
現在日本は少子高齢化・人口減少が進み、労働力の確保が困難になっていると言われています。内科医院を取り巻く環境としても、2025年問題、2030年問題と注目が向けられていますが、患者層の変化だけでなく、スタッフ雇用の側面においても採用環境は厳しさを増しています。
仮に現在人員にお困りでない医院であっても不足しそうなため、不足したために採用を始めるというサイクルでは、採用が追い付かない、もしくは、採用したがすぐに辞めてしまったなどのトラブルになり、スタッフの手が足りなくなり、診療効率が下がり、患者さんの待ち時間が伸びて不満が募ることも予想されます。
今回はクリニックで起こりやすい採用失敗事例をもとに、押さえておきたい対策ポイントについてお伝えします。
内科クリニックの採用失敗例
■失敗例①:クリニック経験者だからすぐに慣れてくれるだろうと考え採用する
クリニック経験者であれば基本的な仕事内容は理解しており、教育の手間もある程度省けるため経験者であることを理由に採用に至ることは決して少なくないかと思います。
クリニックの仕事に慣れていると言っても、実際にはクリニック毎に業務の内容、仕事の進め方、仕事への向き合い方は大きく異なることがほとんどです。
例えば、
・1日あたりの患者数が多く、「こんなに忙しいと思っていなかった」「患者さん一人ひとりと向き合う時間がしっかりとれると思っていた」とスタッフの仕事像とギャップが生まれる。
・電子カルテや予約システムなど導入しているシステムが異なる、実施する検査機器・医療機器が異なり結局使い方はゼロから教えないといけない
など、クリニックによって異なる点は様々ですが、クリニック経験者という理由でひとまとめにしてしまうことは避けた方が良いでしょう。
クリニック経験者であっても今まで経験してきた忙しさや質が違い早期退職につながってしまうケースは少なくありません。
対策としては、
- 入職前に1日あたりの患者数を伝え前職と比較した忙しさを想像してもらう
- 入職前に医院見学を実施する
- 入職後一定期間は+1名でシフトを組み、1つの作業に集中できる環境を整えてから受け入れる
などの対応が望ましいでしょう。
1や2についてはネガティブな印象を与え辞退につながるのでは?と思われるかもしれませんが、事前にミスマッチを避け、早期退職による無駄な採用コスト発生を防ぐためにも必要なことでもあります。
3.については人員が既に不足している場合は実現が難しいため、採用活動自体に時間的余裕を持つことが重要です。
■失敗例②:短い面接時間で“何となく”採用する
「何となく感じがよく話しやすい」
「内科での勤務経験がある」
という理由も、採用の判断基準にはなりえますが面接は一瞬でも、共に働くことはこの後多くの時間を一緒に過ごすことになります。経歴やスキル面だけでなく、人間性や忍耐力、発信力など、自院にとって大切にしたいこと、必要なスキルを持っているかを判断できる面接にブラッシュアップしていくことが重要です。
特に、すぐに人員が必要でとにかく採用しなければならない場合には、
「ハロー効果」と言って、経歴や話し方など1つでも良い点があると、他の点も良いと判断してしまったり、「対比バイアス」と言って、直前に面接した方と比較し過大評価してしまうなどの判断ミスが起こりやすくなります。
- 採用したい人材像を明確化する
- 1.の人材像に基づく採用基準を満たすか判断できる質問項目を作成する
- リーダーや教育スタッフを同席させ複数の目で判断する
など、意図を持った面接の質問ができるよう準備を行うことをおすすめします。
■失敗例③:少ない母集団から採用する
1名の募集に対して2,3人の面接で採用を決定していることはありませんか?
母数が少ない中で採用を進めると、当然のことながら良い人材に出会える確率は20人の中から採用するより下がる傾向にあります。
「そんなことを言っても応募がないから仕方がない」
という声が聞こえてきそうですが、良い採用を行い長く勤めてもらう方が採用難の時代は効率的と言えるでしょう。
- 採用媒体の見直し:メディア露出が多い、登録会員数が多い、全国展開⇔地域密着型など過去に成果があったものでも見直す
- 採用費用の見直し:
- 採用ページ・サイトの作成:自院のホームページ内や別で採用サイトを作成し、理念や情報に関する情報を追加する
- 採用募集賃金の見直し:地域相場と乖離がないかまずは確認しましょう
母集団形成には複数の要因が関わっているため、対応策は多岐に渡ります。
一朝一夕では対応しきれないものも多いため院長先生おひとりで実施されるのではなく、採用窓口担当者を任命し、スタッフに権限委譲するなどの組織体制づくりに注力することも今後は必要になるでしょう。
医師である院長先生にとって採用や面接といった業務は誰にも教わったことのない領域であり、苦手意識がある方も多い内容かもしれません。
ただし、ご覧いただき分かるように、「焦って採用する」ということが一番の失敗であり、結果的に早期退職やお互いのストレスにつながります。
今回の内容が少しでも医院経営のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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