口コミを引き起こすために必要なマーケティング手法

インターネットが普及し始め、情報通信端末の世帯保有率が2000年から増加傾向(パソコン)にあり、2010年からはスマートフォンが台頭してきたと同時にスマートフォンの普及率が急速に増加しています。パソコンやスマートフォンの普及に関しては、このようなデータだけでなく、新聞やニュース、日常生活などで実感されていることかと思います。

今までは医療業界における新規患者(※)の来院経路は、「口コミ」つまり「(友人、家族などからの)紹介」が主軸となって構成されており、比率を考えていかなければなりませんでした。
※新規患者とは、全く初めて医院に来院された患者さんのことを指します。

しかし、インターネットやスマートフォンの普及により、新規患者の来院経路は、「口コミ・紹介」と並んで「インターネット」による来院動機が加わり、主な来院動機の主軸が上記の2項目になりました。これは消費者の購買心理の変化からなるものです。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、近年のインターネットの普及により、マーケティングを考える際には「AISAS(アイサス)」という消費者の購買行動や心理を考えることが大切です。

「AISAS(アイサス)」とは、電通が提唱しましたが、
「Attention(注意)→Interest(興味)→Search(検索)→Action(購買)→Share(情報共有)」
という行動心理になっているというものです。

数年前であればツイッター、現在であればFacebookやInstagramというSNSの活用がいい例かと思います。実際に良いものに対してはSNSを通して友人や他のつながりがある人に「情報を共有する」という行動をしているのです。

「検索」を医療業界に置き換えた場合、
「地域名+耳鼻科」「地域名+小児科」「地域名+皮膚科」などなど
「Search(検索)」でヒットするようになってはきているもののまだまだ物足りなさを感じます。
「地域名+診療科目」で検索された時に上位表示されるのは、対策を実施していて当たり前と思っていただいたほうがよいでしょう。

「Action(購買)」というものは、医療業界では「来院」と置き換えてください。診療を受けに来たということです。そして最後の「Share(情報共有)」というもの。こちらが今後必要になってくるでしょう。

今までは実体験をした後、例えば「○○皮膚科は○○で良かったよ~」と直接話をしている時に伝えて口コミが広まります。このような直接話をしてという口コミは今後も残っていくものですが、今はどこにいても情報発信ができるのです。

自院でお時間のある時に、待合室で診療待ちもしくは会計待ちをしている患者さんの手元を見てください。おそらく8割の方がスマートフォンを触っているのではないでしょうか。

どこでも手軽に情報を発信できるということは、医院の外に出た段階でSNSに書き込みをして情報を共有している可能性もあるということです。Facebookでいうとシェアということになります。

つまり「AISAS(アイサス)」でお伝えさせていただいた、「Search(検索)」と「Share(情報共有)」という新しい購買行動心理に対して、自院での取り組みが今後さらに重要になります。

ではどのような取組みが必要なのでしょうか?
「Search(検索)」では、自分が患者さんであればどのような情報が欲しいか、どのような検索方法を取るかを考えてHPの強化をする必要があります。

「Share(情報共有)」では、患者満足度を重視した対策が必要になります。
「○○皮膚科クリニックに行ってよかった!」「○○皮膚科クリニックは○○がいいよね!」
「何かあったら○○皮膚科クリニックに行けば大丈夫!」など自院を受診した際に患者さんが
・また行きたい!
・何かあった時には頼りたい
・友人や家族に紹介したい
と思ってもらえるような取り組みをすることが、結果として「Share(情報共有)」につながります。

一例ですが、接遇面、待ち時間に関しての対策も有効でしょう。
消費者の購買行動心理の変化に合わせたマーケティングを行っていくことが
結果として多くの人に、紹介や情報を伝えたいと思ってもらえる医院になる近道でもあるのです。
「検索」「共有」「口コミ」「満足度」などを意識した皮膚科ならではのマーケティングを意識しながら、日々の診療や対策などを行っていただければ、患者さんの行動心理の変化にも対応できる、より強固な医院となっていくことでしょう。

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