめた「クリニックオリジナルQ&A質問集」などを作成することも、診療効率化と患者満足度の両側面において効果的です。

このような具体的なオペレーションについて、詳細をお知りになりたい先生方はこちらの「無料経営相談」をご活用ください。
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次に、スタッフに対して必要なオペレーション体制の中で最も重要な点は、スタッフの知識レベルや理解度レベルをどのように効果的に向上させるのか、という点です。
なぜなら、生物学的製剤の導入に際して、疾患や薬剤に関する知識だけでなく、高額療養費制度のシミュレーション、治療スケジュールに応じたレセプトにおける複雑な診療報酬の算定などの幅広い知識がスタッフに求められるからです。
さらに、これらの内容を「できるだけ短い時間で分かりやすく患者に伝える」テクニックも必要となります。
生物学的製剤の導入に関心はあるものの、スタッフ教育に係る労力や時間の煩わしさから、導入を見送る皮膚科医院の先生方もいらっしゃいます。

しかしながら、これらの知識やスキルを向上させるための研修や患者対応におけるロールプレイングのトレーニングなどを行うことは、長期的に見て診療の質を高め、患者満足度を向上させるためには不可欠です。

スタッフオペレーションにおける知識向上については、具体的には、以下のような施策が挙げられます。

■定期的な研修会の開催
スタッフ全員が最新の知識を共有できるよう、定期的な研修会やミーティングを開催することが重要です。
外部の専門家を招いた講義や、オンラインセミナーなども効果的です。

■マニュアルの作成とガイドラインの整備
各種手順や規定をまとめたマニュアルを作成し、スタッフがいつでも参照できるようにすることで、知識の共有を図ります。

■ロールプレイングによる実践トレーニング
診療現場でのシナリオを再現し、スタッフ同士でロールプレイングを行うことで、現場での対応力を鍛えます。
これにより、患者様への説明や対応がスムーズになる効果が期待されます。

■知識定着テストを実施
教育課程において重要な点は「フィードバックと改善のサイクル」です。
スタッフの知識定着度を確認するための定期的なテストを実施します。
これにより、スタッフ自身も自分が理解していない箇所を把握でき、効果的な学習が可能となります。

これらの施策を組み合わせることで、スタッフの知識とスキルを向上させ、患者様への対応をより質の高いものにすることができます。

まとめ

生物学的製剤を導入する際には、患者様とスタッフ双方に対する適切なオペレーション体制の構築が重要です。
特に、治療に関する説明(治療スケジュール、高額療養費制度の案内)などを中心に「スタッフの教育」といったポイントに注力することで、診療の質を高め、スタッフの知識力向上と併せて、患者満足度を向上させることができます。

 

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生物学的製剤の導入オペレーションについて見直しを検討されている医院様はぜひご活用ください。

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