
<目次>
1. 介護保険の保険者とは?
2. 介護保険の被保険者とは?
■介護保険の保険者とは?
〇保険者とは
介護保険の保険者とは、全国の市町村や東京23区のことで、介護保険制度を運営しています。保険者は、その地域に住む40歳以上の人を加入者とし、集めた保険料を財源に、介護が必要になったときにサービスを提供します。
1997年に制定された介護保険法では「保険者」について、きちんと定義されています。
介護保険法(平成九年法律第百二十三号)
第一章 総則
(保険者)
第三条
1. 市町村及び特別区は、この法律の定めるところにより、介護保険を行うものとする。
2. 市町村及び特別区は、介護保険に関する収入及び支出について、政令で定めるところにより、特別会計を設けなければならない。
〇保険者の役割とは
介護保険の運営を担う市町村や東京23区(保険者)は、加入者の資格管理や被保険者証の発行・更新を行っています。
また、「住所地特例」という制度も管理しています。これは、施設に入所して住む地域が変わっても、元々住んでいた市区町村で引き続き介護保険の給付や保険料徴収を行う仕組みです。
さらに、40歳以上の「第1号被保険者」の介護保険料を決めたり、徴収した保険料と公費を財源として、介護サービス利用時の費用の7~9割を負担したりしています。
介護を受ける必要があるかどうかを審査するのも保険者の仕事です。申請を受けると、調査員が自宅や施設を訪問して心身の状態を確認し、一次判定を行います。その後、専門家が集まる「介護認定審査会」で二次判定を行い、要介護度を決定。結果は被保険者証に記載して通知されます。
加えて、地域での介護予防や支援のために「地域包括支援センター」の運営や介護相談窓口の設置なども行い、介護が必要な状態をできるだけ防ぐ取り組みも進めています。
■介護保険の被保険者とは?
〇介護保険を支払い始める年齢で2種類ある
介護保険に加入すると、介護サービスを利用できるようになります。加入者(被保険者)は、65歳以上の「第1号被保険者」と、40歳〜64歳の「第2号被保険者」の2種類に分かれています。
40歳になると、介護保険への加入が義務付けられ、保険料の支払いが始まります。支払いは、将来自分が介護サービスを受けるようになった後も続きます。
ここでは、「第1号被保険者」と「第2号被保険者」の違いについて詳しく説明します。
・第1号被保険者
65歳以上の人は「第1号被保険者」として介護保険に加入します。
保険料は、所得や課税の有無、生活保護の受給状況などによって決まり、収入に応じて段階的に設定されます。
各市区町村が基準額や保険料率を定め、それに基づいて金額が算出されます。
支払い方法には「特別徴収」と「普通徴収」の2種類があります。
・特別徴収:年額18万円以上の年金を受給している人は、年金から2ヶ月ごとに天引きされます。
・普通徴収:年金が年額18万円未満の人や、65歳になったばかりの人は、口座振替や納付書で支払います。
また、市区町村から「介護保険被保険者証(保険証)」が交付されます。これは、医療保険の保険証とは別のもので、介護サービスを利用する際に必要となります。
・第2号被保険者
40歳から64歳までの人は「第2号被保険者」として介護保険に加入します。
介護保険の適用は「40歳の誕生日の前日が含まれる月」から始まります。
・2日〜31日生まれの人
→誕生月から保険料の支払いがスタート。
・1日生まれの人
→誕生日の前日が前の月になるため、前月から支払いが始まります。
保険料の計算方法は、加入している健康保険の種類によって異なります。
・社会保険加入者
→健康保険組合が定めた介護保険料率を給与にかけ、事業主と折半して支払います。保険料は健康保険料と一緒に徴収され、健康保険組合が代わりに納付します。
・国民健康保険加入者
→所得や資産に応じて自治体ごとに決められた基準で保険料を計算し、国民健康保険料と一緒に徴収されます。
介護保険被保険者証は、原則として65歳以上(第1号被保険者)にのみ交付されますが、第2号被保険者でも特定16疾病により要介護・要支援認定を受けた場合は発行されます。
〇被保険者が利用できるサービス
介護保険を利用すると、必要なサポートを受けながら生活を続けることができます。
代表的なサービスは以下の5つです。
・介護に関する相談やケアプランの作成
→どのような介護サービスが必要か相談でき、専門家がケアプランを作成します。
→事業者や関係機関との連絡・調整も代行してもらえます。
・訪問介護(自宅で介護を受ける)
→訪問介護員(ホームヘルパー)が自宅に来て、食事・入浴・排せつの介助を行います。
→掃除・洗濯・買い物など、日常生活の支援も受けられます。
・通所介護(施設に通う)
→施設に通い、食事や入浴の支援、リハビリなどを受けられます。
→家族の介護負担を軽減し、孤立感の解消や心身機能の維持にもつながります。
・施設入所(宿泊して生活する)
→介護が必要な人が介護老人福祉施設などに入所し、日常生活の支援や機能訓練を受けられます。
→介護保険を活用することで、費用負担を軽減できます。
・福祉用具の利用
→車いす、介護用ベッド、手すり、歩行器などの福祉用具をレンタルまたは購入できます。
→自宅での生活を安全かつ快適にするためのサポートを受けられます。
〇「介護給付」と「予防給付」について
介護サービスを受けるには、まず要介護認定または要支援認定を受ける必要があります。
・「介護給付」→要介護認定を受けた人が利用できるサービス。
・「予防給付」→要支援認定を受けた人が利用できるサービス。
介護サービスを上手に活用するためには、制度の仕組みを理解し、自分に合った支援を受けることが大切です。