
訪問リハビリテーション事業の立ち上げを検討されている整形外科医院の先生方、「収益性は十分か」「準備すべきことは何か」など、様々な疑問をお持ちではないでしょうか。
本稿では、訪問リハビリテーション事業の立ち上げに必要な要件や手順について、わかりやすく解説いたします。
■訪問リハビリテーションを開業・立ち上げ・開設に必要な資格・基準
●立ち上げの要件
・病院、診療所、介護老人保健施設、または介護医療院であること
・医療法人や社会福祉法人等の法人格を有すること
・以下の3つの基準を満たすこと
- 人員基準
- 設備基準
- 運営基準
●訪問リハの立ち上げ基準①人員基準
職種 | 配置基準 | 兼務 |
医師 | 常勤・専従で1人 | 病院または診療所、介護老人保健施設、介護医療院では、当該病院等の常勤医師との兼務で差し支えない。 |
理学療法士、作業療法士または言語聴覚士 | 適当数を配置 | 病院または診療所、介護老人保健施設、介護医療院の理学療法士、作業療法士または言語聴覚士との兼務も可能。 |
●訪問リハの開設基準②設備基準
・専用区画の確保
→事業運営に必要な広さを持つ専用スペース
・必要な設備・備品の整備
→既存の医療用設備・備品の使用可
多くの事業所では、既存の医療機関等の一部スペースを活用して開業しています。
●訪問リハの開設基準③運営基準
運営基準は多岐にわたりますが、主な項目は以下の通りです。
- サービス内容の説明と同意取得
- 利用者の状況把握と適切なサービス提供
- 関係機関との連携
- 記録の適切な管理
- 衛生管理と安全対策
- 苦情処理体制の整備
- 地域との連携
これらの基準を遵守し、質の高いサービス提供を心がけることが重要です。
■整形外科医院が訪問リハビリテーションを立ち上げる流れ
整形外科医院が訪問リハビリテーション事業を開始する場合、以下の手順で進めていきます。
なお、整形外科医院はみなし指定を受けた事業所であるため、指定申請を行わずに訪問リハビリテーションのサービス提供を行うことができます。
・訪問リハビリのみなし指定とは
みなし指定とは、健康保険法の保険医療機関・保険薬局に指定された医療機関・薬局が、介護保険法による医療系サービスの事業者として、指定をされたものとみなされることをいいます。
通常、訪問リハビリテーション事業を始めるためには、指定権者に「指定申請」を行う必要がありますが、病院または診療所の場合は指定申請を行わなくても、「みなし指定」を受けた事業所として訪問リハビリテーションのサービス提供を行うことができます。
【訪問リハビリテーションの立ち上げ・開業の流れ】
1. 専用区画の確保
・利用者対応に適したスペースを院内に設置
2. 請求ソフトの導入
・サービス記録作成、請求データ生成、請求書発行等の機能を持つソフトを選定
3. 利用者獲得に向けた準備
・パンフレット、名刺、ウェブサイト等の制作
・居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、他医療機関等への営業活動
これらの準備を計画的に進めることで、スムーズな事業立ち上げが可能となります。
訪問リハビリテーション事業の立ち上げには様々な準備が必要ですが、地域の医療・介護ニーズに応える重要な役割を担うサービスです。
本稿が皆様の事業計画の一助となれば幸いです。