
<目次>
1. 要支援・要介護は何が違うの?
2. 要支援とは
3. 要介護とは
4. 介護の必要度によって決まる8つの区分
5. 要支援と要介護では何が変わるの?
6. 要支援と要介護についてまとめ
■要支援と要介護の違い
要支援と要介護はどのように異なるのでしょうか?
簡単に説明すると、「要支援」は日常生活を送るうえで部分的な支援が必要な状態を指し、「要介護」は入浴や排せつ、食事などの日常生活動作の多くで介護が必要な状態を指します。
要支援と要介護では、身体の状態や利用できるサービスの範囲に違いがあります。
【要支援・要介護の違い】
要支援 | 要介護 | |
状態 | 多少の支援や部分的な介助が必要 | 日常生活全般において介護が必要 |
状態区分 | 要支援1・2 | 要介護1~5 |
利用できるサービス | 介護予防サービス | 介護サービス |
サービス利用開始の手続き | 地域包括支援センターで介護予防ケアプランを作成 | 担当ケアマネジャーがケアプランを作成 |
■要支援とは
厚生労働省の定義では、「基本的な日常動作は自力で行えるが、一部の生活支援が必要な状態」とされています。
たとえば、「ひとりで入浴はできるが、浴槽の掃除が難しい」といったケースが該当します。
要支援の状態では、適切なサポートを受けることで要介護状態への進行を予防できます。
■要介護とは
要介護とは、「日常生活動作のすべてまたは一部において、継続的な介護が必要な状態」を指します。
要介護者には、65歳以上の方のほか、加齢に伴う特定疾病が原因で40歳以上65歳未満で介護が必要な方も含まれます。
■介護の必要度に応じた8つの区分
要介護度は、介護の必要度によって8つの区分に分けられます。
【1】 自立(非該当):支援・介護が不要な状態
【2】要支援1:日常生活は自立しているが、部分的な支援が必要
【3】要支援2:要支援1よりも運動機能の低下が見られ、支援の必要度がやや高い
【4】要介護1:身の回りのことは自力でできるが、運動・認知機能がやや低下
【5】要介護2:身の回りの動作に介助が必要で、認知機能の低下も進行
【6】要介護3:食事・排泄・入浴などの日常生活動作に全面的な介護が必要
【7】要介護4:要介護3よりも動作能力が低下し、日常生活のほぼ全般で介護が必要
【8】要介護5:寝たきりで意思疎通も難しく、全面的な介護が不可欠
■要支援と要介護の認定のポイント
・認知症の有無:
認知機能の低下が進んでいる場合は要介護1に分類される可能性が高い。
・状態の安定性:
6カ月以内に状態の変化が予測され、介護料が増えると見込まれる場合は要介護1と判定されることがある。
■要支援と要介護で利用できるサービス・制度の違い
要支援と要介護では、利用できるサービスが異なります。
1)要支援の場合
要支援者は介護予防サービスを利用できます。これは、心身の状態を維持・向上させ、要介護状態にならないようにするためのサービスです。
【利用できるサービス1:介護予防サービス】
・介護予防訪問看護
・介護予防通所リハビリテーション
・介護予防居宅療養管理指導
・介護予防福祉用具貸与
・特定介護予防福祉用具販売 など
【利用できるサービス2:地域密着型介護予防サービス】
・介護予防小規模多機能型居宅介護
・介護予防認知症対応型通所介護 など
【利用できるサービス3:介護予防・日常生活支援総合事業】
・訪問型サービス
・通所型サービス
・その他の生活支援サービス
・介護予防教室
・高齢者サロン など
2)要介護の場合
要介護者は、日常的な介護が必要なため、在宅介護を支援するサービスや施設サービスを利用できます。
【利用できる介護サービス1:居宅サービス】
・訪問介護
・訪問看護
・通所介護(デイサービス)
・短期入所(ショートステイ)
・福祉用具貸与
・特定福祉用具販売 など
【利用できる介護サービス2:施設サービス】
・特別養護老人ホーム
・介護老人保健施設
・介護療養型医療施設
・介護医療院 など
【利用できるサービス3:地域密着型サービス】
・小規模多機能型居宅介護
・夜間対応型訪問介護
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・認知症対応型共同生活介護 など
<要支援と要介護の利用開始手続きの違い>
介護サービスを受けるには、ケアプランの作成が必要です。
要支援の場合:地域包括支援センターで介護予防ケアプランを作成
要介護の場合:ケアマネジャーがケアプランを作成
どちらの場合も、ケアプランの作成費用は介護保険で賄われるため、利用者が負担する必要はありません。
■まとめ
高齢化が進む中、整形外科医院においても患者の介護支援ニーズを把握し、適切な対応を行うことが求められます。
要支援は「生活の一部に支援が必要な状態」、要介護は「日常生活のほとんどに介護が必要な状態」と分類され、それぞれ利用できるサービスが異なります。
特に、外来診療時に患者の身体機能や日常生活動作の変化を見極め、地域包括支援センターやケアマネジャーと連携しながら、適切な介護サービスへの橋渡しを行うことが重要です。
患者様が介護サービスをスムーズに利用できるよう、介護分野への参入を進めていくことも必要でしょう。