マネジメント

整形外科クリニックにおけるスタッフ教育

本記事では、整形外科クリニックで安定したチームを育てるためのスタッフ教育について解説します。受付・看護師・理学療法士・リハビリ助手など多職種が連携する現場では「伝え方」「教え方」「関わり方」が教育の成否を左右します。
マネジメントの経験が少ない院長先生でも実践しやすい、教育体制づくりの基本を整理しました。

<目次>

1.はじめに
2.スタッフ教育で意識したい3つのポイント
3.新人スタッフ教育の進め方
4.長く働いてもらうための関わり方
5.まとめ

1. はじめに

整形外科クリニックの現場では、医師・理学療法士・看護師・受付・リハビリ助手など、役割の異なるスタッフが日々連携しながら診療を支えています。
以前は物理療法を中心としたリハビリを行うクリニックが多く見られましたが、近年は運動器リハビリテーションを中心とした体制に移行する傾向が強まっています。
こうした変化に伴い、チーム内での連携や教育の難易度が上がっており、「スタッフ同士の意思疎通がうまくいかない」「教育に時間が割けない」と悩む院長先生も少なくありません。
この記事では、医療マネジメントの経験が少ない先生でも理解しやすいように、スタッフ教育とチームづくりの考え方を整理します。

2. スタッフ教育で意識したい3つのポイント

① 叱るより、まず“なぜ”を伝える
ミスをしたスタッフに対して、つい「なぜできていないのか」と指摘してしまう場面は少なくありません。ただ、多くの場合、原因は“理解不足”や“情報の共有不足”にあります。
「この業務はこういう理由で必要なんだ」と背景を共有すると、同じ注意を繰り返さずに済むことがほとんどです。
教育は「正す」より「理解させる」に軸を置くことで、長期的に安定したチームが育ちます。

② できたことを見逃さない
日常業務の中でうまくいった点をその都度言葉にして伝えること。
「受付対応が丁寧だったね」「リハスタッフへの連携が早かった」など、小さな成功を拾い上げて言語化することが、モチベーション維持の基本です。
褒められた経験は“自信”となり、クリニック全体の空気を穏やかにします。

③ ベテランと新人の温度差を理解する
整形外科は専門用語が多く、覚えることも多いため、新人スタッフは最初から完璧には動けません。「このくらいは常識」という感覚で叱ってしまうと、気持ちが折れてしまいます。
教育担当を1名に絞らず、先輩スタッフが交代で声をかけ合うようにするだけでも、現場の負担は大きく変わります。

3. 新人スタッフ教育の進め方

① 最初の1週間は“覚えるより慣れる”
初日からすべての業務を教えようとすると、本人も周囲も疲弊します。
まずは受付や誘導、基本的な器具補助など「失敗しても安全な範囲」から慣れてもらうのがポイントです。「この業務を1週間で覚えたら十分」という目安を示してあげると、本人も安心して成長できます。

② 教える側の負担を減らす仕組みづくり
口頭だけで指導するのではなく、簡単なメモや手順表を共有フォルダにまとめておくと便利です。
特にリハ助手や受付など、業務が細かいポジションほど「言葉で説明しにくい作業」が多いので、写真付きマニュアルや動画共有など、視覚的な教材が有効です。

③ “報連相”の入口をつくる
新人が報告や相談をためらうと、問題が表に出にくくなります。
「何かあれば自分に言ってね」ではなく、「今日の終礼で5分だけ困りごとを共有しよう」と明確な時間を設けることで、自然とコミュニケーションが生まれます。

4. 長く働いてもらうための関わり方

① 面談より“声掛けの習慣化”
定期的な面談よりも、日常の中で「最近どう?」「ここのやり方、やりにくくない?」といった軽い会話を増やす方が効果的です。
1回の面談よりも、1日1分の対話の方が信頼関係を築けます。

② チームの理解を深める場をつくる
運動器リハビリ中心の整形外科では、スタッフ同士の連携が診療の質を左右します。
リハ助手や受付スタッフ、理学療法士の考え方や治療の流れ、業務の流れを知ることで、患者対応の質が大きく変わります。このような機会を共有する場を設けることで、スタッフ同士が互いの業務を理解し、リスペクトできる環境となり離職防止にも直結します。

5. まとめ

整形外科クリニックのマネジメントは、医療の専門知識よりも「人への関わり方」が重要です。
叱る・褒めるといった感情の部分をどう伝えるかで、現場の雰囲気が大きく変わります。
まずは、新人教育の段階で“できたことを言葉にする習慣”をつくること。
それだけで、スタッフは安心して働けるようになり、自然とチームとしてのまとまりが生まれます。