皮膚科医院の採用戦略を見直す

saiyousenryaku

皮膚科医院において採用難が深刻化しつつあります。
昨今では一般的に業種を問わず採用難であるとも言えますが、診療終了時間(勤務終了時間)が異業種(一般事務など)に比べて遅くなりやすい皮膚科医院は不利と言えます。
しかし受付スタッフの接遇対応、クラークスタッフの入力スキル、看護師の患者対応など、各部門スタッフのレベルによって、診療オペレーションの効率、質の高い医療サービスの提供に影響を与えることもあり、「優秀なスタッフ」を採用できるかによって、皮膚科医院の経営が左右されると言っても過言ではありません。
そのため優秀なスタッフを採用し続けることは、皮膚科医院経営においてとても大切な要素と言えます。

 

「採用戦略」の見直し

【厳選採用について】
厳選採用という言葉をご存知でしょうか?リーマンショック以降の就職氷河期に言われ始め、文字通り「厳しく選び採用する」ことを意味します。
採用が難しくそもそも応募自体が少ない中で「厳選採用」を行えば、採用しにくくなるのではと感じられる方もおられるかと思います。しかし応募者が採用基準に満たなくても妥協して採用するとどのようなことが起きるのでしょうか?

妥協した採用を続けた場合、採用したスタッフがクリニックとして求めるパフォーマンスを発揮できず、周囲との距離が生まれ、医院全体の雰囲気が悪くなる場合があります。
最悪の場合、他のスタッフに悪影響を与え退職者が増えることもあります。
そのような事態を回避するためにも妥協するのではなく、「厳選採用」を念頭においた厳しい目で、応募者を選考する採用戦略を行っていただくことを弊社ではおすすめしています。

厳選採用を行うには応募者を増やす必要があります。
そもそも応募者が少ない中で選考を行うと、選択肢が少なく妥協した採用になりやすいです。
そのため選択肢を増やすために応募者を増やす必要があります。求人サイト、求人誌やハローワークに求人案件を出し、応募者を「待つ」ことももちろん大切です。
しかし応募者をより積極的に増やすには、自ら人材を獲得していく「攻め」の採用を加えることが必要になります。

【攻めの採用戦略】
では攻めの採用とは具体的にどのような採用方法になるのでしょうか?大きく分けると「費用をかける」「条件を見直す」ことをしていただきたいと思います。
費用をかける採用方法は世の中に多数存在しているかと思いますが、皮膚科医院においては「人材紹介会社」「有料広告」の活用が有効と考えています。

〈人材紹介会社〉
「人材紹介会社」を活用することに抵抗感のある先生もおられるかと思います。特に紹介料が高いため使いたくないと考えられる方もおられると思います。「人材紹介会社」は人材の紹介を受け、面接を行い採用となればおおよそ「年収×20~30%」を手数料として支払うことが一般的です。早期退職した場合は期間によっては返金保証がありますが、退職時期によっては支払った手数料が全て無駄になってしまうリスクはあります。

しかし人材紹介会社を活用する場合、面接日程の調整や内定後から入職までのフォロー、求人情報の整理等、採用に関するあらゆることを人材紹介会社がサポートしてくれるので、医院側の業務負担が少なくなることが多く、積極的な採用活動がしやすくなります。また紹介会社は文字情報だけでなく、自院の雰囲気や先生の人柄など生の情報も求職者に伝えてくれるので、自院の良いイメージを求職者に持ってもらえる可能性が高まります。特に一般的に採用が難しいと言われている看護師においては、人材紹介会社を活用することは有用な採用媒体となります。※ただし地域によって異なる場合もあります。

〈有料広告〉
「indeed」などの無料掲載媒体において、有料広告を使うことも応募数が増えやすくなる方法です。
サイト内において上位表示されやすく、目に留まりやすい位置に表示されるので、認知率が高まり応募数が増えやすくなります。「indeed」であればクリック課金型の有料広告となり、求職者が「indeed」内の自院求人情報をクリックすることで料金が発生する仕組みになります。
有料広告を出す際に予算設定をしておけば、それ以上の金額がかかることはありません。
当然ですがこの金額を高く設定しておけば、上限金額に到達する期間が長くなりやすいので、目に留まる期間も長くなり応募数は増えやすくなります。

上記は一例ですが、従来から行っている掲載型などの「待ち」の採用戦略に加え、費用をかける「攻め」の採用活動を行っていただければ、応募者が増える可能性は高まります。

【条件を見直す】
求職者が求人情報を調べる際に、給与をはじめとした労働条件面は当然見られます。
求職者にとってメリットが高い条件にしておくことで、応募してもらえる確率が高まることは当然かと思います。
求職者が労働条件を検索する際に絞り込む項目の上位は、「勤務地・路線・駅」「給与」「職種」「雇用形態」「勤務形態(休み)」と言われています。
この中で「勤務地・路線・駅」「職種」「雇用形態」はクリニック側で工夫することは難しいため、「給与」「勤務形態(休み)」を見直すことが重要になります。
特に「給与」においては近年では賃金上昇、物価上昇の気運が高まっているため、募集給与が上がる傾向があります。
気づいた時には近隣の皮膚科医院、もしくは他科の医院と大きな差が開き、「最近応募してくれる求職者が少ないな」と感じる状況になることもあります。
定期的に近隣相場を調べ、自院の募集給与に反映していただくことがとても大切です。
「勤務形態(休み)」についても、近隣の皮膚科医院や他科の医院の多くが完全週休2日に設定している場合は、1週間の休診日数や、午前のみ診療を行っている曜日を休診日にするなど見直しが必要かもしれません。

また医院の特徴・文化によって求職者が応募を決めることもあります。
医院の特徴・文化がポイントになる理由は、「どんなタイプの人が働いているのか?」「やっていけるだろうか?」「長く働き続けることができるだろうか?」と言った疑問を解消することに繋がります。
「貴院で」働くイメージを持ってもらうことで、応募しようと求職者に感じてもらうことも大切です。

 

今後も大きな変化がなければ日本は人口が減り、特に若年層ではその傾向が顕著になります。
そのため今後も採用難の流れは続くと思われます。費用をかける「攻め」の採用活動をご検討いただければと思います。

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