スタッフの成長を公平に評価する評価制度

皆さまのクリニックにおいて、評価制度はございますでしょうか。「特に明確なものは作っておらず、院長の裁量にある」「評価制度を作ったもののあまり運用出来ていない」という声もよくお聞きします。
今回は、評価制度を作る理由どのような評価制度を作ればよいかについてお話しさせていただきます。

◇評価制度を作る理由

評価制度を作り運用することで、公平に手当や賞与を決める判断基準を作ったり、人材育成の状況把握をしたり、離職防止に繋がったりします。

  • 手当や賞与の確定および公平性の担保
    評価制度を作成される最も大きな目的と思われます。特に賞与に関しては、優秀なスタッフさんをきちんと評価してあげたいという思いから導入される先生が多いです。ただし手当や賞与は、その配分についてスタッフさんが「なぜ?」と公平性に疑問を抱くケースも少なくありません。評価制度に基づいていることを明示しておくことで、スタッフさんの疑問を解消するメリットもあります。
  • 人材育成
    評価制度にはスキルについての項目もございます。
    そのため、誰がどこまで習熟しているかも把握できます。
    スキルの不足部分を見える化することで、指導者は指導する項目が分かりますし、本人に不足部分を気づかせることもできます。
    そして逆もしかりで褒めるべき部分、得意な部分もわかります。
  • 離職防止
    優秀な人材の離職を防ぐためには、評価と給与や賞与などに納得感を持っていただくことが大切です。「頑張っていることを見てもらっている。それが目に見える形である。(評価の数値や賞与・手当)」と理解していただければ、評価制度は手当や賞与などに反映するだけでなく、スタッフさんのモチベーションの維持・向上にも役立ちます。
    特に若い年齢の方は、「他者からどう評価されているか」を気にしている方が多い傾向があるように感じます。社会人経験が浅く自分の中に自己評価基準が確立されていないため、他者からの評価を気にしがちであると言われています。
    そうした方々を上手く納得させる材料としても、評価制度は有効であるといえます。

◇スタッフのモチベーションを上げる評価制度の作り方

評価制度を作る際には、公平性があり尚且つスタッフのモチベーションを刺激し個々の成長に繋がる評価制度を作ることが重要です。そういった観点から自己評価と他者評価を組み合わせた評価制度をお勧めしております。
この評価制度は360°評価制度、多面評価制度、他己評価制度と呼ばれています。
自分と他者の両面から評価することで、自分と他人の基準の差がはっきりと分かるため、公平性が高く、納得しやすい評価制度の運用がしやすくなります。

〈評価項目の例〉

勤務態度やスキルの項目別に、
事務であれば

  • 患者さんと目線を合わせて、笑顔で挨拶ができているか
  • カルテ記入時にダーモスコピーなどの検査や軟膏処置2などの処置を漏れなく記録できているか、記録漏れをしていないか医師に確認できているか?

看護師であれば

  • 軟膏処置を積極的に実施できているか?
  • 処置中に生活上の注意点などプラスαの情報を患者さんに伝えられているか?

などの質問を設けて5段階もしくは10段階評価で点数化します。

こうした評価制度を作っておくと、院長先生がスタッフさんと個別面談をする時にも具体的な内容でフィードバックしやすくなり、スタッフさんの成長やモチベーションの向上に役立ちます。例えば、
「前回よりも○○が良くできるようになったね、次は××の改善を意識できるかな?」
「今回の評価結果から○○に不安があるようだけれど、どうしたら自信を持てるようになるかな?」
といった質問を評価制度に基づいて準備することができます。

以上、様々述べさせていただきましたが、まとめますと、

☆ 評価制度をまだ導入されていない医院様では、賞与の公平性・人材育成の観点から導入されることをご検討いただければと思います。その際に、自己評価に限らず複数のスタッフさんから評価される多面評価制度を導入されることが望ましいです。

☆ 作成した評価制度をどうやって導入すれば良いか迷っている医院様であれば、まずは賞与に反映させない形で、評価制度に基づいた評価およびフィードバックを2、3回ほど実施していただき、将来的に賞与に反映させることを事前にスタッフさんに告知した上で導入していただくと、スタッフさんからの反発などのリスクを抑えながらスムーズに導入していただけるかと存じます。

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