クリニック運営に事務長は必要なのか?
果たして事務長は必要なのか?そのような疑問をお持ちの院長先生は多いかと思います。
実際に、開業当初は事務長が必要不可欠となるケースはそこまで多くありません。
ただ、スタッフの人数が限られていることにより、院長先生がお一人で様々な業務を対応されているケースばかりかと思います。
そういった日常業務を代わりに実行してくれる「事務長」がいると、負担が減るとお考えになることでしょう。
また、1日当たりの診察人数が増えていくと、
- 診療業務における心身の疲労の増加
- 診療時間の延長に伴った、診療外業務に割く時間の減少
は勿論のこと、対応するスタッフを増やしていかなければなりません。
また、スタッフ数が増えるにつれて、給与計算・スタッフ面談・日常の運営管理などの業務負担は大きくなります。
特に、10名を超える規模になるとこれらの業務を院長先生お一人で管理・実行するには負担はかなり大きいと言えます。
つまり、クリニックそれぞれ置かれている状況は異なりますが、
院長先生お一人で診療外業務を進めていくことに負担を感じている状況であれば、
事務長をクリニック内に配備すること
は検討しても良いでしょう。
事務長の役割とは
事務長に期待される最も重要な役割は、診療業務に加え、診療外業務にも忙殺される院長先生の代わりに
請求書の管理・ウェブサイトの更新・新しいスタッフの採用といった
医院運営に欠かせない多岐にわたる業務を進め、身体的・精神的な負担を取り除くことです。
これらの業務を事務長に移管することができれば、院長先生は診療に専念することができ、
より多くの患者さんに質の高い医療を提供することが可能となります。
つまり、事務長はクリニック経営における院長先生の重荷を軽減するための縁の下の力持ちとも言えます。
院長先生や奥様
主な経営実務
- 経営戦略/マーケティング
- 人事
- 総務
- 経理
実務依頼
事務長
受けた指示の具体化
院長業務サポート
- 請求書関連処理
- 勤怠集計
- その他各種資料作成 etc
採用実務
- 求人原稿作成
- スカウト等やり取り
- 選考対応 etc
WEB/SNSサポート
- 院内ツール作成
- HP原稿作成/管理運用
- Web業者とのやり取り etc
人事労務/マネジメント
- スタッフとの面談
- 日常的なスタッフからの
連絡への対応 - マニュアル作成 etc
その他の実務
- 業者との折衝
- Google口コミ対応
- 院内PCのセッティング etc
事務長ポストを作ることのメリット
院長先生の自由になる時間が増える
事務長に日常業務を任せることで、院長先生は診療以外の時間を有効活用できるようになります。そして、新たに確保した時間を有効活用することで長期的な経営計画の立案・学術会議への参加・最新情報の収集は勿論、ご自身のリフレッシュの為の時間として利用することも可能です。
院長先生の業務負担とストレスの軽減
「診療が忙しいのに、診療後にはさらに多くの業務が待っている…」
「採用面接の準備もしなければならない…」
このような毎日の診療外業務を負担に感じている院長先生は少なくありません。事務長にこうした日々の診療外業務を任せることで院長先生の精神的・肉体的な負担を軽減できます。
スタッフが働きやすい環境の実現
院長先生が常に忙殺されていると、スタッフとのコミュニケーションの機会が自然と減少してしまいます。この問題を解決するためにも事務長の採用は重要な役割を果たします。
先生ご自身がスタッフとのコミュニケーションを積極的に取りたいタイプの場合には、事務長に院長先生の日常業務を任せることで、院長先生はスタッフとの定期的な面談の時間を持つことができます。スタッフにも院長先生が定期的にスタッフの意見や提案に対して耳を傾けてくれて、気にかけているということが伝わりモチベーションの向上が期待できます。
一方で、経営や診療に集中したい院長先生の場合は、事務長にスタッフとの定期的な面談を任せてしまうことでスタッフからの質問・意見・要望などは事務長が集約、必要に応じて事務長から院長先生へ定期的に報告を行うことで、院長先生は重要な意思決定にのみ集中することができます。また、事務長がスタッフの評価やフィードバックなども担ってくれるとスタッフの成長の支援を行うことも可能となります。
またどちらの場合でも事務長がいることで、経営戦略の共有・情報の伝達・進捗の確認などがスムーズに行われ、スタッフは自分の意見をより表現しやすくなります。このように、事務長の採用は、院長先生とスタッフ間のコミュニケーションの橋渡し役としてクリニック運営における重要な役割を果たします。
事務長雇用の実態・金銭的負担
任せる業務内容にもよりますが事務長を雇用する際の年収相場は
500万円が最低ライン、実際には600~800万は提示することが望ましいでしょう。
また、一度雇用すれば事務長自体のマネジメントに時間を確保する必要があり、
作業スペースの確保やパソコンを始めとした各種備品の準備など、新たな業務負担が生まれることも考えられます。
このような実態を始めとして、多くの院長先生からお聞きするお声をまとめますと、
- 常勤で雇用するほどの仕事量が無く、コストが割高
- 求めるスキルや能力が高く、それを満たす人材がいない
- 院長先生ご自身の価値観と合う人材がいない
- 雇用契約を締結した以上、簡単に解雇できない
その為、クリニックにおいて事務長を雇用することに至るクリニックは
まだまだ多くないでしょう。
事務長代行という選択
そこで、最近は雇用ではなく事務長に任せたい経営実務を
アウトソーシングするクリニックも増えてきました。
- 常勤で雇用するほど頼みたい業務はないが、 業務の一部を手伝ってほしい
- 事務長として雇用するほどのコストは考えていないが、
300万以内であれば検討したい - どの程度ご自身の負担が軽減されるのか一度試してみたい
このような院長先生が事務長代行の利用を始められています。
事務長をクリニックで雇用する場合と事務長代行サービスを比較すると、
事務長雇用 | 事務長代行 | |
コスト | 固定の人件費と福利厚生費用がかかる。長期的に見れば時間単価は安い。 | 契約期間や業務量に応じて変動。初期導入費用は低い場合が多いが、長期的に見ると割高な場合もある。 |
専門知識 | 個人の資質や経験に依存する。良い人材を採用できれば高いレベルの知識とスキルを確保することが可能。 | 事務長としての一定以上のスキルは保持している。バックアップ体制は企業による。 |
対応のスピード | 対応可能だが個人のタスク管理能力に依存する。 | 設定した期日内での迅速な対応が可能。 |
安定性 | 退職のリスクあり。 | 退職の心配なし。 |
導入のハードル | 高い(採用プロセスが必要)。 | 低い(契約のみで迅速に導入可能)。 |
スキル | 個人の経験や能力に大きく依存。また、医院側で教育する必要性がある。 | 代行サービス会社が提供するトレーニングにより、一定レベルの専門スキルと経験を持つスタッフが担当することが多い。 |
委託できる 業務範囲 | 個人のスキルや経験に依存するが、長期的には院長先生との連携により業務範囲を拡大可能。 | 業務範囲は契約に基づく為、業務範囲を広げる場合は追加でコストが発生する契約体系の企業もある。 |