
今回は、通所リハビリを検討している整形外科医院にとって、知っておきたい通所リハビリテーション(デイケア)の人員基準についてご紹介します。
<目次>
1. 通所リハビリテーション(デイケア)の人員基準とは?
2. 人員基準を満たしていない場合について
3. 人員基準欠如減算について
4. まとめ
1. 通所リハビリテーション(デイケア)の人員基準とは?
通所リハビリ(いわゆるデイケア)は、医療系の介護サービスであり、介護老人保健施設や介護医療院、病院、診療所といった医療機関が運営できる介護事業所です。
このサービスを提供するためには、厚生労働省が定める「人員基準」を満たす必要があります。これは、介護保険制度のもとで適切なサービスを確保するため、配置すべき職種と最低人数を定めたルールです。
【人員配置の基本要件】
<医師の配置>
常勤医師1名以上の配置が必要です。
ただし、介護老人保健施設または介護医療院として「みなし指定」を受けている場合は、それぞれの人員基準を満たしていれば問題ありません。
<従業者(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員・介護職員)>
・利用者が10人以下の場合
サービス提供時間を通じて、専ら通所リハビリに従事する職員を1名以上配置します。
・利用者が10人を超える場合
サービス提供時間を通じて、専ら通所リハビリに従事する利用者数を10で割った人数以上の職員を配置します。
例:利用者30人 → 30 ÷ 10 = 3名以上の従事者が必要。
上記従業者のうち専らリハビリ業務を担う理学療法士、作業療法士、言語聴覚士又は経験を有する看護師が、常勤換算方法で0.1以上配置します。
※診療所が運営する場合の追加要件
診療所が通所リハビリテーションを実施する場合は、以下の職員を常勤換算で0.1人以上確保する必要があります。
・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のいずれか、または通所リハビリやそれに類するサービスに1年以上従事した経験のある看護師
2. 人員基準を満たしていない場合について
指定を受けて開業した後に人員基準を下回った場合は、人員基準違反とみなされます。
この状態が運営指導(旧・実地指導)で発覚すると、以下のような処分を受ける可能性があります。
・行政からの是正指導
・新規利用者の受け入れ停止
・指定取消などの処分を受ける
3. 人員基準欠如減算について
人員配置が基準を下回った場合、「人員基準欠如減算」が適用されます。
この場合、基本報酬は通常の70%(3割減)でしか算定できなくなります。
・減算の開始:人員基準を満たさなくなった翌月または翌々月から適用されます。
・減算の終了:人員基準が解消された月まで適用され続けます。
このように、収入に大きな影響を与えるため、継続的な人員体制の管理が不可欠です。
また、欠如状態が長期に及ぶと、所轄官庁から以下の是正指導が行われます。
・職員の増員
・利用定員の見直し
やむを得ない事情がない限り、これらの指導に従わない場合は、指定取消などの厳しい処分の対象となります。
4. まとめ
通所リハビリを安定的に運営するためには、定められた人員基準を継続的に満たすことが不可欠です。
特に、運営指導では以下のような点が指摘されやすいため、注意が必要です。
・従業者の勤務実態が記録から確認できない
・サービス提供時間中に必要な人数が確保できていない
日々の運営において、職員の勤務シフトと人数のバランスを定期的にチェックし、関連書類を適切に保管しておきましょう。