経営計画

通所リハビリテーション(デイケア)の設備基準とは?

在宅介護の推進が進む中で、通所リハビリテーション(デイケア)への関心が高まっています。
通所リハビリを検討している整形外科医院にとって、設備基準を満たせるかどうかは、施設の改修や資金計画に大きく影響します。
本記事では、通所リハの設備基準について詳しく解説しますので、開設の参考にしてください。

<目次>

  1.  通所リハビリテーション(デイケア)の施設基準とは
  2.  通所リハビリテーション(デイケア)の設備基準を満たすための注意点
  3.  まとめ

■通所リハビリテーション(デイケア)の施設基準とは

通所リハビリは医療系の介護サービスであり、医師の指示のもと実施されるため、設置できる施設は病院・診療所・介護老人保健施設に限定されています。
設備基準は基本的に共通していますが、介護老人保健施設には若干の違いが見られます。以下に具体的な基準を説明します。

① 通所リハビリの設置場所
・病院または診療所:通所リハ専用の部屋を設置できる施設であること。
・介護老人保健施設:施設内での運営が可能。

② リハビリ実施専用の部屋について
〇病院・診療所の場合
・通所リハビリに適した部屋を確保する必要があり、「3平方メートル × 利用者数」 の面積を満たすこと。
・面積計算では、可動できない機器の設置スペースを除いた有効面積が基準となる。

〇介護老人保健施設の場合
・食堂スペースを含めて面積基準を満たすことが可能。
・「3平方メートル × 利用者数」の面積を確保すればよい。

③ 設備の専用利用と例外条件
通所リハビリで使用する設備は、原則として他の事業と共用不可ですが、以下の例外が認められています。

<例外1>
病院・診療所・介護老人保健施設が併設され、通所リハビリスペースを明確に区分できる場合、同一部屋の使用が可能。

<例外2>
医療機関が医療保険のリハビリテーション(脳血管・運動器・呼吸器)を届け出ており、医療保険の通所リハビリと介護保険の通所リハビリを併設する場合、利用者数を合算し、3平方メートル × 利用者数の基準を満たせば同じスペースで実施可能。

④専用機器・器具と防災設備
・通所リハビリに必要な機器・器具を備える(種類・数量に関する明確な規定なし)。
・消防法等に基づく消火設備や防災設備を設置することが必須。

■通所リハビリビリテーション(デイケア)の設備基準を満たすための注意点

通所リハビリの設備基準は明確ですが、実際には基準違反が発生することもあります。特に、スペースの確保に関する問題が多いため、以下の点に注意しましょう。

① 介護保険と医療保険の通所リハビリスペースの区別
・併設が認められる場合でも、スペースの区分を明確にする必要があります。
・パーティションなどの物理的な仕切りは必須ではないが、床の色分けやテープでの区分などの工夫が求められる。
・施設の見取り図は事業申請時に提出しているため、自治体窓口での確認が推奨される。

② 利用者数に応じた適正な面積確保

・利用者数に対する有効面積(内寸)を正確に計算することが重要。
・設置済みの機器や家具のスペースは計算に含めることができないため、既存の部屋を利用する場合には十分な広さがあるか確認が必要。
・新たに設計する場合は、基準を満たせるよう計画段階から考慮する。

※基準違反が発覚すると、以下の対応が求められます。
・行政指導(勧告)を受け、改善が求められる。
・改善が行われない場合、事業者名や違反内容が公表される。
・それでも是正されない場合、事業指定の取り消しなどの厳しい罰則が科せられる。

基準を満たせるか不安な場合は、早めに自治体の相談窓口で確認を行いましょう。

■まとめ

通所リハビリの設備基準について、ポイントを解説しました。

・病院・診療所・介護老人保健施設のみ開設可能
・3平方メートル × 利用者数のスペースを確保
・設備は原則専用利用だが、例外的に共用可能なケースもある
・違反が発覚すると改善勧告、最悪の場合は事業指定の取り消しも


特にスペースの確保が重要なポイントとなるため、施設の設計・運用にあたっては慎重に検討し、必要に応じて自治体に確認を行いながら進めることが求められます。
適切な準備を行い、安定した運営を目指しましょう。