事前問診体制

皮膚科医院における「待ち時間」は患者さんの不満要素となりやすいですが、
各医院の先生方も待ち時間を短縮するために様々な工夫をされていると思います。待ち時間を短縮するには、「診察時間」を早くすることはとても有効な手段でありますが、診察は医療の提供という意味合いでとても大切な部分ですので、あまりにも無駄な会話などをしていない場合は、「診察時間」を短縮する考え方は優先順位が低くなります。
優先順位が比較的高く、診療効率を向上させるための有効な項目は「問診時間」の短縮が
挙げられます。診察前の「事前問診体制」を整備していただければ、全体の診療時間が短縮され、待ち時間が短縮されることに繋がります。

そしてドクターが全ての患者さんの問診を行い、診察を始める方法ではドクターの負担も増え、時間効率も悪くなってしまいます。そのため問診を事務や看護師などのスタッフに
委譲させ「事前問診体制」を整備することはとても効率的なことです。

<皮膚科医院事前問診体制の手法>
(1)受付カウンターで事務が問診を聞く手法
(2)患者さんが診察室に入室した直後、看護師かクラークが問診を聞く手法

(1)の手法は基本的にどの皮膚科医院でも実施可能ですが、こちらは受付会計スタッフの
医療知識とヒアリング能力がある程度必要になります。
そしてより質の高い問診を実践するには、仕組みを構築することも大切です。

<受付会計での問診体制の仕組み>
・通常業務(受付業務・会計業務・電話業務など)の妨げにならない人数の確保
・スムーズに問診ができるように、電子問診や紙ベースの問診表などを準備すること
・スタッフや患者さんがストレスを感じない、聞き取りしやすい環境の確保

(2)の手法は皮膚科の場合、2つの診察室を使用して診察を行っている医院に有効な手法
です。診察室1でドクターが診察している間に、診察室2にて看護師かクラークが問診を行い、
診察室1の患者さんの診察が終わったドクターが、診察室2に入室した直後すぐに診察を
始めることができる方法です。この手法を用いる場合、効率的な運用のために注意していた
だきたい点があります。

<注意点>
・通常業務(ドクターサポート・処置検査・クラーク業務など)
の妨げにならない人員体制
・看護師やクラークの呼び込みタイミングが遅くならないように注意すること
・看護師やクラークの問診スキル(聞き取り能力・伝達能力・医療知識)が必要
・聞き取りした内容をドクターに伝達する際、時間をかけ過ぎない工夫が必要
・可能な限り聞き取りした内容を、カルテ記入・打ち込みをしていただくこと

上記の(1)(2)は皮膚科においては代表的な手法となりますが、この他にも様々な手
法や問診のテクニックは存在します。問診に一工夫するだけで診療効率は高まり、待ち時間の短縮に繋がります。また、しっかりと接遇を教育された看護師や事務が問診を行えば、患者さんと適切な会話をすることができ、親切感などを感じていただくことで、患者満足度向上に繋がることも期待できます。

このような事前問診体制を整えていない皮膚科医院さんは、オペレーションの混乱を生
じさせないためにも、患者さんの数が少ない秋から冬の閑散期に新しい体制を導入し、
待ち時間が少なくかつ患者満足度を落とさない、診療体制を整えていただければと
思います。

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